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格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第八章「魔王領探索」編
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第百四十一話「鎧の男」

皆様、お待たせしました!!

本日から「格闘家な紋章術士」を再開いたします。

まだまだこの先が試行錯誤になりそうですが、

これからも頑張ってまいります。


それでは、本編をお楽しみください。


 スレッドの勘を頼りに森の中を進んでいく。出来るだけ魔物を回避しながら、随時メモを取っていく。


 魔王領の魔物は想像以上に強かった。倒せないほどではないが、あまり体力を消費する訳にはいかない。


 スレッド達は気配を極力消しながら草木をかき分けていった。


「…………」


 静かに、ゆっくりと進んでいく。適当に進んでいる様に見えるが、スレッド達は何かに導かれるように進んでいった。


 しばらく森を進んでいくと、スレッド達の眼の前に白い壁が広がった。


「壁?」


 壁は横に広がっており、形状から円を描いているように見える。その大きさは一つの街ほどの広さがありそうだ。


「あそこに入口があるみたいだ」


 ミズハが指差す先には、白い壁の一部に入口の様な穴が開いている。他には何も無い。


 明らかに罠のように見える。ここに来るまで魔物を避けてきたが、作為的に誘導された可能性がある。


 それでも、魔王領にやってきた目的を考えれば、調べないわけにはいかない。


《明らかに罠だと思うのだがのう…………》


「罠なら罠で、喰い破ってやるよ」


 白夜の言葉にスレッドは力強く答える。頷く者もいれば、苦笑している者もいる。それでも反対している者はいない。


 スレッド達は白い壁の中に入っていった。






 白い壁に囲まれた通路を進み、しばらく進むと少し先に光が見えてきた。光を抜けると、そこには広大な円形の闘技場が広がっていた。


 屋根は無く、雲の掛かった空が広がっている。


「ようやく来たか」


『ッ!?』


 闘技場の中央に黒い鎧を着た男が立っていた。男は右手に巨大な戦斧を持ち、圧倒的な存在感がある。


 スレッド達はすぐさま戦闘態勢を取る。


「ふん、慌てるな」


 鎧の男が左手を上げると、闘技場全体にかけられた紋章術が発動する。発動した術は入口を塞ぎ、出入りを出来ないようにした。


「これで邪魔は入らない」


「ご丁寧にどうも」


 強力な結界は魔王領の魔物すら防ぐことが出来る。雑魚に邪魔されること無く戦える。


 準備を終えた鎧の男は戦斧を構えた。


「我が名はボルフォック。好きに掛かってこい。ここがお前達の墓場だ」


「人間、舐めんなよ」






 最初に動いたのはスレッドだった。速攻で合体紋章を発動させる。雷と身体強化の紋章を重ね合わせ、膨大なエネルギーで身体を覆った。


 一気に足を踏み出し、間合いを詰めた。


足を踏ん張り、右手にエネルギーを集中させる。右手の手甲がエネルギーを更に増幅させ、右の拳をボルフォックの腹に叩きこんだ。


「おらぁ!!」


「ふん!!」


 まるでスレッドの攻撃を受けなかったかのように。ボルフォックは右手の戦斧を振るう。スレッドは上体を逸らして、紙一重で戦斧の刃を回避する。


 そのまま両手を地面に付け、後方へとバク転する。


「やあ!!」


 バク転するスレッドの陰に隠れながら、ミズハは空中に飛び出した。身体に纏った炎を刀に集約していく。


「白夜!!」


《ほれ》


 白夜によって炎が増幅され、増幅された炎を圧縮していく。赤白く圧縮された刀を振り上げた。


「はあぁぁ…………」


 ボルフォックは両手で戦斧を持ち、力を溜める。空中に飛び上がったミズハに移動手段はないだろうと考えていた。


 刀程度では黒の鎧を傷つけることはできない。ミズハが地面に着地してから攻撃しても問題ない。


 ボルフォックが力を溜めているのを見て、白夜が判断する。


《主、気を抜くでいないぞ》


 白夜は尻尾を三本に増やし、一本をミズハの身体に巻きつけた。残り二本の尻尾の先を刃に変化させ、ボルフォックに向けて伸ばしていく。


 刃は正確に鎧と鎧の間を狙っていく。鎧の中身がどうなっているのか分からないが、ダメージを与えることが出来る筈だ。


「無駄だ」


 ボルフォックは微かに動き、ヒットするポイントをずらす。白夜の刃は鎧に弾かれた。


 しかし、白夜の目的はダメージを与えることではなかった。白夜の尻尾はボルフォックの戦斧に巻き付き、一気にミズハごと間合いを詰めていく。


「ミズハ!!」


「ッ!!」


 そのまま刀を振るおうとした瞬間、ブレアの声が聞こえた。声に反応し、刀を持つ手の動きを止める。


 ブレアは『魔女の眼』を発動させ、ミズハの真下の空間を見つめる。マナの動きを見極め、世界の答えを見つける。


 見つけた答えを現実世界に表示させ、ミズハの真下に風を巻き起こした。風はミズハを更に上空へと押し上げ、上空からボルフォックの真上に位置した。


 炎を翼の形にイメージし、刀身から羽を生やしたように炎が広がる。


「飛炎…………龍線!!」


 兜に向けて突きを放ち、直撃した瞬間に炎がボルフォックを包みこむ。白夜の尻尾を使ってミズハはスレッド達の元に移動する。


 燃え盛る炎を見つめながら、スレッド達は戦闘態勢を解かない。この程度で魔族を倒せたら苦労しない。


 それでも多少は鎧にダメージを与えられることを期待した。


 ヴォン!!


「ふん。それなりか」


 たったの一振りで炎を薙ぎ払う。鎧は微かに燃えていたが、ダメージというほどの被害はない。


「まだまだ、これからだ」



いかがだったでしょうか。


一応は再開はいたしましたが、

8月は出張など色々忙しくなりますので、

まだまだ更新速度は遅くなりそうです。


出来るだけ新作と併せて進めていきたいですので、

応援のほどよろしくお願い申し上げます<(_ _)>

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