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格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第九章「魔王復活」編
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第百五十四話「魔族の陰謀」


 リュディオンの酒場の隅、周りから話が聞こえない席にスレッド達とブラッド達のパーティが座っている。


「どうやら無事だったようだな」


「かなり大変だったがな」


 6人は運ばれてきた料理を食べながら、魔物の大襲撃についてブラッド達から話を聞いていた。


 魔物の大襲撃は多くの死傷者を出した。ザックやブラッド達の活躍はあったものの、それ以上に魔物の量が多かった。


 また、リカルドの暗殺未遂や結界の紋章配置での襲撃など、内部での事件もありギルドは混乱を極めた。

 現在リカルドは峠を越えたが、未だ意識を取り戻していない。リカルドの代わりにザックとソルがギルドを纏めている。


「で、アーノルドは…………」


「…………あいつは消えた。おそらく裏切ったんだろう」


「ギルドは懸命に捜索したが、未だに姿を捉えてもいない。更に事前の動きなどから、アーノルドが怪しいと考えているのさ」


 苦々しい表情で答えるブラッドの言葉を補足するように、シャンテが現在の状況を説明する。


 ギルドは今回の事件の裏で何者かが動いていたと考えている。それも内部での裏切りだ。


 アーノルドを始め、幾人かの冒険者が姿を消し、アーセル王国から派遣されたマリュークもいつの間にかいなくなっていた。


 彼らが黒幕だとは判断できないが、怪しいことには変わりない。


「それで、お前達の方はどうだった? 魔王領は楽しかったか?」


「遊びに行ったわけではないよ」


「死ぬかと思った」


 暗い話題をさっさと打ち切り、ブラッド達はスレッド達へ魔王領での話題を振った。既にギルドへは報告しているが、一般には公開されていない情報だ。


 店員に酒を注文し、話は盛り上がっていった。






 ギルドの廊下をザックとソルが歩いていく。二人が目指しているのは、魔王領近くの森で救出された行方不明の紋章術士が休む部屋だ。


「体調は?」


「一応意識は回復していますが、まだ動き回れるほどは回復していません」


「話しは出来るんだな」


「はい。ですが、あまり長時間は医師から止められています」


 ギルドに運び込まれた紋章術師は、医師と紋章術士の治療によってどうにか体調を回復させた。発見された際には体力・魔力共に枯渇しており、もう少し発見が遅れていたら死亡していただろう。


 しばらく廊下を歩いていくと、紋章術師が休んでいる部屋に到着した。


 コンコン!!


「邪魔するぜ」


 返事を聞く前にザックは部屋の扉を開けた。さすがにこれは注意しようと思ったソルだが、素早く部屋に入っていくザックを確認し、話しが終わってからでもいいかと黙っていることにした。


 ザック達に気付いた紋章術師はベッドから起き上がろうとしたが、ザックが手で制した。


「そのままで構わねえ。少し話を聞かせてもらえるか」


「あ、はい」


 ベッドの横に置いてある椅子を引き寄せ、そこに座って目の前の男と目線を合わせる。その後ろでソルが会話を記録していく。


「私はフロルド・ヴィーラーと言います。今回の作戦ではアーセル王国と魔王領との国境沿いで結界の紋章を配置する作業を行なっていました」


 フロルドは数人の紋章術師と共に結界の紋章を配置する作戦に参加していた。魔物の襲撃もあり、作戦は難航を敷いたが、それでも作戦は何とか成功した。


 そして、帰還の途中に魔族の襲撃にあった。


「森の中で突然人間の姿をした者に襲われました。あまりに人の姿でしたの油断しました。その場で何かの力によって意識を失い、気が付けばどこかの牢屋に閉じ込められていました」


「魔王領か?」


「おそらくは。逃げる際には必死でしたから、方角や位置はよく分かりませんでした」


 牢屋には他の場所で結界の紋章を配置していた術士達が閉じ込められており、皆一様に何が起こったのか分からなかった。


「しばらくすると、我々を攫った魔族が現れ、なぜ我々を誘拐したのかを話し始めました」


「それは?」


「一体何のことかは分かりませんでしたが――――――――魔族は我々に石像を破壊しろと言ってきたのです」


「ッ!?」


 石像という言葉にザックとソルは息を飲む。二人ともリカルドから石像が何の役割を示しているかを知らされていた。


 さすがにフロルドにはその事を伝えることはできない。石像の封印を知っているのは限られた人間だけだからだ。


 なぜ破壊しようとしているのかは一先ず置いて、話を進める。


「魔族は我々に巨大な紋章術を展開させ、超遠距離からの砲撃で石像を破壊すると説明しました」


「しかし、集められた紋章術師だけで超遠距離から破壊できるだけの威力が出せるのですか?」


 ソルが素朴な疑問をぶつける。


 誘拐された紋章術師はおそらく100人にも満たないだろう。数十人の力を合わせても、精々結界を破壊できるほどだろう。それでも凄まじい威力だが、結界が破壊されれば、警戒が強まってしまう。

 それでは秘密裏に進めている意味が無い。


「…………魔族は、あるエネルギーを利用して、結界さえも一瞬で破壊できるほどの威力を出そうとしています」


「あるエネルギー?」


「…………紋章術師の命です」


『!?』


 フロルドが語った魔族の計画は恐ろしいものだった。


「誘拐した紋章術師の幾人かの命を使い、巨大紋章術を発動させ、一か所だけ弱まった結界部分を狙うと語っていました」


「そういうことか…………」


 結界の紋章を配置する際、なぜ一か所だけ襲撃されたのか。その理由は無事に完成させて油断した紋章術師を誘拐し、弱まった結界に向けて攻撃を放つ為だろう。


「このままでは皆が殺され、砲撃で甚大な被害を出してしまう!! 早く助け出さないと!!」


「わかった。分かったから少し落ち着け」


 興奮するフロルドを落ち着かせ、急いで医師を呼んだ。呼ばれた医師はフロルドに鎮静剤を投与した。


 これ以上は話が聞けないと判断したザックはソルを連れて部屋を後にした。


「…………緊急会議を行なう。準備を進めろ」


「了解しました」


 急がなくてはならない。このままでは最悪が復活してしまう。それだけは絶対に阻止しなければならない。



お久しぶりです。

最近は帰ってきてもなかなか執筆が進まず、

前回の更新から少し時間が空いてしまいました。


今の部署は以前にも言った通り最悪で、

帰ってきてもイラついて上手く書けません。

とりあえず年度が終われば契約が切れるので、

それまでは頑張ろうと思います。

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