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格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第八章「魔王領探索」編
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第百三十二話「壁」

「ぐふっ!?」


 お腹に走る衝撃に体勢を崩すスレッド。


「確かに貴方は強い。我流でそこまでの技術を身につけるのは素晴らしい才能です。だからこそ惜しい」


「くっ!!」


 スレッド必死にセバスの攻撃を防御する。だが、セバスは防御の隙間を縫うように攻撃を放つ。攻撃は的確にヒットし、スレッドは苦痛に顔を歪めていく。


 二人の戦いは、初めからセバスの優勢で進んでいった。スレッドの攻撃は全く当らない。合体紋章を発動させていないにしても、これほどまでの実力差があるとは思っていなかった。


 セバスは右足に氣を集中させ、突くように蹴りを放つ。まるで槍の動きの様な直線的な動きの様に見えるが、足の動きは変幻自在に変化する。


 右肩を狙っていたはずなのに、なぜか左肩にヒットしている。ヒットするポイントが変化するかと思えば、動きが変化することなくそのまま直撃する。


 次から次へと弄ばれる様に攻撃を受けていくが、徐々にだが回避できるようになってきた。


「なかなか頑張りますね。では、これなどどうですか?」


「うわっ!?」


 まるで動物とじゃれあう様に物を投げる様な仕草で、手に集めた氣を放り投げていく。至近距離で投げられたことで回避することが出来ない。


 スレッドは消すこともできない氣の弾を全て受けてしまう。スレッドの身体は後方へと吹き飛ばされ、地面に倒れそうになる。


 何とか体勢を整え、しっかりとセバスに意識を向ける。再び攻撃しようとするセバスに対し、スレッドは全身に氣を巡らしながら反撃する。


「…………こうか?」


「む!?」


 セバスの動きをしっかりと観察し、感覚で拳を放つ。その撃ち方はセバスの攻撃と遜色ないほどの完成度だ。


 スレッドの攻撃はヒットしなかったが、セバスを警戒させるに十分だった。


 感覚を研ぎ澄ませ、セバスに向かっていく。徐々にセバスの攻撃に反応できるようになっていき、多少ではあるが攻撃がヒットし始める。


「さすがですな。飲み込みが早い」


 それでもセバスは余裕の笑みを崩さない。その年齢からは考えられないほどの動きを見せ、更にギアを上げていく。


 再び攻め込まれるかと思われたその時、




 カチ。


「!?」




 何かが噛み合う音がした様な気がした。スレッドは不思議な感覚に戸惑いながらも、セバスに拮抗していく。


 以前カロリーナとの戦いで感じた感覚が蘇り、セバスの攻撃を最小限の動きで防御・回避していく。


 突然動きが良くなったスレッドに、セバスは慌てることなく嬉しそうに対応していく。


「…………どうやら、壁を越えた様ですな」


「壁?」


「達人になる為の壁でございます。その壁は才能があっても、簡単に越えられるものではありません。ですが、スレッド殿はたった今越えられました」


 二人は戦いを続けながら、余裕で会話を続ける。スレッドも先ほどまでとは違い、セバスの攻撃を受けることなくセバスの言葉に反応した。


 人はある一定の実力まで登ると、壁にぶつかる。その高さは人それぞれではあるが、簡単に越えられるものではない。


 どれだけ努力しようとも、どれほどの才能があろうとも、壁を超えることが出来るのはほんの一部だ。


 壁を越えた者は、技の精度などが格段に進化する。まるで世界が変化したと錯覚するほどに自身の動きが鋭くなっていく。


「では、更にギアを上げていきますよ。よろしいか?」


「ああ!!」


 新しい感覚を使いこなすために、スレッドは全力でセバスに挑んでいった。






 コンコン。


「はい」


「お邪魔するわね」


 ノックの音に反応し、ミズハは返事をする。ミズハの返事を聞いて、リアナが部屋の中に入ってきた。


 部屋の中にはミズハだけだった。さっきまでブレアが一緒にいたが、自分の準備のために客室に戻っていった。


 ミズハはリアナを部屋のソファに勧め、メイドが注いだ紅茶を飲みながら向かい合った。


「どう、準備は出来たかしら」


「うん、殆ど準備は終わったわ。後は出発するだけ」


 和やかな雰囲気で話をするミズハとリアナ。普段のミズハはリアナと砕けたように話す。


 しばらく近況などを話していたが、リアナが急に真剣な表情を浮かべた。これまでミズハが見たこともないほど真剣だ。


「さて、本題に入りましょうか」


「…………」


「確かに貴女の決意は確認しました。それでも魔王領は危険です」


「分かっています」


 揺らぎの無い瞳を見つめながら、リアナはゆっくりと頷いた。


「ミズハ、貴女に訓練をつけてあげます」


「お、お母様!?」


 立ち上がり、不敵な笑みを浮かべながらリアナが提案する。リアナの周りには徐々に炎が発生し、既に臨戦態勢だ。


 どうやら、冗談ではなさそうだ。


「我が家系の力の使い方を教えてあげましょう」


「…………お願いします」


 リアナは見た目戦えるようには全く見えない。だが、実際に戦ってみると、ミズハは一度も勝利したことはない。


 そんなリアナに訓練をつけてもらえるのだ。更にはこれまであまり教えてもらえなかった『血の紅』の力の使い方を教えてくれるという。


 ミズハは嬉しそうに立ち上がってリアナについていった。



遅くなりました。久々の更新です。


出張が終わったとはいえ、仕事はまだまだあります。

以前に比べて帰宅時間が遅いので、

なかなか執筆が進みません。

言い訳かもしれませんが、それでもこれからも多少遅くなりそうです。

更に他の話のアイデアが出てきてたりで、

「格闘家な紋章術士」の話がなかなか出てきません(-_-;)


それでも今はこの作品を更新しているのだから、

こちらを優先していきます。

ちなみに考えている話は今のところ公開の予定はないです。


では、次は出来るだけ早めに更新します!!

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