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格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第八章「魔王領探索」編
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第百四十四話「地下」


「まったく、舐められたものね。小娘二人でどうにか出来ると思われているなんて」


「ッ!? 誰だ!!」


 ミズハとブレアが空を見上げると、肌の露出の激しいドレスを着た金髪の美女が浮かんでいた。


 口調とは裏腹に、表情はとても楽しそうだ。まるでおもちゃでも発見したような笑顔だ。


「ふふ、ここで死ぬ予定のあなたたちには必要ないことだけど、せっかくだから名前だけは教えてあげる」


 美女は空中で器用に体勢を整え、両手でドレスの裾をつまみあげた。


「私の名前はエヴァ・キーヌ。魔族の一人よ」


 まるで貴族の令嬢のごとき礼をした後、エヴァは左手に数本の銀の針を持ちながら構えていた。


「さあ、楽しみましょう」






「うおおおおおおおお!!」


「はああああああああ!!」


 砂の中を沈んでいったスレッドとボルフォックは、地面の中にある広大な空間に到達した。


 地面の中なので暗いかと思いきや、なぜか壁を形成している砂が光っている。どうやら特殊な素材が使用されているようだ。


 人工的に造られたと思われる空間だが、二人には関係なかった。地面に降り立つと、すぐさま相手に向かって駆け出した。


 お互いに場所のことなど気にせず、相手を倒すためだけに動いていく。


 目にも留まらないほどのスピードで拳を振り、蹴りを放つ。お互いに攻撃をいなしながら、徐々にダメージを与えていく。


「とっととくたばれー!!」


「人間風情がー!!」


 ゴォン!!!!!!!!


 振り上げた右足がぶつかり合い、衝撃で二人は後方へと吹き飛んだ。


「はあ……はあ……」


「ふうー…………」


 間合いを取り、睨みあう二人。スレッドは息を整えながら、ボルフォックを警戒している。


 対するボルフォックは一息吐いただけで、隙だらけでスレッドを見ている。


「さっさと諦めろ。人間界は最早終わりだ」


「…………どういう意味だ?」


「まもなく人間界への襲撃が行なわれる。それに伴い封印が破壊され、世界は暗黒の世界に包まれる」


「なっ!?」


 ボルフォックの言葉に動揺する。まさかスレッド達が閉じ込められた裏にそんな罠があるとは思わなかった。


 このままでは人間は魔物に蹂躙されてしまう。だが、目の前の敵を前にして向かうことなど出来ない。


「闘技場を覆うシールドは、俺が死なない限り開くことはない」


「…………なら、お前を倒してから向かうとするさ」


「無駄だ。ここがお前の死に場所だ」


 両手両足に力を集中させ、二人は接近していく。


 拳がぶつかり合い、蹴りが防御を吹っ飛ばす。激しい衝撃が地下の空間を揺るがし、おそらく美術的価値のある壁が破壊されていく。


 そんなことはお構いなく、二人の戦いは激化していく。魔力を刃の様に変化させ、ボルフォックは手刀を振るう。手刀を紙一重で回避して、スレッドは拳に紋章を展開させながら拳をボルフォックに叩きこんだ。


「ぐっ!!」


 激しい衝撃と共に紋章が爆発を起こす。強靭な魔族の身体だが、全く傷つかないわけではない。


 手甲の紋章で腕を強化させ、爆発から自分の腕を護る。だが、強化したとしてもそれなりにダメージが残る。


 スレッドの右腕には痺れが残っている。しばらく右腕は使い物にならないだろう。


 それでも魔族にダメージを与えたのだ。右腕を潰した甲斐がある。


「もう一つ!!」


 左手を槍のように見立て、闘氣を鋭く変化させる。左手をボルフォックの腹に突き刺す。


「がはっ!!」


 スレッドの左手がボルフォックの腹を貫く。人間とは違う緑色の血が流れ、ボルフォックの身体から力が抜けていく。


「ふ、ふふ…………」


「…………」


 口からも血を流しながら、ボルフォックは楽しそうな表情で笑う。腹を貫かれたことなど何でもないかのような態度だ。


 不審に思うスレッドだが、これ以上ボルフォックは戦える状態ではないと判断する。見た目の状態だけでも、身体を動かすことすらできないだろう。


 しかし、それでも警戒せずにはいられない。目の前にいるのは普通の敵ではない。


「まさか、ごほ!! 人間が、これほどの力を身につけているとはな…………」


 血を吐きだしながらも、感心したようにスレッドを眺める。


 ボルフォックの言葉を聞きながら、スレッドの中にはある疑問が生じていた。


 確かにスレッド自身も成長しただろう。カロリーナやセバスとの修業など、これまでの努力が実になってはいるだろう。


 それでもこれほど簡単に魔族を倒せるほどうぬぼれてはいない。


「確かに、お前は強い。だが――――――――やはりお前はここで死ぬ」


「!?」


 ボルフォックの全身に紋章が浮かび上がる。前に浮かんだ紋章とは多少形が違う。


 スレッドは危険を感じ取り、ボルフォックから距離を取ろうとした。だが、突き刺した腕が抜けない。


「無駄だ。大人しく、死ね」


「うおおおお!!」


 激しく抵抗するスレッドを楽しそうに眺めながら、ボルフォックは力を解放させた。


 地下の空間は光に包まれ、激しい爆発が空間を揺るがした。



色々とお待たせしております。


ここ最近仕事の方が忙しく、なかなか執筆が進みません。

ですが、もうすぐ夏休みに入りますので、

そこで書けたらと考えています。

ですが、夏休みの内数日は出張が入っております。

出来れば出張先でも執筆はしたいですが、

結局ノートPCを買いませんでしたので、

とりあえず出張後の振り替えで執筆します。


次は夏休みに入ってからになります。

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