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霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
破滅のコイン

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第7話 爆破と犯人の叫び

ドォォンッ!!


腹の底をえぐる轟音。


屋敷が跳ね上がる。


窓ガラスが一斉に砕け散り、

鋭い破片が雨のように降り注ぐ。


「きゃあああっ!!」


悲鳴。


天井の梁が軋み、

シャンデリアが激しく揺れる。


壁の絵画が落下し、

石膏が崩れ、白い粉塵が視界を覆う。


廊下の奥で第二の爆発。


バンッ!!


火花。


焦げた木の匂い。


煙が一気に流れ込む。


「爆発物だ! 全員、落ち着け!」


怒号。


警備責任者ドーランが叫ぶ。


「外へ! 西階段は使うな、崩れるぞ!」


使用人が泣き叫びながら走る。


ラドックは蒼白。


足がすくみ、立てない。


「わ、私を守れ……!」


煙が広間へ広がる。


そのとき。


低く、しかし通る声。


「大広間へ」


アレクシスだ。


「ここが最も構造が強い」


的確な判断。


市警の突入音。


「市警だ! 動くな!」


銃声ではない。


警告射撃の音が天井を震わせる。


やがて全員が大広間へ集められる。


扉が閉じられる。


煙が薄まり、静寂が落ちる。


大広間、 対決の舞台


巨大な暖炉。

崩れかけた天井。

砕けたステンドグラスから月光が差し込む。


容疑者全員が揃う。


ハロルド。

クラリス。

エドウィン。

マリア。

そしてラドック。


中央に立つのは

ガルム警部補。


両脇を警官が固める。

空気は張り詰めている。


その前へ、ゆっくりとアレクシスが進み出る。


足音が響く。


「破滅のコインは呪いではありません」


ざわめき。


ラドックが震える。


「十年前の銀行強盗の成功の証です」


ドーランの目が細くなる。


ガルム警部補が書類を掲げる。


「資産推移表」

「筆跡鑑定」

「港湾倉庫の賃貸契約書」


紙の音がやけに大きく響く。


「ラドックと破滅のコインで亡くなった三人は共犯だった」


ラドックが叫ぶ。


「証拠はない!」


声が裏返る。


アレクシスは視線をゆっくり巡らせる。


「十年前、銀行強盗のすえ捕まった男は仲間を庇った」


「囮となり、逮捕され、獄中で死んだ」


静まり返る空間。


アレクシスの目が止まる。


ドーラン。


「三日間、考える時間を与えたのはあなたですね」


沈黙。


遠くで梁が崩れ落ちる。


「三人は破滅のコインによる事故に見せかけて殺された」


「焼死、溺死、刺殺」


「そして今夜の爆破」


一歩、近づく。


「混乱の中で最後の一人を始末するため」


ドーランの拳が震える。


「ナイトである」


広間の全員が息を呑む。


「あなたが犯人だ」


警官が銃を構える。


ドーランが吠える。


「父は裏切られた!」


怒号が天井に反響する。


ドーランは黒銀のコインをポケットから

手に取りだし見せる。


挿絵(By みてみん)


「五人で誓った黒銀のコイン!」


「友情の証だった!」


沈黙。


ラドックの顔が歪む。


アレクシスは静かに告げる。


「だが誰も名乗り出なかった」


「だから順番に殺した」


ドーランの肩が落ちる。


その瞬間。


警官が取り押さえる。


手錠の金属音。


広間に重く響く。


ガルム警部補が宣告する。


「連続殺人及び爆発物使用の罪で逮捕する」


ドーランの右の拳に握られた破滅のコイン


証拠袋に入れられる黒銀のコイン。

鈍い光が日光を反射する。


崩れた屋敷。

崩れた誓い。


ミレイアが小さく言う。


「ラドックさんも……」


ガルム警部補が低く告げる。


「銀行強盗の共犯として逮捕する」


ラドックの膝が崩れる。


十年越しの罪。


霧が晴れ始める。


アレクシスは静かに天井を見上げる。


爆発の残響がまだ耳に残っている。


「破滅のコインは呪いではない」


「選んだ結果だ」


カーテン越しに日の光が差し込む。


盤上の駒はすべて倒れた。

『破滅のコイン』事件は終わった。

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