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格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第八章「魔王領探索」編
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第百四十七話「決起」


 戦いを終えたスレッド達は、回復薬を飲みながら休んでいた。


「それ、本当?」


「ああ。奴は俺達がいない間に人間を襲うつもりだ」


 スレッドはブレアにボルフォックとの会話の内容を話していた。


 ボルフォックは人間界を襲う為に、スレッド達をここに誘き寄せた。どうやらそれほどスレッド達を警戒していたようだ。


 どれほどの規模の襲撃かは分からないが、これから向かってもスレッド達は間に合わないだろう。


 それにある程度回復したとはいえ、まだ戦えるほどの回復はしていない。


「信じよう、皆を」


「…………だな」


 今はどうする事も出来ない。ならば、リカルド達を信じるしかない。


 スレッド達は出来るだけ早く活動できるように、回復に専念した。


「すう…………すう…………」


「ワフゥ…………」


《…………》


 スレッドとブレアの隣では、丸まったライアの身体を枕にして眠るミズハとその脇で丸くなって眠る白夜の姿があった。






 所変わって、魔王領と接する街リュディオン。街を覆う外壁の上で二人の男が魔王領を眺めている。


「珍しいな。お前さんが現場に出てくるなんてな、リカルド。そろそろ若い連中に任せたらどうだ?」


「そうしたいのも山々じゃが、まだまだ若い連中では頼りない。わしが頑張るしかないわい」


「がっはっは!! 違えねえ!!」


 杖をつきながら鋭く前を見据えるリカルドの隣で、リュディオンの責任者であり、ギルドマスターの一人であるザックが豪快に笑う。


 二人が見つめる先には、森の奥の方から横に広がる砂塵が見える。かなり遠くでしっかりと確認することはできないが、おそらく魔物の群れだろう。


 このまま進めば、リュディオンを護る外壁に激突する。


 リュディオンの壁は頑丈に造られている。更に紋章術で結界を張り、低級の魔物では触れただけで死んでしまうほどだ。


 しかし、見えている量の魔物がぶつかれば、防ぎきれないだろう。


「集まりはどうだ?」


「各地に声を掛け、それなりには集まった。あやつらなら大丈夫じゃろう」


「そうか。なら、俺も行くとするか」


 ザックは地面に突き刺していた大剣を持ち上げた。両手でも持ち上げるのに苦労しそうなほどの大剣をザックは片手で持ち上げている。


「もう少し落ち着いてはどうじゃ。ギルドマスターが前線とは」


「いいんだよ。人それぞれだ。俺はまだまだ現役だ!!」


「お前さんこそ、若い連中に任せるべきじゃないのかのう」


 リカルドは苦笑いを浮かべながら、戦場に向かうザックの後ろ姿を眺めていた。ザックの姿が見えなくなってから、リカルドは再び魔王領へ視線を向けた。


「…………頼んだぞ」


「こちらでしたか」


 声を掛けられ、声のする方に視線を向けると、そこには黒い長髪を背中まで伸ばした男性が立っていた。


 微笑を浮かべ、女性が見惚れそうなほど顔立ちが整っている。片手に書類を持ち、リカルドに近づいてきた。


「探しましたよ、リカルド様。そろそろ作戦本部にお願いいたします」


「うむ」


 近づいてきた文官の男に従い、リカルドは作戦本部に向かっていった。






「おうおう、うじゃうじゃとやってきてやがるな!!」


 肩に巨大な剣を担いだ色黒の男が楽しそうに迫りくる魔物の群れを眺めている。


「はしゃぎ過ぎだ、リーダー」


「あんまりはしゃいでいると、怪我しますよ~」


「うるせぇ!!」


 右手に槍を持った眼鏡をかけた男と、杖を持ち僧侶の様な恰好をした金髪の女性が色黒の男に注意する。


 しかし、色黒の男は口うるさい仲間に向かって叫ぶ。


 彼らは以前アーセル王国でスレッド達と共にレッドラードルの襲撃から街を守った冒険者である。


 色黒のリーダーであるブラック、眼鏡をかけた参謀的ポジションのシャンテ、パーティの紅一点であるミンティ。


 彼らはリカルドの声かけに応じて集まり、これからリュディオンを護る為に戦う。


「久しぶりだね、ブラック」


「おう、アーノルドじゃねえか!!」


 ブラックに声を掛けたのは、軽装備にマント、帽子を被りチョビ髭を生やした冒険者、アーノルドだった。


 アーノルドは以前リディア共和国の酒場でスレッド達が見かけた冒険者だ。ブラック達とアーノルドは昔からの知り合いで、たまにクエストの合間に酒を飲み交わす間柄だ。


「あなたも来ていたのですね、アーノルドさん」


「ああ、こんなときだ。手は多い方がいい」


 眼鏡を指で押し上げながら、シャンテはアーノルドに話しかける。アーノルドは周りを見渡しながら答えた。


 彼らの周りには多くの冒険者が集まっている。有名な冒険者もいれば、中堅どころで顔も知らない冒険者もいる。だが、低ランクの冒険者はいない。


 今回の魔物は魔王領に住む魔物だ。冒険者になりたてのひよっこでは戦うことすら難しい。戦いに参加すれば生き残ること自体出来ないだろう。


 この中でもブラック達とアーノルドは有名だ。あちらこちらから視線を集めている。


「よおし、お前ら!! よく聞け!!」


 突然野太い声が聞こえてきた。声のする方に視線を向けると、ブラック達がいる場所より後方にある小高い丘の様な場所にザックが立っている。


「これより迫りくる魔物からこの街を護る。敵は魔王領で生息する魔物だ。これまでお前らが戦ってきた魔物とはレベルが違う」


 誰もがザックの声に耳を傾けている。


「それでも俺達は戦わなければならない!! この街を!! 人々を護る為に!!」


 ザックは大剣を高々と掲げ、冒険者に向けて叫ぶ。その声に、その言葉に冒険者達は思いを一つにする。


「野郎ども、死ぬんじゃねえぞ!!」


『おお!!』


 人間と魔物、種族同士の大規模な戦いが始まろうとしていた。



大変お待たせしました!!


無事に出張を終わらせ、振替休日を利用して

なんとか執筆できました。


しかし、今後も出張がありますので、

そろそろ本格的に出張先で執筆できるように

何かしら用意したいと思います。


さて、そろそろ魔王領探索編も終了になると思います。

まあ後少しとは言っても、そこそこ話数がありますが……。


では、次の更新をお待ちください<(_ _)>

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