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霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
夜葬ホテルの亡霊

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第2話 棺桶の死体

ホテルの最上階には亡霊祭壇っていう、いかにも怪しい部屋がある。


名前だけ聞くとすげぇ荘厳そうだろ?


実際は

ちょーーーボロい。


壁紙ははがれかけ、

シャンデリアは半分しか点かない。


そして中央には


巨大な棺桶。


これがこのホテル最大の目玉だ。


夜になるとここで

「亡霊の葬儀ショー」が行われる。


棺桶から煙が出たり幽霊役の俺たちが悲鳴を上げたりする


超安っぽい演出だ。

でも客は意外と喜ぶ。

世の中そんなもんだ。


俺はいつも通り

幽霊の布をかぶりながら階段を上がっていた。


そのとき。


上の階から


悲鳴。


キャーーーー!!


「誰か!誰か来てくれ!!!」


……ん?


俺は足を止めた。


「なんだ今の?」


演出スケジュールに

悲鳴なんて無かったはずだ。


キャロラインが言う。


「新しい仕掛けかな?」


「いや聞いてねぇぞ」


料理長オスカーも顔を出す。


「俺の料理より驚く声だな」


「例え下手すぎるだろ!」


そのとき


客たちが階段を駆け下りてきた。


「本当に人が死んでる!!」


「棺桶の中だ!!」


「血を吐いてる!!」


俺は思わず叫んだ。


「えっ!?それマジのやつ!?」


俺たちは慌てて

亡霊祭壇へ向かった。




扉を開ける。


ギィィィ……


そこにあった光景。


棺桶。


蓋は開いている。


そして


中に


ホテル雇われ支配人 ガウディー・ロンソン

が倒れていた。


口から


血を吐いて。


死んでいる。


「う、うわぁぁぁ!!」


フロントのイリーナが腰を抜かす。


ベルボーイのイルミは震えている。


掃除のゴンザレスは十字を切った。


「サンタ・マリア……」


俺は棺桶をのぞき込む。


「おいおい……これ本当に死んでるぞ……」


キャロラインが震えながら言う。


「演出じゃ……ないよね?」


「こんなリアルな演出あったら逆に営業停止だろ!!」


棺桶の横に


紙が落ちていた。


遺書だった。


そこには


こう書かれていた。


【私が責任を取って亡霊になります】


「責任……?」


俺は首をかしげた。


「このホテル何かやらかしたのか?」


「警察を呼ばなきゃ」


とキャロライン



■■■



数時間後


下からサイレンの音が聞こえた。


ウゥゥゥゥゥ……


警察だ。


事件になった。


完全に。


俺の幽霊バイトどころじゃない。


数十分後。


ホテルには警察が来ていた。


現場を指揮している男。


鋭い目。


筋肉質。


狼みたいな雰囲気。


ガルム警部補。


「全員動くな!」


声が低くて迫力ある。


「これは自殺かそれとも殺人か」


「徹底的に調べる」


そのとき。


階段から


二人の人物が現れた。


黒いコートの男。


そして


金髪の女性。


俺は思わず声を出した。


「うわっ!!」


キャロラインが驚く。


「どうしたの?」


俺は小声で言う。


「見ろよ……」


「イケメン探偵と美人秘書だぞ!!」


「映画みたいじゃねぇか!!」


男は静かに部屋を見渡す。


「ここが。現場か」


女性がメモを取る。


「亡霊祭壇……趣味の悪い名前ですね」


ガルム警部補が言う。


「来たか」


「星霧探偵事務所」


男が軽く頷いた。


「アレクシスだ」


女性も頭を下げる。


「秘書のミレイアです」


俺は思わず叫びそうになった。


(うわああああああ!!)


(マジの探偵だ!!)


(しかもイケメン!!)


(しかも美人秘書付き!!)


俺はキャロラインに言った。


「なぁ」


「俺この人に弟子入りしようかな」


「いや今それ言う!?」


アレクシスは棺桶を見つめる。


血。


遺書。


亡霊祭壇。


そして


ホテル。


彼は小さくつぶやいた。


「なるほど」


「これは面白い」


ミレイアが言う。


「何がです?」


アレクシスは静かに答えた。


「亡霊ホテルで起きた」


「亡霊の死」


「だが」


彼は棺桶を軽く叩いた。


コン。


「これは自殺じゃない」


ガルム警部補が振り向く。


「何だと?」


アレクシスは微笑んだ。


「これは」


「完璧に作られた殺人舞台だ」


俺は思わず言った。


「うおおおおおお!!」


キャロライン


「静かにして!!」


でも俺は止まらない。


「すげぇ!!」


「推理が始まる!!」


俺はその瞬間

人生で初めて思った。

この人について行きたい。


そしてこの日。

オズワルドは。

後に


探偵の弟子(見習い)になる。


……まだ誰も知らないけどな。


そして


星霧探偵事務所による

ヴァル・ロンドリア探偵事件簿

『夜葬ホテルの亡霊』事件の幕が静かに上がった。

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