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格闘家な紋章術士  作者: 愉快な魔法使い
第五章「魔女の試練」編
106/202

第百四話「復活」

お待たせしました。本日から冬休みに入りました。

年賀状作成など色々やることはありますが、

これから年明けにかけて執筆をすすめます。


では本編をお楽しみください


「う…………」


 暖かい何かに包まれている感覚を全身に感じながら、ゆっくりと意識を取り戻していく。目に入ってくる光がまぶしい。


 身体が上手く動かない。痛みなどはないが、全身がだるい。全く動かせないことはないが、あまり動きたいとは思えない。


 それでも今の状況を確認しないわけにはいかない。今の状態で攻撃されれば、回避することはできないのだ。


 ゆっくりと、だが確実に眼を開いていく。


「ん? 起きたようだね」


「…………誰だ?」


 眼を開けると、ベッドに横になっているスレッドを覗きこむカロリーナの姿があった。






『スレッド!!』


「心配掛けたみたいだな」


 スレッドが目覚めたことを知らされたミズハ達は、大慌てでスレッドがいる寝室へと飛び込んだ。


 上半身を起こし、笑顔で声を掛けるスレッドを確認した瞬間、ミズハとブレアは目に涙をためながらスレッドに抱きついた。


 二人の抱き着きは力の落ちているスレッドにはキツイものがあったが、それでも心配してくれた二人の為にも全力で二人の身体を支えた。


「身体に異常はないかい?」


「ああ。全快とはいかないが、それでも毒の影響は今のところ無いよ」


「そいつは良かった」


 スレッドの返事にカロリーナは満足そうに頷く。


 既にミズハ達がやって来る前にカロリーナとは自己紹介を済ませていた。彼女がフォルスの昔の仲間であり、スレッドの治療を行なったのも彼女であることを伝えられていた。


 色々聞きたいことはあるが、それは後からでも構わない。今は仲間に無事な姿を見せるのが先決だ。


「はいはい、診察するからいちゃついてないで準備しな」


「い、いちゃつくって!!」


「何かの見間違い」


「うおっ!?」


 カロリーナの言葉に顔を真っ赤にしながらミズハとブレアはスレッドの身体を離した。支えを失ったスレッドはベッドに倒れ込み、いきなりのことに驚きの声を上げた。


「…………スレッドも大変だね」


 三人の様子を部屋の端で眺めていたミラは、苦笑しながらぽつりと呟いた。






「…………」


 ベッドに横になっているスレッドに対して紋章を展開し、診察を開始した。紋章術師であるスレッドにはカロリーナがしようとしていることが理解でき、診察しやすいように自身の氣を操作する。


 数分間じっとしていると、診察が終了した。


「…………問題なさそうだね」


「その割には納得いっていない様な顔だな」


 診察を終えたカロリーナは難しい顔をしながら診察結果をスレッドに告げた。その顔は納得がいっていない様に見える。


「確かに私が薬を配合し、治療を施した。だけどね、ここまで問題ないなんてのが信じられないのさ」


「どういうこと?」


「『竜の血』はたった数滴で生物を死に至らせる。たとえ助かったとしても、何かしらの副作用などがあるはずさ。しかし、こいつにはそれが一切見受けられない」


 カロリーナはスレッドの頭をつつきながら答える。


 『竜の血』は絶大な魔力が籠った毒だ。どれだけの抵抗力を持っていても、あらゆる生物を死に至らせる。薬で命を繋ぎ止めたとしても、飲む前と同じ状態とはいられないはずだ。


 しかし、スレッドの身体には筋力が多少落ちている以外には問題が無い。本来ならばあり得ないことだ。


 問題ないことは喜ばしいことだが、それでもカロリーナには納得いかなかった。


「大丈夫なんだから、別に良いじゃないか」


「そうなんだがね…………」


 その後考え事をしているのか、カロリーナはブツブツと呟きながら考えを巡らせていた。


 考え事をしているカロリーナは放っておいて、ミズハとブレアはゆっくりとベッドに近づいた。


『おかえり』


「…………ただいま」


 とびっきりの笑顔でおかえりを言う二人に、言葉を詰まらせながらもスレッドはただいまと応えた。






「無事に治療は終了したが、かなり筋力が落ちているからね。1ヶ月はリハビリをしてもらうよ」


「勿論だ。身体が鈍ってしょうがない」


「しばらくはそうだね…………ライアにでも世話してもらいな」


 世話を誰に任せようかと部屋の中を見渡すと、自分がとでも言う様に手を上げるミズハとブレアがいた。


 しかし、ここでどちらかを選んではまた面倒なことになる。スレッドを気遣うとどうしてもどちらかを選べない。


 それならスレッドの氣獣であるライアに任せた方がいい。


「ワウ!!」


 頼られたことに喜んでいるライアは、嬉しそうに吠えた。


 さすがにライアに張り合うことはなかったのか、ミズハもブレアも不満そうだが文句は言わなかった。


 ひとまずは休むことに専念することになった。






「大丈夫そうだし、あたいはそろそろ行くよ」


 スレッドが普通に動けるまで回復したことを確認したミラは、そろそろ首都へと帰ると告げた。


 ミラはリディア共和国の代表だ。いつまでも仕事を放っておくわけにはいかない。仕事はいくらでも残っているのだ。


「ミラも心配かけて悪かったな。ありがとう」


「気にしなくていいよ。あんた達のおかげでこの国は助かったんだから」


 スレッド達がいなければ、リディア共和国は滅んでいたかもしれない。それを思うと、これ位どうということはない。


「ミラ、ありがとう」


「助かった」


「またこの国にやってきたら、尋ねてきな。それじゃあ、またな」


 右手を軽く上げながら、ミラは部屋から出ていった。


「一先ず移動しようかね」


 ここでもリハビリは出来るが、カロリーナの家の方が何かと便利だ。


 移動する準備をするスレッド達。あれやこれやと荷物を纏めていく。ドタバタでほのぼのと準備を進める裏で、世界は大きく動き出そうとしていた。



どうでしたでしょうか?

第五章自体皆様の評価や自分自身の評価が微妙なので、

後から見直すとして、

以前からお伝えしていた企画ですが、



フォルス達の過去話でいこうと思います。



出来れば元旦あたりに更新できるといいのですが、

まだ全体の具体案が出来ていませんので、

少し遅れるかもしれません。


そして第六章ですが、

前にあとがきで書いていた通り、

「世界会議編」に入っていきます。

魔族のたくらみも徐々に明らかになり、

対する人間たちが対策を考えていきます。


その後の第七章は小休止でスレッドのリハビリや

穏やかな日常を少し書いていきたいと考えています。


そして第八章「魔界突入編」と続きます。


上記の予定はあくまでも今現時点の考えであって、

状況によっては話数や章は増減します。


出来るだけ予定に沿って頑張ってまいりますので、

どうか皆様応援のほどよろしくお願いいたします<(_ _)>

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