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【推理〔文芸〕21位】霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
魔女裁判

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第1話 古代魔女裁判

霧都ヴァル・ロンドリア郊外。


古い石造りの教会。


夜。


重い扉が開く。


中には人々が集まっていた。


貴族。

兵士。

民衆。


そして壇上には


黒い神父服の男。


細い顔。

長い指。


モルガン神父。


彼はゆっくりと聖書を閉じた。


静かな声。


「人間は神の姿で創られた」


教会が静まり返る。


「しかし」


彼はゆっくり顔を上げる。


「この世界には」


「神の姿ではない者がいる」


被告席。


鎖に繋がれた少女。


猫耳の怪人。


民衆がざわめく。


「怪人だ」


「魔女だ」


「悪魔の子だ」


モルガン神父は微笑んだ。


「怪人は」


「神の似姿ではない」


「その姿は魔」


「その存在は邪悪」


聖書を掲げる。


「ゆえに」


「神の光の下にあってはならない」


民衆が叫ぶ。


「魔女だ!」


「裁け!」


「焼け!」


モルガン神父は手を上げた。


「静粛に」


そして宣言する。


「今宵」


「ここに」


「古代の神の裁き」


「魔女裁判を復活させる」



https://kakuyomu.jp/users/mushimatsu/news/2912051595213348079


教会が狂気に包まれる。


少女は泣き叫ぶ。



「違います…!」


「私は魔女じゃない!」


モルガン神父は冷たい目で見下ろす。


「神の前では」


「嘘は通じない」


槌を打つ。


「被告」


「猫人のエロール」


「魔女の罪」


「有罪」


民衆が叫ぶ。


「処刑!」


「処刑!」


「処刑!」


教会の奥。


処刑台。


柱。


積み上げられた薪。


少女は縛られる。


泣き叫ぶ。


「助けて!」


「私は魔女じゃない!」


誰も聞かない。


モルガン神父は十字を切る。


「神よ」


「邪悪を裁き給え」


兵士が火をつける。


炎が上がる。


少女の悲鳴。


「いやああああああ!!」


炎が柱を包む。


民衆は祈る。


狂信の祈り。


モルガン神父は静かに呟く。


「魔は」


「光の下にあってはならない」


やがて


悲鳴は消える。


柱には


灰だけが残った。


モルガン神父は聖書を閉じる。


静かに言う。


「神の裁きは」


「正しい」


その時。


教会の奥。


一人の男が拍手した。


パチ…

パチ…

パチ…


細身の男。


丸眼鏡。

黒いコート。

冷たい笑み。


ドクター・ハロルド。


モルガン神父が振り向く。


ハロルドはゆっくり言う。


「見事でした」


「モルガン神父」


「民衆心理の操作」


「宗教的恐怖」


「そして処刑の演出」


微笑む。


「完璧な社会実験です」


モルガン神父


「神の裁きです」


ハロルドは肩をすくめる。


「ええ」


「もちろん」


「白亜党の理想のために」


静かな声。


「人間こそが世界の頂点」


「怪人たちも」


「魔女たちも」


「すべて排除する」


モルガン神父の目が光る。


「これは」


「始まりにすぎない」


ハロルドが言う。


「霧都は変わります」


「人間の街へと戻ります。」


炎の残り火が揺れる。


そして


ハロルドは処刑台の灰を見つめる。


小さく呟く。


「ただし」


「一つだけ問題があります」


モルガン神父


「何です?」


ハロルド


「霧都には」


「一人」


笑う。


「厄介な探偵がいる」


霧の街。


その男の名はアレクシス・グレイヴン。

霧都最高の頭脳。

そしてこの事件の最大の敵である。

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