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霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
苦渋の決断

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第8話 苦渋の決断

夜。

警察庁会議室。


重い沈黙が落ちていた。


中央の机。


その上に置かれているのはバロックの暗号ノート。


アレクシスがゆっくりページをめくる。


ミレイアとサラ

ガルム警部補。


全員が息を詰めていた。


そして


扉が開く。


ロージャース・ハントマン監察官が

静かに部屋へ入ってくる。


整ったスーツ。

穏やかな表情。


いつもの完璧な紳士だった。


「呼ばれた理由を聞いてもよろしいでしょうか?」


静かな声。


だがその空気を


ガルム警部補が叩き割った。


ドンッ!!


拳が机を叩く。


「とぼけるな!!」


会議室が震える。


ガルム警部補の目は怒りで燃えていた。


「全部わかってる!!」


アレクシスがノートを開く。


「殺された元老刑事バロックは、このノートに真実を残しました」


最初のページ。


正義は時に鏡の中に隠れる


嘘は順番を変えると

真実になる



数字。


3-12

8-1

14-20

13-1

14


11-9

12-12

5-18


サラが言う。

「アルファベット暗号です」


A = 1

B = 2

C = 3

という置き換え。


アレクシス


「だがバロックは言っていた」


ガルムが低く言う。


「事件を正面から見るな」


「見方を変えろ」


アレクシスがノートを鏡に映す。


文字が反転する。


3-12

C L

8-1

H A

14-20

N T

13-1

M A

14

N

つまり

CLHANTMAN


並び替える。


HANTMAN CL


部屋が凍りつく。


ハントマンは微笑んだままだった。


「興味深い推理です」


アレクシス


「まだ終わりじゃありません」


次のページ。


5-18-1-19-5

20-18-1-16

16-15-12-9-3-5


サラが読む。


「ERASE」


「TRAP」


「POLICE」


ミレイア


「警察の証拠消去の罠」


アレクシスが次のページを開く。


事件リスト。


H4

H9

H13


サラが震える声で言う。


「全部…」


監察官室が不正に処理した未解決な事件

証拠消失、捜査打ち切り、政治家関連


ガルム警部補が睨む。


「全部お前の担当だ」


ハントマンは

まだ微笑んでいた。


アレクシスが最後のページを開く。


そこにはチェス盤。


黒のクイーン。


その下に


Q 8-1-14-20


サラが言う。


「HANT」


アレクシス


「黒のクイーン」


「組織を動かす者」


静かに言う。


「ロージャース・ハントマン」


沈黙。


ガルム警部補が一歩前に出る。


拳を握りしめていた。


声が震える。


怒りで。


悲しみで。


「バロックさんは」


「俺の恩人だ」


一歩。


また一歩。


ハントマンへ近づく。


「お前は」


「その恩人を」


「殺したのか」


ガルムの怒号が炸裂する。


「真実を語れ!!!」


会議室に響き渡る。


沈黙。


数秒。


ハントマンはゆっくり目を閉じた。


そして


微笑んだ。


「……見事です」


その声は


どこまでも穏やかだった。


「ええ」


「私が殺しました」


ミレイアが息を飲む。


サラが震える。


ガルム警部補の拳が震える。


ハントマンは静かに語り始める。


「バロックは」


「警察の腐敗を暴こうとしていました」


「証拠隠滅」


「政治家との癒着」


「監察官室の闇」


目を閉じる。


「もしそれが公になれば」


「警察組織は崩壊する」


アレクシスが言う。


「だから殺した」


ハントマンは頷く。


「私は」


「警察を守ったのです」


ガルムが怒鳴る。


「ふざけるな!!」


「それが正義か!!」


ハントマンは

初めて悲しい顔をした。


「バロックも」


「同じ問いをしました」


沈黙。


ハントマンが言う。


「彼は警察を辞める時に言いました」


「真実を語れ、と」


ガルムの拳が震える。


ハントマンはゆっくり机を開けた。


引き出し。


鍵を外す。


中から拳銃を取り出す。


ミレイア


「やめて!」


ガルム警部補


「ふざけるな!!逃げるな!!」


ハントマンは首を振った。


「これは逃亡ではありません」


静かに言う。


「これが」


「私の」


「苦渋の決断です」


ガルムが叫ぶ。


「やめろ!!」


ハントマンは最後に言う。


「警察は」


「正しくあらねばならない」


「そのためには」


「誰かが罪を背負う」


彼は銃口を自分のこめかみに向けた。


「さようなら」


銃声。


バンッ!!


血しぶきがあがる。


沈黙。


誰も動けなかった。


机の上。

血に染まる

バロックの暗号ノート。


ガルム警部補が膝をつく。


拳を握る。


涙が落ちた。


「バロックさん……」


アレクシスが静かに言う。


「彼は」


「最後まで」


「真実を残した」


ミレイアがバロックノートを閉じる。


窓の外。

おぼろ月の光。

長い闇の事件が


終わろうとしていた。


だが返り血に濡れたノートの裏表紙。


「何か。書いてあります。」


ミレイアがきずく。


濡れると浮き出る隠し文字には、

最後の詩の暗号が。


=================


王は沈黙し 女王はすべてを知る


騎士は跳び 僧侶は斜めに進む


塔は真実を守り歩兵は血を流し倒れ


すべては 最初の右端の配置に戻る


余計な同じ終わりは捨て


そして、真実の扉を開けろ


=================


それは第二の黒幕を示す文字だった。

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