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格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第九章「魔王復活」編
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第百五十六話「分岐点」


「なんだ、アレは?」


 アーセル王国と魔王領との国境沿い、アーノルドによって殺された術師達の遺体を搬送する為に派遣された冒険者が、作業の途中で空に何かを見つけた。


 一人の声に気付き、作業を行なっている冒険者は全員空を見上げた。


「おい、ヤバいぞ!!」


「逃げろ!!」


 空からやってきたもの、それは巨大な光の塊だった。光は凄まじい勢いで移動し、結界に接触する。冒険者は激しい衝撃を恐れて、散り散りに逃げていった。


 だが、衝撃は生まれなかった。

 結界に触れた光はまるで何も無いかの如く結界すり抜けていく。そして、結界をすり抜けた瞬間、光は黒く染まっていた。


 黒い光はスピードを落とすことなく、北へと向かっていった。冒険者達は呆然と眺めていることしかできなかった。


「…………はっ!? お、おい!! 直ぐにギルド本部に連絡を入れろ!!」


「は、はい!!」


 黒い光に視線を向けながら、冒険者の一人がギルドへ連絡するように叫ぶ。この状況は彼らだけでは対処できない。


 すぐさま連絡石を取り出し、現状を報告し始めた。






「それで、その黒い光が向かった先は?」


『アーセル王国の北!! バルゼンド帝国に向かっています』


「了解した。こちらで対処しよう。お前達はそのまま待機。魔物の襲撃があるとも限らなねえ。臨機応変に対処してくれ」


『はっ!!』


 報告を聞き終え、ザックはすぐに連絡石の接続先を切り替えた。近くで会話を聞いていたソルもすぐさま部下に指示を出していく。


「ギルド代表ザックです。少々よろしいでしょうか?」


『ああ、構わないよ』


 連絡石はすぐに繋がった。ジョアンは仕事をしながらも、ギルドからの連絡を待っていた。


 残りの封印はバルゼンド帝国とハイロウ。まさか魔族が諦めると思えないし、何かしらの襲撃があるだろうと考えていた。


 ザックからの連絡を受け、メイドにヨルゲンを呼ぶように指示した。


「魔族が超遠距離砲撃を放った模様です。目標はおそらくレンデン遺跡でしょう」


『ッ!? そうか、すぐに対処しなければ』


『すぐさま軍を派遣させましょう』


「いえ、すぐにレンデン遺跡から人々を避難させ、周辺を封鎖すべきでしょう」


 バルゼンド帝国から軍を派遣し、どうにか砲撃を処理しようとする二人に対して、ザックはすぐに人を避難させるべきだと主張した。


『なぜだ? それでは封印を破壊されてしまうぞ』


 何も対処しなければ、封印は破壊される可能性がある。少しでも可能性があれば、封印を護る努力をすべきだろう。


「報告では砲撃に攫われた術師数十人の魔力と生命力が込められている可能性があります。おそらく砲撃を破壊することは不可能でしょう」


 放たれた黒い光はラファエーレに攫われた紋章術師が無理矢理発動させられた。その力は絶大で、バルゼンド帝国からどれほど人を集めても破壊することは難しいだろう。


「それならば、被害を最小限にした方がいい。これからの魔族との戦いには戦える人材を亡くすべきではない」


『…………』


「現在ハイロウにある封印にはスレッド達を派遣し、守備を依頼しております。出来るならば二つとも護りたいところですが、砲撃が破壊不可能ならば少しでも被害を減らすべきです」


『…………了解した。ヨルゲン、すぐにレンデン遺跡から人を引き上げ、周辺を封鎖してくれ』


『了解しました』


 どうするべきか悩んだ末、ジョアンはザックの提案を受け入れた。


 確かに二つの封印を守れるなら、それが一番だ。しかし、その可能性だけで人を消費する訳にはいかない。

 それならば、戦力を一つに集中させ、最後の一つを護るべきだろう。


 間もなく黒い光がレンデン遺跡に着弾する。時間はあまりなかった。






 ザックがジョアンに連絡を入れている頃、北ハイロウとリディア共和国の国境沿い。関所の中でスレッド達はソルから連絡を受けていた。


「やはりバルゼンド帝国の封印は諦めるしかないと」


『ああ、おそらく誰も砲撃を破壊することは出来ないだろう』


 ソルからの報告を受け、ミズハが答える。現在は入国審査待ちで、多少の時間があった。そこでギルドからの報告を廊下で聞いていた。


 先ほどまでは控室にいたが、あまり聞かれてはいけない内容だと考え、すぐに廊下に移動した。


 先日ザックからはバルゼンド帝国の封印は破壊される可能性が高いと告げられていた。それでも対処はする予定になっていた。


「大丈夫なのか?」


『本音を言うと大丈夫じゃないが、それでも人材を失うより良い』


《ふむ、黒い光は魔族の秘術。人間の力ではどうにもならんのう》


 ソルの報告にあった黒い光について白夜が説明する。カグラ家の歴史の中には魔族の秘術と相対した歴史がある。白夜の知識によると、黒い光に打ち勝てた記憶はない。


『それよりも最後は必ず死守しなければならない』


「大丈夫。絶対死守」


『こちらのことは気にせず、最後の封印を護ってくれ』


 その後幾つかの諸注意を受け、ソルからの連絡が切れた。連絡を終えたところで関所の職員がやってきた。


「スレッド様、ミズハ様、ブレア様ですね。許可が下りました。こちらにお越しください」


「よし、行くか」


「大変なことになりそうだ」


「ガンバロー」


 スレッド達は最後の封印を死守するために、北ハイロウ最大の砂漠にある遺跡へと向かっていった。






 黒い光がレンデン遺跡を消滅させたその頃、魔王城の一角ではインテリ風の男が水槽の前で嬉しそうに水槽の中を眺めていた。


 水槽の中身は肉の塊から成長し、赤ん坊サイズにまで大きくなっていた。更に形は既に整形せれており、今にも動き出しそうなほど生気に満ち溢れている。


「まもなくだ。全てが動き出す」


 封印が破壊されたことにより、肉の塊は成長した。そして、最後の封印が破壊されれば、目の前の存在は完全に復活する。


 しかし、必ずしも順調というわけではない。


「急げ。急がねば間に合わない」


 先ほどの嬉しそうな表情とは一転、若干の焦りの表情が見える。


 全てはハイロウにある封印が世界の分岐点になろうとしていた。



お待たせしております。

どうにか連休中に書きあげられました。

ゴルフの練習や用意をしながらの執筆で

筋肉痛になりながらもここまで来ました。


ついに明日がゴルフの本番です。

今年度で仕事を辞めるつもりですので、

今回が最後のゴルフになるかと思います。

出来るだけ同じ組の人に迷惑をかけず、

最下位目指して頑張ります(笑)

(ブービーは次の幹事になってしまいますので)


とりあえずゴルフの結果などは活動報告でお知らせしますので、

適当に笑ってやってください!!


では、頑張ってきます!!

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