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格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第七章「日常」編
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第百二十七話「VSヴィンセンテ・ナディーネ」


「…………」


 ナディーネは冷静に目の前に広がる泡を観察していた。頭の中で様々な計算式が浮かび上がり、一つの回答を導いた。


「行くわよ」


 二丁の銃を構え、しっかりと泡に狙いをつける。意識を集中させ、泡だけに意識を向ける。それまで聞こえていた音が聞こえなくなり、感覚を意識的に遮断する。


 ドン!! ドン!!


 時間差で弾丸を撃ち出し、弾丸は泡に吸い込まれるように直撃した。


 パァァン!!


 弾丸によって泡が割れ、中から爆発を起こす。このまま爆発が続けば、ヴィンセンテとナディーネは爆発に巻き込まれてしまう。


 しかし、爆発はヴィンセンテ達の所まで届かなかった。


 一つ目の爆発のすぐ後に違う泡が爆発し、爆発の一部を相殺させていく。その後もナディーネは泡を順番に爆発させていき、最終的には全ての爆発を相殺させた。


「ウオォォォォ!!」


 泡が全て無くなり、両手で大剣を構えたヴィンセンテがバブルリザードに向かっていく。


 氣で身体強化を行ない、一気にバブルリザードに近づく。バブルリザードの攻撃を大剣でガードしながら、縦に構えた大剣を地面に突き刺した。


「ボルク・ショット!!」


 大剣を突き刺された地面が爆発する。破壊された地面の土や岩が空中に飛び上がり、バブルリザードの視界を塞ぐ。


 ヴィンセンテは大剣の先に氣を集中させ、地面に接した瞬間に爆発させた。その爆発に従って空へと飛び上がる。


 空中で体勢を整え、大剣を振り上げる。重力に従って落下していき、大剣の刀身全体に氣を纏わせる。


「はあっ!!」


 大剣の刃の腹の部分でバブルリザードの頭に叩きつける。かなりの威力を発揮し、鋼と鱗がぶつかる鈍い音が森の中に響く。


「シュルルルル!!」


「ッ!?」


 だが、バブルリザードは平然とヴィンセンテに襲いかかる。大きく口を開け、丸呑みにしようと向かってくる。


 ドン!! ドン!!


 ナディーネが放った弾丸がバブルリザードの前足を撃ち抜く。バブルリザードの動きは止まり、悲鳴を上げる。


 だが、バブルリザードはすぐさま傷を回復させた。銃の弾程度では直ぐに傷が塞がってしまう。先ほどよりは動きが遅いが、再びヴィンセンテに向かってくる。


「ナディーネ、アレを頼む!!」


「りょーかい」


 ヴィンセンテの声に応えて、ナディーネは懐から金属の筒の様なものを取り出す。鈍い光を放つそれは穴が開いているわけでもなく、特殊な形をしているわけでもない。


 その筒をバブルリザードに向けて放り投げる。


 銃口を金属の筒に向け、意識を集中させる。外部の感覚を強制的に排除し、撃つことだけに感覚と研ぎ澄ませる。


 金属の筒を上手く作用させるためには、筒のある部分を正確に撃たなければならない。


「…………」


 ドン!!


 撃鉄が倒れ、一発の弾丸が撃ち出される。撃ち出された弾丸が金属の筒に当たる。


 キィィィィィィン!!


 筒に弾丸が直撃すると、森の中に甲高い音が響き渡る。木や葉が音によって震え、バブルリザードもその音量に脳を揺さぶられる。


 ナディーネが投げた筒は、内部が複雑な造りをしている音叉だ。本来は遺跡などの探索などで隠し部屋を探すのに使うのだが、ナディーネは外から金属を叩きつけることで激しい音を発生させ、敵の動きを止める。


 ヴィンセンテはナディーネから渡されていた耳栓を渡されていたので、音の影響を受けなかった。


「効かないなら、効くまで叩くまで!!


 動きが鈍くなったバブルリザードに向けて、ヴィンセンテは大剣を全力で頭に振り下ろした。


「――――!?」


 音によって脳を揺さぶられ、更にヴィンセンテの攻撃を受け、バブルリザードはその巨体を地面に横たわらせた。


「よし。ナディーネ、鎖」


「はいはい」


 持参した鎖でバブルリザードを拘束し、バブルリザードが動けないのを確認する。


 気を抜くと今すぐ座りこんでしまいそうなほどヴィンセンテは疲れていた。長時間ではないが、バブルリザードと対峙することは体力的にも精神的にも疲労する。


 それでも休むわけにはいかない。2匹相手をしているスレッドとライアを助けに行かなければならない。


 二人はスレッド達が戦っている方に向かって走っていった。






「ガウ!!」


 紋章による鎧を纏ったライアは、凄まじいスピードで泡の間を駆け抜け、バブルリザードに近づく。


 スピードを生かしてバブルリザードを翻弄していくライアだが、クリーンヒットは与えられない。しかし、問題は無い。ライアの目的は時間を稼ぐことだ。


 スレッドからの指示はバブルリザードを1体引きつけること。出来るなら気絶させられればいいが、スレッド達がやって来るまで時間を稼げば問題ない。


 ライアは全力で動き回った。


「シャアアアア!!」


 イラついているバブルリザードは鳴き声を上げながら、爪や泡で攻撃を加えていくが、ライアは全て回避していく。それが更にバブルリザードをイラつかせる。


「ガウゥ!!」


 力強く踏み出し、木を伝って空へと飛び上がる。頭部に氣を集中させ、重力に従ってバブルリザードに体当たりを行なう。


 ゴォォン!!


 激しい体当たりを喰らい、バブルリザードは多少動きを止めるが、それでもバブルリザードを気絶させることはできない。


 ライアは体勢を整え、バブルリザードに立ち向かう。今度は紙一重で攻撃を回避しながら、一歩踏み込んだ攻撃を行なっていく。


 バブルリザードを翻弄しながら、ライアの戦いは続いていった。



大変遅くなって申し訳ありませんでした<(_ _)>


仕事で思わぬところに異動となり、

引き継ぎや新しい仕事などで帰ってから執筆する元気がなく、

いつも以上に時間がかかってしまいました。

おそらく新しい仕事に慣れるまでは更新に時間がかかってしまうと思います。

それでも早く更新できるように仕事も執筆も頑張っていきますので、

応援をいただけると大変嬉しいです。


…ちなみに今回の話は少し手直しが入るかもしれません(-_-;)

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