表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第九章「魔王復活」編
168/202

第百六十三話「捕食」


「はあ……はあ……」


 魔王城へと転移したノイドは、到着した瞬間に膝をついた。スレッド達の攻撃によって失われた魔力を回復させる。


 ノイドの周囲には濃い魔素が存在する。魔族であるノイドならば、この魔素を吸収すればすぐに回復出来るだろう。


「!? これは!!」


 しばらく部屋で回復に努めていたら、足元に黒い渦が発生した。発生した渦はノイドを飲みこんでいき、その姿を消した。






 王の間の真ん中に黒い渦が発生し、ノイドが姿を現した。ノイドは突然のことに驚いている。その姿を魔王が王座にゆったりと座りながら眺めている。


「ここは…………ヨハン様!?」


 王座に座る魔王、ヨハンに気付いたノイド。すぐさま膝をつき、ヨハンの前に頭を下げる。


(…………これが魔王か)


 目の前にいる青年からは、遥か昔に感じた威圧感は感じられない。まだ本調子でないとはいえ、魔王とはノイド達の象徴であり、リーダーだ。


 それでも従わずにはいられない存在感がそこにあった。


「どうやら、負けたようだな」


「…………申し訳ございません。油断があったようです」


 ヨハンは王座から立ち上がり、ゆっくりとノイドに近づいてくる。傍から見れば、労いをする為に近づいているように見える。


 そして、ノイドの肩に手を置き、微かな笑みを浮かべた。


「ならば、罰を与えねばな」


「ヨハン様…………?」


「まだ完全ではない俺の為に――――――――血肉となれ」


 肩に置いた手に力を入れる。肉を剥ぎ取り、口に含む。ノイドの血肉はヨハンの魔力に変換されていく。


「ヨ、ヨハン様!? お止めください!!」


 次々と身体を破壊されていくノイド。どうにか止めようとするが、身体がいうことをきかない。回復が完全でなかったところに身体を抉り取られ、魔力を奪われていく。


 ヨハンは黙々と、嬉しそうにノイドの身体を食べていく。その度に魔力と覇気が増していく。


「…………ぁ…………ぁ」


 反対にノイドは意識が遠のいていく。生気が失われていき、全身から力が抜けていく。最早風前の灯だ。


 そして、ノイドは全てヨハンに取り込まれた。


「ふむ…………」


 溢れる魔力と覇気を実感するヨハン。部下を食べ尽くしたとは思えないほどの落ち着きを見せ、再び王座に座った。


「サイフェル」


「はっ!!」


「飯を用意しろ」


「了解しました」


 すぐそばで控えていたサイフェルに飯の準備を命じる。サイフェルはすぐさま準備のために姿を消した。

 これから魔力の籠った「材料」を調達しなければならない。


 しばらく王の間に静寂が訪れる。ヨハンは肘をつきながらサイフェルの準備を待っていた。


「お久しぶりです」


「…………ノアか」


 突然話しかけられ、ノアが姿を現した。ノアは他の魔族と違い、ヨハンに対しても態度を全く変えていない。不遜な態度がいつものままだ。


 だが、ヨハンはノアの姿を確認しても、何も言わない。ヨハンにとってノアの態度はいつも通りだ。


「貴方が復活されたなら、益々楽しめそうですね」


「ふん、勝手に楽しめ」


 互いに不遜な笑みを浮かべ、しばらく見つめ合った後、ノアは姿を消した。そして、再び王の間に静寂が訪れた。






「復活してしまったか…………」


「申し訳ございません」


「お前が謝ることではない、ザック。皆全力を尽くしたのだ。仕方があるまい」


 アーセル王エリュディオは王座の前で膝まずくザックに言葉を掛ける。期待に応えられなかったザックをねぎらっている。


 先日魔王の復活が確認された。戦神アルサムが施した魔王の封印が破壊され、魔王ヨハンがこの地に立った。


 このままでは危険なのは確かだ。


「…………リカルドの様子はどうだ?」


「命の危機は乗り越えていますが、いまだ意識は目覚めておりません」


「そうか…………」


 これまでエリュディオを支えてきた戦友であるリカルドはまだ意識を取り戻していない。彼に相談は出来ない。


「やはり、世界会議を開くしかないか」


 これまで短期間で世界会議が開かれたことは無い。


 それでも開かないわけにはいかない。魔王が復活してしまったのだ。この先の戦いを考えれば、再び各国が集まらなければ対抗できない。


「直ぐに各国へと連絡をしろ。時間は無いぞ」


「はっ!!」


 返事をしたザックはすぐに部屋を後にした。その姿を見送り、エリュディオは王座に深く座り直した。


「…………神のいないこの世界で、人は勝つことが出来るのか」


 未来を考えながら、エリュディオは窓の外を見つめる。そこには爽やかな青空が広がっている。


 この青空を護り、国の人たちを護るために、エリュディオは指導者として動かなければならない。


 世界は生存か滅亡の分岐点を迎えようとしているのかもしれない。



お待たせしております。

一応第九章はこれで終了の予定です。

おそらく次が最終章になると思います。

更新については年末に最終章の構想を練り、年明けに

更新を開始したいと考えていますが、

年賀状作りなど年末年始の準備で忙しくなりそうですので、

多少遅れる可能性もあります。


また、以前行っていた改訂を同時に行っていきます。

ですので、現状報告は活動報告で行いますので、

時間がありましたら覗いてやってください。


また年末に就職活動も行いますので、

出来ましたら応援メッセージなどいただけるとありがたいです(笑)


では、最終章まで少々お待ちください<(_ _)>




…………もしかしたら後一章分挟むかもしれませんが

そこは寛大な心でお許しください(-_-;)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ