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格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第九章「魔王復活」編
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第百五十五話「黒い光」


「……………………」


 魔王領の森の中を大量の紋章術師が歩いていく。全員目は虚ろで、動きが緩慢だ。まるで意思を持たない人形が操られているようだ。


 誰も彼も逃げようとはしない。


「それにしても、面白いことを考えるね」


「手伝ったらどうだ、ノア」


「僕は人間を操る術を持たないからね。手伝えないよ」


 紋章術師達の上空にノアとラファエーレが浮かんでいる。ラファエーレは術で眼下の術師達を操っている。その横にいるノアはラファエーレのやろうとしていることを楽しむためにやってきていた。


 しばらく進んでいくと、少し開けたところに円状に石が並べられた場所があった。並べられた石は魔王領から発掘された石で、魔力を溜めておくことの出来る特殊な石だ。


 紋章術師の半分を円の中心付近に移動させ、石の外側に残りの術師達を配置した。


「さあ、始めよう」


 そう言ってラファエーレは右手を振り、術師達を操る。操られた術師達は一人一人が限界まで魔力を引き出し、石に沿って紋章を描いていく。石は術師達の魔力に反応し、真紅に染まっていく。


 更に中心に集められた術師の魔力と生命力を全て引き出し、エネルギーに変えていく。


「…………」


 人間から無理矢理魔力や生命力を引き出せば、かなりの苦痛がある。しかし、操られている為に苦痛すら感じていない。


 上空にエネルギーが黒い光となって出現する。更に限界まで術師達の魔力と生命力を引き出し、黒い光は球状になって直径5メートルほどの大きさになった。


「へえ…………まさか、これを成功させていたなんて」


「ふん、この程度簡単なものだ」


 術師に生み出させた黒い光は、遥か昔魔王が使っていた術の一つである。あらゆる物を破壊し、死滅させる。有機物、無機物関係なく崩壊させ、人間など触れれば一瞬で灰すら残すことなく消し去るほどだ。


 しかし、魔王が封印されてからは魔族でも使用できる者がいなかった。全く情報が無く、再現することは不可能だと思われていた。


 それをラファエーレは時間を掛けて再現し、術師の魔力を利用して発動させた。


「でも、これじゃあ人間の結界は破壊出来ても、目的地まで届かないんじゃない?」


「問題ない」


 再びラファエーレが手を振ると、円の外にいた術師達が黒い光に手をかざす。


「…………」


 気の抜けた様な表情と動作で無理矢理術を発動させられる。しばらくすると、黒い光は暖かな白い光に覆われていく。


「これならば、結界など無いに等しい」


「なるほど。人間を集めたのはこういうことか」


 ラファエーレが術師を誘拐した理由とは、黒い光を術師の魔力と生命力で生み出し、人間にしか生み出すことの出来ない白い光を黒い光に包ませる為だ。


 こうすることで人間が張った結界を通過させ、黒い光で目的の物を破壊させる。


「さあ、始めよう」


 ラファエーレは黒い光を操作し、黒い光は人間の住む大地に向かって飛んでいった。






「すまないな、疲れているところ来てもらって」


「構いませんよ」


 黒い光が飛んでいく数日前、スレッド達はギルドからの使者にギルド支部へと向かう様に要請があった。


 要請を受けたスレッド達は、休養を切り上げてギルドへと向かった。ギルドに到着すると職員に案内され、応接室に通された。


 応接室には既にザックがソファに座っており、世間話もそこそこに本題に入っていった。


「実は結界を展開された術師達が魔族に誘拐された」


『!?』


 ザックから発せられた言葉に、三人は驚きを隠せない。


「どうやら奴らは術師を利用して、魔王の封印を破壊しようとしているらしい」


 ザックはこれまでギルドが調査した内容をスレッド達に伝えた。魔王の封印や術師からもたらされた魔族の陰謀など、全てを伝えた。


 本来なら一介の冒険者に伝えていい内容ではない。この内容を知っているのは各国の代表とギルドの一部だけだ。


 しかし、ギルドはスレッド達に内容を伝えることに決定した。魔王領を調査し、魔族を倒した実績と実力を認め、これからの作戦を考えると秘密にはしておけない。


「そんな!? だったら直ぐに阻止しに行かないと!!」


「魔族の思いのまま」


 話を聞いたミズハとブレアはすぐに阻止すべきと主張する。魔王復活だけは必ず阻止しなければならない。


 だが、ザックは首を横に振った。


「おそらくバルゼンド帝国にある方は間に合わねえ。だから、お前さんたちにはもう一つの石像、ハイロウにある封印破壊を阻止してくれ」


 ザックは地図を取り出して、机に広げた。地図上のある一点に丸が付いていた。


「封印はここ、北ハイロウの砂漠にある遺跡に眠っていると思われる」


「ここに行って封印を守ればいいのか?」


「まあ待て。そう簡単には行かねえ。ハイロウは少々ややこしい国なんだ」


 ハイロウ両国は現在冷戦状態である。その為、両国は躍起になって封印を探していた。封印を先に探し出し、それを魔族から護りきることでハイロウという国の主導権を握ろうとしている。


 そして、封印は北ハイロウに見付かった。北ハイロウ代表のウルコンは早速軍を編成し、封印破壊阻止に向かわせた。


 だが、編成された軍はお粗末なもので、封印を護ることなど出来るとは思えない。


「ギルドからも冒険者を派遣すると申し入れたんだが、あちらはどうにも乗り気じゃない。それでもどうにか受け入れさせた。冒険者数人ならいいって話らしい」


 ハイロウとの交渉を思い出し、ザックは不機嫌な表情を見せる。ハイロウの交渉官はどうにか自分達に有利になるように交渉を進める。冒険者の派遣に出す報酬の減額など、かなりの無理をギルドに要求してきた。


「とりあえず、もうすぐ交渉が終了する。交渉が終了次第北ハイロウに向かってくれ。それまでに出発準備をしていてくれ」


「分かった」


 こうしてスレッド達の北ハイロウへの旅が決定した。



お待たせしております。


今度会社のゴルフ大会に出ることになっております。

まあ別に行きたくないのですが、

暗黙の了解の様にいかなければなりません。


そこで練習に行ったりして、なかなか執筆の時間が取れません。

出来るだけ確保するようにしていますが、

ゴルフが終わるまでは更新が少し遅れると思います。

お待たせして申し訳ありませんが、

気長に待ってやってください。

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