第2話 白亜党に潜入
夜。
白亜党本部。
古い石造りの議事館。
入口には警備員。
街の外では、白亜党の支持者が集まり
「人間の街を守れ!怪人を排除しろ。」
と叫んでいる。
アレクシスは、ボランティア証を首にかけ
静かに建物へ入る。
会議室の扉が開く。
そこでは
白亜党幹部会議が始まっていた。
アレクシスは隅の席に座り観察を始める。
■① バルク議員(白亜党 急進派リーダー)
巨体。
赤い顔。
軍服のようなスーツ。
机を拳で叩く。
https://kakuyomu.jp/users/mushimatsu/news/822139846766325413
バルク
「街は腐っている!」
怒号のような声。
「吸血鬼!悪魔!人影!」
「人狼!猫人! 魔女!魔人!」
「猿人!魚人!」
「その他、怪人どもが人間社会を蝕んでいる!」
議場が静まり返る。
バルクは指を振り上げる。
「我々は、人間の社会、人間の街を取り戻す!」
白亜党の支持者が拍手。
彼は世界大戦のナチス党、ヒトラーのような将軍。
感情だけで突き進む
危険な扇動家。
アレクシスは心の中で言う。(党の顔、キング…)
■② エリザ・クレイド(白亜党 広報責任者)
静かな女性。
銀の眼鏡。
整ったスーツ。
彼女は冷静に言う。
「バルク議員」
「感情は理解します」
「ですが政治は戦略です」
声は穏やか。
しかし目は冷たい。
「怪人は社会コストが高い」
「犯罪率も高い」
資料を机に置く。
「これは感情ではなく」
「統計です」
彼女は言う。
「我々は排除ではなく」
「整理をするだけです」
その言葉に、会議室の空気が凍る。
ミレイアがいたらこう言っただろう。
この人は怒っていない。
本気で正しいと思っている。
■③ モルガン神父(思想指導者)
黒い神父服。
細い顔。
長い指。
彼は静かに聖書を閉じる。
モルガン
「人間は神の姿で創られた」
静かな声。
「しかし」
目を上げる。
「怪人は」
「その姿は魔だ。邪悪だ。」
会議室が沈黙する。
「魔は光の下にあってはならない」
彼は微笑む。
「魔は神によって消えるべきものだ」
狂信者の声。
神の宗教という最も危険な正義。
■④ ダルゴ・マーシャル(資金提供者)
太った男。
高級スーツ。
金の指輪。
彼はワインを飲みながら言う。
「理想は結構」
「だが」
「私が求めるのは秩序だ」
葉巻をくゆらせる。
「怪人は予測できない」
「企業は安定を求める」
つまり
彼にとって怪人は
利益にならない存在。
金で社会を動かす
現実主義の怪物。
そして。
会議室の奥。
窓際に立つ男。
白衣。
静かな笑み。
■⑤ ドクター・ハロルド(政策顧問・天才科学者)
彼はずっと黙っていた。
議論が終わると
静かに言う。
「素晴らしい」
全員が彼を見る。
ハロルドは笑う。
「怒り」(バルク議員)
「信仰」(モルガン神父)
「利益」(タルゴ)
「理想」(エリザ・クレイド)
「恐怖」(ドクター ハロルド・白亜党支持者)
指を折りながら言う。
「実に豊かな感情だ」
バルクが言う。
「何が言いたい」
ハロルドは窓の外を見る。
そこには
白亜党のデモの群衆。
彼は微笑む。
「憎しみは、素晴らしいエネルギーだ」
「やがて、世論を変える。」
会議室が静まる。
ハロルド
「社会を動かすのは」
「いつもそれだ」
そして小さく言う。
「革命も」
「戦争も」
「政治も」
彼は振り返る。
その目は
まるで研究者。
「すべて」
「憎しみから始まる」
アレクシスはその瞬間
理解する。
この男は、政治家でも思想家でもない。
実検を観察する科学者だ。
社会という実験を見ている。
ハロルドはさらに言う。
「さて」
「白亜党の未来を決めましょう」
彼はゆっくり笑う。
「この街は」
「面白くなりますよ」
アレクシスは静かに立つ。
この白亜党の集会場にいる人間。
全員がこれから敵になる可能性。
♚バルク議員(世論)
♕クレイド秘書(知性)
✚モルガン神父(狂信)
♖ダルゴ社長(資本)
♞ドクター ハロルド(実行)
五人の幹部。
その中心で
ハロルドが微笑む。
(ゲームの駒が揃った)
アレクシスは思う。
そしてこの男たちは
やがて
探偵アレクシス・グレイヴンの前に
巨大な敵として立ちはだかる
白亜党との闘いは、まだ始まったばかりだった。




