第3話 ドクター・ハロルドの狂気の実験
白亜党の議員会館。
その地下深く。
重い鉄の扉の奥に
巨大な空間がある。
そこに立っているのは
高さ数メートルの黒い石碑。
古代の魔導文字が石の表面を覆っている。
それは
魔女文明が封印した
禁断の遺産。
感情増幅装置。
人の心を何倍にも膨れ上がらせる
危険な魔導装置。
その石碑の前に一人の男が立っている。
白衣。
細い体。
狂気の微笑。
ドクター・ハロルド。
彼は静かに石碑に手を触れる。
そして
ゆっくり笑う。
「都市とは…」
「巨大な実験場だ」
彼の背後では
巨大な機械が唸っている。
魔導音波増幅装置。
都市全体へ石碑の力を拡散するための装置。
ハロルドはスイッチを操作する。
機械が震える。
低い音。
ブゥゥゥゥゥン……
謎の石碑の文字がゆっくり紅く光り始める。
ハロルドは目を細めて言う。
「憎しみ」
「怒り」
「恐怖」
「嫉妬」
「人間も怪物も」
「すべて同じだ」
彼は笑う。
狂ったように。
「感情こそ」
「最も強いエネルギーだ」
そして装置の出力を
最大まで上げる。
石碑がまばゆい光を放つ。
その瞬間。
都市の空気が震える。
見えない波が街全体に広がる。
魔導音波。
それは人の心に触れる。
怒りが増幅される。
恐怖が増幅される。
憎悪が爆発する。
都市感情暴走
霧都の街。
暴徒の怒りがさらに激しくなる。
「怪物を殺せ!!」
「怪物を排除しろ!!」
叫び声。
怪物たちも理性を失い始める。
吸血鬼が暴れる。
人狼が変身する。
魔女が攻撃魔法を放つ。
ゴーレムが暴走する。
街は完全に狂気に支配される。
炎。
爆発。
悲鳴。
銃声。
霧都はもはや都市ではない。
地獄とかした。
地下施設。
ハロルドは魔導モニターで街を見ている。
炎に包まれた霧都。
暴徒。
怪物。
戦う警察。
すべてを見て
彼は満足そうに笑う。
「素晴らしい」
「完璧だ」
彼は手を広げる。
「人間と怪物」
「その感情は同じだ」
「憎しみは」
「世界を動かす力だ」
彼の目が狂気に輝く。
「実験は」
「最終段階に入った」
彼は石碑を見上げる。
黒い光がさらに強くなる。
そして静かに言う。
「もう誰にも」
「止められない」
狂気の笑い。
地下施設に響き渡る。
ハロルドは宣言する。
「今夜」
「霧都は」
「生まれ変わる」
そして
低く囁く。
「人類の進化が」
「始まる」
その瞬間。
石碑の魔力が暴走を始める。
都市全体の魔力が引き寄せられる。
霧都の結界がさらに崩壊していく。
そして星霧探偵社で
ミレイアが突然倒れる。
「……!」
アレクシスが叫ぶ。
「どうした!」
ミレイアは震えながら言う。
「霧都の魔力が…」
「吸われてる…」
アレクシスの目が鋭くなる。
「ドクター・ハロルド」
アレクシウスは静かに言う。
「ついに最終実験を霧都で始めたか、止めなくては」
物語はここから最終決戦へ突入する。




