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霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
苦渋の決断

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第5話 過去の証拠紛失事件

警察庁の資料室。


古い事件ファイルが

机の上に山のように積まれていた。


バロックのノートに書かれていた


監察処理事件


そのすべてを

アレクシスたちは調べていた。


ミレイアがファイルをめくる。


「全部……同じ」


アレクシスが聞く。


「何が?」


ミレイアが答える。


「証拠が途中で消えてる」


・犯行の凶器の紛失

・証拠データ破損

・証人供述の消去


どの事件も

決定的証拠だけが消えている。

ガルム警部補が低く言う。


「偶然じゃねえな」


サラが端末を操作する。


「さらに共通点があります」


画面に


事件の年表が表示される。


13年前。


ある年を境に


証拠紛失事件が急増している。


ミレイアが息を飲む。


「つまり」


「その頃から 誰かが証拠を消し始めた」


アレクシスが静かに言う。


「そして」


「バロックはそれを追っていた」


ガルムはバロックのノートを見る。


そこには


いくつかの名前。


だが


どれも途中で消されている。


黒く塗りつぶされていた。


ただ一つだけ


消されていない文字があった。


「監察」


ガルムが眉をひそめる。


「監察……?」


ミレイアが言う。


「監察処理された事件」


「つまり警察内部の管理案件」


サラがデータを見ながら言う。


「これらの事件」


「すべて 警察上層部が関わる事件です」


政治家

企業

暴力団

警察幹部


すべて


巨大な利害関係が絡む事件。


アレクシスが言う。


「つまり」


「誰かが」


「警察を使って証拠を消していた」


重い沈黙。


その時


ガルムがぽつりと呟いた。


「……そうか」


ミレイアが見る。


「どうしたの?」


ガルムは遠くを見るような目で言った。


「昔、バロックさんに言われたことがある」


アレクシスが振り向く。


ガルム警部補は静かに語る。


「事件を正面から見るな」


「見方を変えろ」


ミレイアが首をかしげる。


「見方を変える?」


ガルム警部補が続ける。


「バロックさんは、よく言ってた」


「真実は視点を変えると見える」


「犯人も証拠もそれで見つかることがある」


アレクシスの目が細くなる。


「視点……」


彼はバロックのノートを見る。


数字。

記号。

文章。


(見方を変える……)


しかしまだ答えは見えない。


その時


サラが言った。


「もう一つあります」


モニターを指さす。


「13年前の事件」


「この中で一番大きいもの」


画面に表示される。


「港湾密輸事件」


巨額の密輸ルート。

政治家。

企業。

暴力団。

警察内部の関係者。


しかし


事件は突然終わった。

証拠消失

関係者不起訴。


そして


その担当刑事。


バロック


ミレイアが言う。


「じゃあ」


「この事件が」


「すべての始まり?」


アレクシスはバロックノートを閉じる。


「恐らく」


「バロックさんは」


「この事件の真相に辿り着いた」


ガルム警部補が拳を握る。


「だから殺された」


だが


まだ


決定的な証拠はない。

そして

誰が関わっているのかも


わからない。

しかしバロックは


確実に誰かに辿り着いていた。

ノートの最後のページ。


そこには


小さな文字。


「次は」


「真実の扉」


アレクシスが呟く。


「真実の扉……?」


その意味を


まだ誰も知らない。


だが


バロックの言葉


「見方を変えろ」


「苦渋の決断」


それが


次の謎を解く最大の鍵

になることをアレクシスだけが感じ始めていた。

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