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格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第七章「日常」編
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第百三十話「リカルドの依頼」


「…………」


 干乾びたバブルリザードの遺体を埋め、スレッド達は手を合わせた。そのままにすることもできたが、そのままにしては遺体が腐り、森の植物が死んでしまう。


 それにこのまま放置するのは、あまりにも忍びなかった。


 しばらく拝んだ後、ヴィンセンテが立ち上がり、スレッド達に向き合った。


「ありがとう。スレッド達のおかげで助かったよ」


「…………いや」


 お礼を言うヴィンセンテにスレッドは顔を曇らせる。


 今回のクエストはバブルリザードを討伐する訳ではなかった。どうにか気絶させ、住処へと返す予定だった。


 今回の結果はクエストとしては成功でも、スレッド達の中では失敗に近い。


 スレッドの気持ちに気付いたヴィンセンテは、苦笑しながら自分の気持ちを答えた。


「今回のことは仕方が無いさ。それにスレッドがいなければ、僕達は魔族に殺されていたよ」


「だが…………」


「バブルリザードを助けるために自分の命を落としたら、本末転倒だ。皆無事でよかった」


「それよりも早く帰りましょ。さすがに疲れたわ」


「…………君はいつも通りだね」


 ナディーネのあっけらかんとした発言に、その場の誰もが苦笑いを浮かべる。先ほどまで暗かった雰囲気が少し明るくなった。


 スレッド達は荷物を纏め、村へと帰還した






 村に戻り、バブルリザードの脅威が無くなったことを村長に告げると、村の人々に大歓迎された。


 大喜びした村人たちは宴会の準備を開始し、夜には村を上げてのドンチャン騒ぎを行なっていた。


 スレッド達も参加し、各々宴会を楽しんでいた。


 スレッドとブレアは競い合うかのように料理を頬張っている。テーブルに並ぶ料理は次々に消えていき、若い女性達は大忙しに料理を運んでいる。二人には遠慮すると言う言葉が無かった。


 そんな二人を眺めながら、ミズハはゆっくりとお酒を飲んでいた。


「…………よく食べるな」


「おー、ふぃんふぇんへ」


「飲みこんでからにしなさいよ」


 スレッド達が食事をしているテーブルに、ヴィンセンテとナディーネが近づいてきた。二人ともラフな格好で、片手にお酒を持ちながら宴会を楽しんでいる。


 椅子に座り、スレッド達の食事が落ち着くのを待つ。しかし、食事はなかなか終わらない。


 仕方なく食事をしながら話し始める。


「改めてお礼を言わせてくれ。手伝ってもらえて本当に助かった。ありがとう」


「んぐ、んぐ…………気にするな。報酬はしっかり貰うし、そんなに大変なクエストじゃなかった」


「…………まあ、少しは認めてやってもいい」


「問題なし」


 笑顔で答えるスレッドに仏頂面でヴィンセンテを認めるミズハ、次の料理に手を出しながらブレアはすぐさま食事を開始する。


 これ以上はクエストのことには触れず、これからのことについて話し始めた。


「スレッド達はこれからどうするんだ? 僕達は一旦首都に戻り、ギルドへ報告に向かう。報告は僕達だけで構わないけど、支払はギルドから直接スレッド達に支払って貰うから、一度はギルドに立ち寄って欲しい」


「んー、そうだな…………俺達も一度ギルドに向かうかな」


「それで良いんじゃないか」


「さっさと受け取った方がいい」


 ヴィンセンテがギルドに話しを通してあるが、あまり遅くなるわけにはいかない。貰えなくなるわけではないが、遅くなり過ぎれば印象が悪くなる。


 こうしてスレッド達はヴィンセンテ達と一緒に首都へ向かうことにした。






「では、こちらがスレッド様達の報酬になります」


 ギルドに到着したスレッド達は受付で今回の報酬を受け取った。今回のクエストはランクが高く、ヴィンセンテ達との分割でもかなりの報酬が手渡された。


 更にポイントも加算される。さすがにランクアップとまではいかずとも、それなりにポイントが貯まった。この調子でいけば、もう少しでギルドランクAにランクアップする。


 報酬とギルドカードを受け取り、ギルドを後にしようとしたところで受付の女性に呼び止められた。


「リカルド様よりお話があるとかで、出来ましたら奥でお待ちいただけないでしょうか?」


「リカルド殿が? …………分かった」


 いきなりのことに驚いたが、リディア共和国で助けてもらったお礼も述べたかったので、ミズハとブレアに目配せし、女性の案内を受ける。


 ギルドの二階にある応接室に案内される。中には既に飲み物が用意されており、スレッド達はソファに座った。


「直ぐにまいりますので、少々お待ちください」


 案内の女性は頭を下げながら部屋を後にした。


「さて、何の話か…………」


「悪い話ではないと思うが…………」


「モグモグ」


 スレッドとブレアがこれからの話しに関して考えている横では、ブレアが出されたクッキーを頬張っていた。






「すまんのう。遅くなった」


 十分後応接室にリカルドが入ってきた。軽く挨拶を交わし、リカルドはスレッド達の向かいのソファに座った。


 すぐに自分用の飲み物とスレッド達のおかわりを職員に用意させる。職員は飲み物とクッキーを机に置き、部屋を後にした。


「以前は助けていただきありがとうございました」


「気にせずともよい。助けられたのはお互い様だ」


 スレッド達はリカルドに助けられたが、リカルドもリディア共和国元宰相のマドックの策略から助けられた。また、スレッドのおかげで魔族を退けることが出来たのだ。


 お互いさまということでお礼は良いとリカルドは語った。


 世間話もそこそこに、リカルドは本題に入る。


「あまり時間が無いのでのう。本題に入るのだが…………お主たちに依頼したい事がある」


 それまで穏やかに話していたリカルドは、真剣な表情で本題を話し始めた。その雰囲気を感じ取り、スレッド達も真面目な表情で話を聞く。


「ギルドは魔王領を探索することを決定した。そこで、お主たちに魔王領の探索を依頼したい」


 こうして、人間の魔族に対する反撃の狼煙が上がった。



いかがだったでしょうか。

一応この話で第七章は終了となります。


本来でしたら、ここから第八章のプロットを作るのですが、

その前にキャラクターなどの設定を公開できる形に作り変えようかと考えています。出来次第更新したいと思います。


以前から公開は考えていたのですが、なかなか時間がなくて

本編を優先してしまいました。

しかし、ここで原点に立ち戻り、読みやすいように設定を公開したいと思います。


ただ、色々見直すことが多いので、多少お時間をいただきたいと思います。

新しい部署での出張が決定し、更に仕事も増えてきたので

すぐにというわけにはいきませんが、

それでも頑張って早く更新できるように頑張りますので、

気長に待ってやってください。


他にもリクエスト等がありましたらよろしくお願いします<(_ _)>

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