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【推理〔文芸〕21位】霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
汚職

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第8話 政治事務所にて大演説

ロウニン政治事務所。


執務室。


夜の霧が窓の外に漂う。


部屋には


アレクシス。

ミレイア。

オズワルド。

ガルム警部補。


そして


マーサ(秘書)

グレゴール(警備)

サイファー(秘書の娘)


さらに


壁際に立つ


ドクター・ハロルド。


白亜党の思想家で天才科学者。


静かに微笑んでいる。


アレクシスが言う。


「執務室で、おきた殺人事件は密室だった」


机に資料を置く。


「だが」


「密室は偽物だ」


ガルムが腕を組む。


アレクシスは続ける。


「犯行条件は四つ」


■犯行条件


・秘書ID使用

・口論

・刺殺

・窓から脱出


アレクシス


「まず」


資料を示す。


「秘書ID」


ガルムが言う。


「ログは残っている」


「犯行時刻の1時間前に」


「秘書IDでドアが開いている」


マーサが震える。


「でも…私は…」


アレクシス


「使ったのは」


静かに言う。


「あなたではない」


視線が向く。


サイファー猿人の少女。


部屋の中央に立っている。


アレクシス


「君は」


「母のIDを使った」


沈黙。


アレクシスは続ける。


「次に口論」


ガルム


「数時間前」


「執務室で争う声」


アレクシス


「君は」


「ロウニンを問い詰めた」


サイファーの拳が震える。


アレクシス


「怪人教」

「多額の献金」

「裏取引」

「共存政治家の嘘」


マーサが叫ぶ。


「サイファー…!」


サイファーが叫ぶ。


「聞いたの!」


「全部!」


涙が落ちる。


「人間と怪人のための政治家じゃなかった!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


犯行時の回想。


ロウニンの声。


ロウニン

「政治とは妥協だ」


サイファー

「嘘つき!」


ロウニン

「理想で国は動かん」


さらに低く。


「黙っていろ」


「余計なことを言えば」


「お前の母も終わりだ」


~~~~~~~~~~~~~~


現在。


サイファーの声が震える。


「……その時」


涙。


「刺した」


ガルムが静かに言う。


「凶器」


警官が袋を持つ。


銀ナイフ。


アレクシス


「人狼に致命的な武器」


「即死だった」


グレゴールが目を閉じる。


アレクシスは窓を見る。


「密室のなぞだ。」


ガルム


「どうやって出た」


アレクシスは窓枠を指す。


「猿人は」


「身体の毛が長い」


警官が証拠袋を出す。


「窓の鍵」


「擦れ跡あり」


「そして」


「猿人の毛が付着」


アレクシス


「君は窓から脱出した」


「そして」


手を伸ばす動作。


「細く長い毛を鍵に巻き」


「外から引いて」


「施錠したそして長い手で下の階の窓へ移動

上下の階の窓からサイファーの指紋を確認した。」


ガルムが言う。


「密室完成だ」


静かな部屋。


サイファーはうつむく。


そして


顔を上げる。


「……そうだよ」


涙の目。


「私が殺した」


マーサが崩れる。


「サイファー…!」


ガルム警官が近づく。


カチャ


手錠。


サイファーは叫ぶ。


「でも!」


涙。


「私は正しい!」


「嘘つき政治家を!」


「化け物扱いする世界を!」


「私は」


ガルム警官に外へと連行される。




遠くでハロルドが見ている。


静かな笑み。


ハロルド


「ほら見ろ」


低く言う。


「怪人は怪人だ」


「人間とは違う」


「見かけも」


「心も」


「化け物だ」


アレクシス


「違う」


ハロルドは笑う。


「だが安心しろ」


静かに言う。


「人間も同じだ」


窓の外。


白亜党の群衆。


「怪人排除!」

「怪人排除!」

「怪人排除!」


声が響く。


ハロルドは窓の外を見る。


そして


アレクシスを見て


嫌味な笑み。


「面白いだろう?」


小さく言う。


「私は彼女に資料を渡した」


オズワルド


「何だって!?」


ハロルド


「ロウニンの癒着資料」


「真実だ」


肩をすくめる。


「だが」


「まさか」


「殺人を起こすとは」


薄い笑み。


「愚かなことだ」


アレクシスの目が冷える。


ハロルドは言う。


「だが」


窓の外を見る。


群衆。


怒号。


「怪人排除!」「怪人排除!」「怪人排除!」


ハロルドが呟く。


「怪人は、この街には不要だ。」


霧の街。

政治。

思想。


そして


一人の少女の正義の殺人。

物語はさらに

深い闇へ進んでいく。

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