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格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第八章「魔王領探索」編
154/202

第百四十九話「裏切り」

お待たせしておりました!!


出張も無事に終わり、執筆もなんとか終わりました。

今月はまだ出張がありますが、

次までには出張先での執筆方法を考えたいです。


まあ、それはさておいて本編をお楽しみください。


 終わりのない魔物の群れは、冒険者達の体力を徐々に奪っていった。


「ちっ、いつまでこうしてりゃあいいんだ!?」


 ブラックは愚痴をこぼしながら、大剣を振り続ける。魔物を斬り続けて切れ味が落ち、大剣の質量を利用して叩きつぶす様に魔物を殺していく。


 周りの冒険者達の武器も切れ味が落ちているが、それぞれに工夫を凝らしながら戦い続けていた。


 だが、武器はどうにかなっても体力は回復することはできない。


「お前ら、もうすぐ切り札が力を発揮する!! 諦めるな!!」


 ザックも大剣を振り回しながら叫ぶ。今後の作戦を考えると、ここを簡単に崩されるわけにはいかない。


(頼むぜ、リカルド)


 ちらっと街の方角を見つめ、ザックは魔物に向かっていった。






 作戦本部では人々が慌ただしく動き回っていた。怒号が飛び交い、資料を片手に作戦を伝達していく。


「おい、そういやリカルド様は?」


「さっきマリューク殿と出て行かれたが…………」


「…………ちょっと見てきてもらえるか?」


「あ、はい。分かりました」


 リカルドの補佐をしていたギルドの職員ソルが近くを通りかかった女性職員に様子を見てきてもらう様に頼んだ。女性職員は返事をして部屋を出ていった。


 ソルはどうにも違和感を覚えていた。重要な話があろうとも、リカルドが今の状況で長時間席を外すとは思えない。


 何か問題が生じたのではないだろうか。


「きゃああああああああ!!」


 とりあえず仕事に戻りながら待とうとした瞬間、女性職員の悲鳴が聞こえてきた。ソルは椅子を蹴飛ばしながら、部屋を飛び出した。






 アーセル王国と魔王領の境界沿いの森の中。そこに数十人もの紋章術師と冒険者が作業を行なっていた。


「どうだ?」


「まもなく完成します。ですが、なぜか以前の調査よりもマナが少ないです。おそらく予測していた結果ほどの数値が期待できません」


「分かった。そのまま作業を進めてくれ」


 紋章術士を束ねているリーダーが現在の状況を説明する。


 ギルドの作戦は魔王領との境界沿いに紋章を配置し、紋章を連動させることで一つの結界を構築させる。


 各地域に紋章を配置し、そこに石造りの建物で封印を施す。


「調子はどうだい?」


「なっ!? …………あなたがなぜここにいるのですか、アーノルド殿?」


 これからの事を考えていたところに、突然声が掛かる。振り返ると、そこにはここにいないはずのアーノルドが立っていた。


 ギルドの作戦は基本的に秘密裏に進行することになっていた。冒険者達には知らせず、彼らには魔物との戦いに集中してもらう。


 アーノルドは場所どころから、作戦さえ知らないはずだ。


「なに――――――――こういうことだ!!」


 ザシュッ!!


「ぐふっ!?」


 突然剣を抜いたアーノルドは、紋章術士の身体に向けて振り下ろした。剣は紋章術士の身体をバッサリと斬り裂き、傷口から血が飛び散った。


 膝を折り、倒れていく紋章術士をアーノルドが笑顔で見下ろしている。


「順調にいっては、困るのだよ」


 あまりに突然で、周りにいた者たちも一瞬動くことが出来なかった。だが、状況を理解すると、その場にいた全員が臨戦体勢を取った。


「さて、君達には死んでもらうよ」


 そう言って、アーノルドは近くにいた兵士に襲いかかった。次々とアーノルドの剣に斬られ、倒れていく。


 それでも必死に抵抗しながら、他の紋章術師は倒されたリーダーに治癒の紋章を施していく。


「ぐっ…………!!」


「動かないでください!! 今傷を塞ぎますから」


「俺のことは、いい。直ぐに、紋章を、発動させろ」


「し、しかし!! 紋章はまだ…………」


 リーダーは自分の身体の事より結界の紋章を心配していた。


 アーノルドの目的は、おそらく結界の紋章だ。結界の紋章を利用するのか、破壊するのかは分からないが、このままではギルドの作戦は失敗してしまう。


 しかし、部下が言う様に紋章はまだ完成していない。今の状態で発動させたとしても、この周辺の結界だけ効力が弱くなってしまう。


「このままでは、完成することなく、破壊される、可能性がある。ごほっ、ごほっ!!」


「無理しないでください!!」


 口から血を吐きながらも、リーダーは強い意志を持って指示を出した。


「はあ、はあ。いいか。俺達がここで失敗すれば、多くの人たちが、危険に晒される。それを護るのが、俺達の使命だ」


『…………』


 誰もが自分の使命を思い出していた。今も魔物の群れはこちらに向かっている。そして冒険者達が必死に戦っている。


 ここで自分達が仕事を放り投げるわけにはいかない。


「行け!! 己のなすべきことを成せ!!」


『はい!!』


 部下達は一人を残して結界の紋章に向かって走っていく。残った一人はリーダーの治療に当たり、今後の指示を受けていく。


「させると思うかい?」


 彼らが紋章を発動させようとする光景を眺めながら、アーノルドがゆっくりと彼らに近づいていく。


 アーノルドの持つ剣は大量の血に濡れ、切っ先から血が滴っていた。


 ドラゴンすら倒すと言われているほどの実力者だ。後十分もあればこの場の全員を殺すことが可能だろう。


 そして、紋章術士たちも実力差は承知の上だった。


「展開させろ!!」


『おう!!』


 結界の紋章を発動させる術師以外の全員がアーノルドと紋章を阻むように結界を展開させた。


「…………私を舐めているようだな」


 片手剣についた血を振り払い、アーノルドは結界に向けて剣を振り上げた。この程度なら一振りで結界を破壊できるだろう。


 ヒュン!!


 いつも通りに振り下ろされた剣は結界に阻まれた。


「なに!?」


「その程度で、俺達の結界は壊せないぜ」


「ッ!?」


 アーノルドが術士たちを見ると、彼らは全員口から血を流していた。その瞬間、術士が何をしたのかを理解した。


 なぜアーノルドの剣が弾かれたのか。それは彼らが己の命を代償にして結界を張っているからだ。


 人の生命力は凄まじいエネルギーだ。その全てを結界に注ぎ込むことによってアーノルドの攻撃を弾くほどの強度を誇ったのだ。


 人の力では決して破壊出来ない結界を前に、アーノルドは立ち尽くすことしかできなかった。



いかがでしたでしょうか。


9月に入って多少は落ち着いたので、

執筆スピードも多少は上がると思います。


ただ、前から楽しみにしている某狩りゲーが発売するので

集中力を乱されないように気をつけたいです(-_-;)

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