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格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第九章「魔王復活」編
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第百五十七話「フローデン神殿」


 リディア共和国から北ハイロウに入ったスレッド達は、北ハイロウのギルド支部に寄り、すぐさま職員の案内で最後の封印があると言う砂漠へと向かっていた。


「乗り心地、最悪」


「仕方がありません。砂漠ですし、馬車もそれほど良いものではありませんからね」


 ブレアが苦しそうに座り直すのを見て、手綱を握っているギルドの職員は苦笑いを浮かべた。


 遺跡には馬車で向かっていた。本来なら砂漠を馬車で移動することはない。砂漠専用のソリ付きで移動する。その際には馬ではなく、砂漠に生息するキルキラという四足歩行の動物が引く。


 それでも馬車で移動しなければならないのには訳がある。ソリ付きは既に北ハイロウの軍が徴集し、遺跡へと向かった為だ。ソリ付きは空きが無く、馬車しか残っていなかった。


 だからと言って徒歩で遺跡に行くのは危険すぎる。下手をすると暑さで遺跡まで辿りつかない可能性もあるのだ。


「後どれくらいで到着しますか?」


「3時間ほどで到着します。既に軍が遺跡に派遣されており、封印に対して結界を張っている段階かと思われます。よろしければお二人もお手伝いいただければと」


 封印がある遺跡、フローデン神殿には数百人規模の兵士が集められている。その中には精鋭と呼ばれる紋章術師部隊も含まれており、現在幾重にも重ねた結界を展開中である。


「…………間に合うか」


 フローデン神殿の方角を眺めながら、スレッドは言い知れない不安に襲われていた。






「俺が隊長のボアだ」


 フローデン神殿に到着したスレッド達を待っていたのは、不機嫌そうな表情で立つがたいの良い男だった。


 腰に双剣を差し、軍の制服を着た男は今回派遣された部隊の隊長である。隊長であるボアは部下達に指示を出しながらも、ギルドからの応援であるスレッド達に挨拶する為にやってきた。


 ボアが不機嫌なのには理由がある。今回の作戦は北ハイロウの軍だけで行なう予定となっていた。ボアの部隊は選ばれし者の集まりであり、更に他の部隊も召集することにより大規模な軍を編成している。


 これだけの部隊を選ばれた自分が率いているのだ。ギルドからの応援など必要ないと考えていた。


「封印は俺達が守護する。お前達は余計なことをするな」


「…………魔族を舐めると、痛い目を見るぞ」


「ふん!!」


 スレッドの忠告にボアはますます機嫌を悪くして作業に戻っていった。


「では、こちらへどうぞ」


 ここまで案内してくれたギルドの職員が北ハイロウから借りている仮設の待機所に案内される。


 簡単な布と柱だけで建てられた待機所には机と椅子が置いてあるだけで、本当に待っているだけの場所だ。


「私の案内はここまでです…………気を付けてください」


「ありがとう。貴女も気を付けて」


 ここまで案内してくれたギルドの職員は礼をして神殿を後にした。彼女は戦闘が出来ないので、ここにいては危険だ。


「よし、まずは飯だな」


「おー」


「ワウ!!」


「もう少し緊張感を…………って、話を聞きなさい」


 早速荷物から食材と調理器具を取り出すスレッドとブレア。その様子をライアは楽しそうに、ミズハは呆れたように眺めている。


 用意した薪に火を付け、紋章術で火をつける。その上に鍋を置き、ここに来るまでに狩った動物の肉をぶつ切りにして放り込む。


 ミズハの肩から白夜が飛び降り、真面目な表情? で料理をするスレッドとブレアに話しかけた。


《妾は味付け濃い目が良いぞ》


「白夜!!」


 注意するのかと思ったら、なぜか味付けに注文を入れる白夜。緊張感のある戦場で、スレッド達の待機所からは美味しそうな匂いが漂い、兵士たちの何人かはついお腹を押さえてしまった。


 緊張感が緩んでしまい、多少憤っていたボアだが、彼も難しい顔をしながらお腹を押さえていた。






 スレッド達が食事をしている頃、フローデン神殿の上空で袈裟を着て、錫杖を手に持っている男が浮かんでいた。その周りには岩の様な塊が浮かんでいる。


「…………時間か」


 シャラン、シャラン。


 手に持った錫杖を振るう。先端についている遊環がぶつかり合って音を鳴らす。音がなった瞬間、岩の塊が猛スピードで神殿に向けて落下していく。


「さあ、破壊の始まりだ」


 岩の塊に続くように袈裟を着た男も下へと落ちていった。






 ドン!!!!


「な、なんだ!?」


「岩が落ちてきたぞ!!」


 いきなり空から降ってきた岩の塊。幸い岩の下敷きになった兵士はいないが、突然のことに部隊は混乱していた。


「落ち着け!! すぐに状況を把握、報告しろ!!」


 この様な状況でもボアは冷静に部下へ指示を出していく。自分が指揮する部隊はどうにか直ぐに平静を取り戻す。


 しかし、寄せ集めの弊害が出てきてしまった。各地から集めた兵士たちは、これまで戦場を経験したことが殆どない。簡単な魔物の討伐程度しか経験が無く、さすがに空から岩が降って来るなど思ってもみなかった。


 混乱が残る中、突然岩の塊が動き出した。岩の塊は変形して人型となり、すぐさま兵士を襲い始めた。


「くそっ!!」


「攻撃しろ!!」


 人型の岩に兵士たちが攻撃を加えていく。だが、兵士たちの武器は岩を砕くことはおろか、傷一つ入れることが出来ない。


 攻撃が通らないことで更に戦場は混乱していく。


「ウオオオオォォォォ!!」


「や、やめてくれ…………」


 振り上げられた岩の拳が兵士の一人を押しつぶそうとする。動きはそれほど早くないが、腰が抜けているせいで動くことが出来ない。他の兵士は戦いに集中しており、助けることが出来ない。


 もう駄目だと思ったその時、急に痛みと浮遊感を感じた。


 そして、気が付いたら視線の先に振り下ろされた岩の拳があった。どうやら助かったようだ。


「直ぐに立て!! 転がっていると死ぬぞ!!」


 近くの仲間に声を掛けられ、兵士は腰が抜けたことなど忘れて立ちあがった。


 どうして自分が助かったのか分からないまま、戦闘に参加していった。



お待たせしました。


ここ最近は特に忙しく、帰ってもなかなか執筆出来ません。

来週18日に職場でなぜか大役を任され、

その準備に追われています。

まあ僕はまだ楽な方ですが、

他の方の中にはもっと大変な人もいます。

それでもやらなければいけません。

仕事だから。


それさえ終われば後は大きな仕事もないので、

ゆっくり終わりまで頑張れそうですので、

今日からも気合入れて頑張ってきます!!

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