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【推理〔文芸〕21位】霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
汚職

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第3話 見つかった探偵

白亜党本部の会議室。


議論が終わり

支持者たちがざわめいている。


アレクシスは壁際に立ち

幹部たちの様子を観察していた。


その時。


窓際に立っていた男が

ゆっくり振り返る。


ドクター・ハロルド。


彼はアレクシスを見つめる。


数秒の沈黙。


そして突然、楽しそうに笑う。


「おやおや」


わざとらしく声を張る。


会議室の全員が振り向く。


ハロルドは大げさに手を広げる。


「皆さん」


「面白い人がゲストに来てますよ。」


支持者たちがざわめく。


ハロルドは指をさす。


「こそこそ白亜党を嗅ぎ回っている」


「探偵さんがいるじゃないですか」


笑いが起きる。


ハロルドはさらに声を上げる。


「しかもただの探偵じゃない」


「ご存じありませんか?」


芝居がかった調子で言う。


「天才探偵アレクシス・グレイヴン」


会議室がざわつく。


「アレが?」


「怪人の事件ばかり解決してる奴だ」


「怪人びいきの探偵だろ」


視線が一斉に集まる。


ハロルドはゆっくり歩いてくる。


まるで舞台の役者のように。


「いやぁ」


「光栄ですね」


「白亜党の会議に」


「そんな有名人が潜り込んでいるとは」


アレクシスは動じない。


「公開会議だ」


「聞くのは自由だろう」


ハロルドは肩をすくめる。


「もちろん」


「自由ですよ」


そして顔を近づける。


「ただ、あなたは」


「勇気がある」


「怪人の味方をする探偵が」


「ここに来るなんて」


支持者の何人かが怒鳴る。


「帰れ!」


「怪人の犬!」


「人間を裏切るな!」


ハロルドは楽しそうにそれを聞いている。


そしてアレクシスに言う。


「どうです?」


「これが」


「民意ですよ」


アレクシス


「憎しみを煽ってるだけだ」


ハロルドは笑う。


「いいえ」


「私は何もしていない」


ゆっくり手を広げる。


「人間とは、」


「元々こういう生き物です」


支持者に向かって言う。


「彼は怪人を守る探偵です」


「怪人の犯罪者を弁護し」


「怪人の被害を人間の責任にする」


ざわめき。


ハロルドは続ける。


「つまり」


「人間より怪人を優先する」


アレクシス


「勝手なことを言うな!事実を見てるだけだ」


ハロルド


「素晴らしい」


拍手する。


「怪人理想主義」


「実に美しい」


そして小さく笑う。


「ですが」


「ここでは通用しない」


支持者たちが怒鳴る。


「出ていけ!」


「怪人の仲間!」


「裏切り者!」


アレクシスは静かに出口へ向かう。


背後で笑い声。


ハロルドが大声で言う。


「皆さん!」


全員が振り向く。


ハロルドは指をさす。


出口へ向かうアレクシス。


「よく見てください」


勝ち誇った声。


「あれが怪人に味方する人間の姿です」


会場から嘲笑。


「逃げている」


「議論もできない」


「人間の敵だ」


ハロルドは満足そうに笑う。


「勇敢な探偵」


「ですが」


肩をすくめる。


「現実からは」


「逃げるしかない」


アレクシスは振り返らない。


扉が閉まる。


沈黙。


ハロルドは窓の外を見る。


白亜党のデモ。


叫ぶ群衆。


彼は小さく呟く。


「実にいい」


「憎しみは」


「よく燃える」


そして笑う。


「この街は」


「もっと面白くなる」


彼の人間世論誘導実験は順調に進んでいた。

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