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霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
破滅のコイン

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16/44

第2話 ヴァン・ロンドリア連続殺人事件

霧都ヴァン・ロンドリア

街ではすでに、それは正式名称になっていた。


『破滅のコイン』


新聞がそう書き、民衆がそう囁き、子どもまでがそう呼ぶ。


だが、それが何なのかは、まだ誰も知らない。

材質も年代も、由来も不明。


ただ一つ。


三件の殺人現場に、同じ古びた黒ずんだ銀貨が残されていた。


それだけだ。


被害者(三名死亡)

■ 霊具商人 エレノア・ヴァルシア(47)

旧霧街区の店舗兼住居で焼死。

魔導炉の異常燃焼。事故の可能性も否定できず。


■ 投資家 ルーカス・グレイナー(44)

再開発地区の桟橋から転落し溺死。

外傷は軽微。第三者関与は断定できない。


■ 古物商 ヨナス・ヘルム(61)

旧市街の店舗裏で刺殺。

唯一、明確な殺人事件。


そして三件すべてに

“破滅のコイン”。


生存者

港湾区の高利貸し

バルトロメオ・ラドック(52)


重厚な屋敷に住む、金貸し。


その男が、星霧探偵事務所を訪れた。


顔色は土気色。


目は落ち着きなく揺れている。


彼は言う。


「俺は狙われている」


コートの内側から封筒を取り出す。


机に置く。


震える指。


~~~~~~~~~~~


三日目

破滅は巡る


~~~~~~~~~


差出人なし。


筆跡は崩してある。


そしてもう一つ。


彼は懐から黒ずんだ銀貨を出す。


「これが届いた」


「三日前だ」


アレクシスは黙って観察する。


摩耗が激しい。

刻印は判別困難。

由来は不明。


警察の鑑定もまだ結論を出していない。

街が“破滅のコイン”と呼んでいるだけだ。


「警察には?」


「もう屋敷に警備を置いた!」


ラドックは声を荒げる。


「俺は死にたくない!」


ミレイアが静かに尋ねる。


「なぜ狙われると思うのです?」


一瞬の沈黙。


わずかな逡巡。


「……知らん」


だが目が逸れる。


アレクシスは見逃さない。


「理由に心当たりは?」


「ない」


即答。


だが呼吸が浅い。


汗が滲む。


恐怖だけではない。

何かを隠している者の反応。


しかし今は追及しない。

彼は依頼人だ。

そしてまだ、生きている。




市警本部


ガルム警部補 は報告を受ける。


「脅迫文か」


「屋敷の警備は三交代制だ」


「外部からの侵入は不可能に近い」


だが警部補は低く呟く。


「不可能は、三人を止めなかった」


街は騒ぐ。


酒場では賭けが始まる。


「次は誰だ」


「四人目は確実だ」


新聞は煽る。


破滅のコイン

四人目は現れるのか?


だが


殺人の被害者は三人。


そして一人は生きている。


理由は不明。

接点も不明。

順番も不明。


ただ共通するのは、

黒ずんだ一枚の銀貨。


こうして。

星霧探偵社による、 

霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿

『破滅のコイン』事件が幕を開ける。

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