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霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
夜葬ホテルの亡霊

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第7話 チェス盤にて推理

霧都ヴァル・ロンドリアの夜。


静まり返った星霧探偵事務所。

窓の外では、街灯が霧にぼやけている。


机の上に

チェス盤。


燭台の炎が、静かに揺れている。


アレクシスがゆっくりと駒を並べていく。


ミレイアとオズワルドは黙って見守っていた。


その時。


ドアが開く。


ガルム警部補が入ってきた。


「報告だ」


低い声。


「ガウディー・ロンソンの死因が判明した」


アレクシスは手を止めない。


「毒殺だ」


部屋の空気がわずかに重くなる。


ミレイアが小さく息を吸った。


「毒……」


ガルム警部補は腕を組む。


「体内から検出された」


「ゆっくり効くタイプだ」


「死亡推定は、ホテルに来る前」


オズワルドが首を傾げる。


「え?」


「じゃあ……」


「ホテルで殺されたわけじゃない?」


ガルム警部補は頷く。


「そうなる」


その時。


カチ。


アレクシスが

最初の駒を置いた。


□ ポーン


「ホテルの従業員」


・キャロライン(従業員)

・イリーナ(フロント)

・イルミ(ベルボーイ)

・ゴンザレス(掃除)


いわばホテルで働く兵士。


チェス盤の最前列に並ぶ。


♞ ナイト


アレクシスが駒を跳ねさせる。


「チョイナ国のリン」


ミレイアが言う。


「ホテルの実質経営のオーナー」


アレクシスは首を振る。


「だが」


「ナイトは特殊な動きをする」


駒を動かす。


L字。


「だがこの事件では――」


駒を盤外へ置く。


「動いていない」


ミレイア


「つまり?」


アレクシス


「犯行不可能」


□ ポーン キャロライン


アレクシス


「ホテルの従業員」


「しかし同僚のオズワルドに動きを常に監視されていた」


駒を倒す。


「不可能」


♖ ルーク 料理長オスカー。


アレクシスが駒を真っ直ぐ動かす。


「ルークは直線の支配者」


「厨房担当 料理人」


「厨房から出ていない」


駒を戻す。


「動いていない」


「不可能」


ガルムが頷く。


「厨房の人たちとの証言とも一致する」


アレクシスは盤面を見渡す。


残る駒。犯行可能な者たち


□ ポーン イリーナ(フロント)

□ ポーン イルミ(ベルボーイ)

□ ポーン ゴンザレス(掃除)

✚ ビショップ ベネッサ(愛人)

♖ ルーク 銀行員オスカー

♕ クイーン エレナ

♚ キング ガウディー


アレクシスが♚キングを持ち上げる。


「ガウディーは被害者」


駒を棺桶の位置へ置く。


「キングは動きが遅い」


「守られる存在」


ミレイアが呟く。


「遺体は、ホテルで見つかった」


アレクシスは静かに言う。


「だが」


「すでに死んでいた」


♚駒を倒す。


カタン。


ミレイア


「死因は毒殺……」


アレクシス


「そう」


「殺人は」


「盤の外で起きた」


オズワルド


「じゃあホテルは?」


アレクシス


「舞台だ」


そう言って


♕クイーンを持つ。


「元マジシャン」


「舞台を作る」


♕クイーンを♚キングの周囲に置く。


「観客に見せる」


「幻想を」


そして


アレクシスはチェス盤の端に


新しいマスを描く。


ミレイア


「……?」


「それは?」


アレクシス


「隠しマス」


「棺桶の二重構造」


♚キングの駒をそのマスへ入れる。


そして


消す。


ミレイアが目を見開く。


「消えた……!」


アレクシスはチェス盤の裏に手を伸ばす。


コトン。


別の駒を取り出す。


キング。


ミレイア


「……!」


アレクシス


「違う」


「消えたのではない」


「隠れただけだ」


ガルム警部補が低く呟く。


「マジックか……」


アレクシス


「そう」


「マジックだ」


そして盤面を見る。


残った駒。


□ポーン

✚ビショップ

♖ ルーク

♕クイーン


アレクシスが言う。


「ホテルで犯行可能な者は」


□ イリーナ

□ イルミ

□ ゴンザレス

✚ ベネッサ

♖ 銀行員オスカー

♕ エレナ


ミレイア


「六人」


アレクシス


「だが」


「チェスでは」


駒を並べ替える。


「勝敗を決めるのは」


♕クイーンを中央へ。


「クイーンだ」


ミレイアの瞳が揺れる。


「……」


アレクシスはただ静かに言う。


「この事件」


「盤面だけでは終わらない」


オズワルド


「どういう意味?」


アレクシスはキングを指で弾く。


コトン。


「キングは」


「すでに詰んでいた」


部屋が静まり返る。


そして


アレクシスの瞳がチェス盤を見据える。


「謎は解けた、チェックメイトだ」

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