第2話 ガルム警部補と機動隊の都市防衛戦
大虐殺が始まる前
霧都ヴァル・ロンドリア。
街の中央広場。
そこに集まっていたのは
一万人の群衆。
白い旗。
白い腕章。
人間至上主義組織
白亜党。
広場中央の演壇に巨体の男が立つ。
赤い顔。
軍服のようなスーツ。
白亜党党首。
https://kakuyomu.jp/users/mushimatsu/news/822139846766325413
バルク議員。
彼は両手を広げ
叫ぶ。
「市民諸君!」
「怪物は我々の街を奪った!」
群衆が怒号を上げる。
「そうだ!」
「怪物を殺せ!」
バルク議員の声は
さらに大きくなる。
「吸血鬼!」
「人狼!」
「魔女!」
「奴らは人間の敵だ!」
群衆は狂気に包まれる。
一万人の叫び。
怒り。
憎しみ。
それはもはや
演説ではない。
扇動。
バルク議員は最後に腕を振り下ろす。
「霧都を!」
「人間の手に取り戻せ!!」
その瞬間。
群衆は絶叫する。
「 「 「うおおおおおおお!!」 」 」
一万人の暴徒が街へ
なだれ込む。
同時刻。
霧都中心部。
巨大爆発。
魔導塔崩壊都市を守っていた
霧の結界が破壊される。
それを合図に街の各地で事件が起こる。
吸血鬼地区
銀行爆破。
人狼地区
警備隊襲撃。
魔女地区
住宅街大火災。
ゴーレム港
港湾施設破壊。
煙。
炎。
銃声。
魔法。
霧都は一瞬で戦場になる。
新聞社の緊急号外。
「怪物反乱!!」
街の人間たちは
恐怖と怒りに支配される。
武器を持つ。
銃。
斧。
松明。
そして叫ぶ。
「怪物を殺せ!」
「魔女を焼け!」
こうして街で始まる。
人間達による怪物狩り。
魔女狩り。
しかし軍は動かない
霧都警察本部。
通信士が叫ぶ。
「軍へ救援要請!」
だが
返答が来ない。
参謀が震える声で言う。
「軍司令部が…」
「沈黙しています」
さらに情報が入る。
「軍上層部は」
「バルク議員の影響下にあります」
つまり。
軍は動かない。
街を守るのは
たった五百人ほどの警察だけ。
機動隊出動
警察本部の扉が開く。
そこに立つ男。
ガルム警部補。
人狼。
巨大な体。
鋭い目。
彼は静かに言う。
「機動隊」
「出動だ」
装甲車。
魔導盾。
魔導ライフル。
警察隊わずか
五百人。
しかしその中には
人間警官
人狼警官
ゴーレム警備兵
種族混成の部隊。
ガルム警部補は振り返る。
「相手は、およそ一万人だ」
誰も動かない。
逃げない。
ガルム警部補は言う。
「だが」
「俺たちは警察だ」
彼は街を見る。
炎に包まれた霧都。
「守るのは」
「市民だ」
「人間も」
「怪物も」
盾を持ち
前に立つ。
そして
叫ぶ。
「機動隊!」
「隊列!!」
盾が並ぶ。
鉄壁の壁。
その向こうから
約一万人の人間の暴徒が迫る。
松明。
銃。
怒号。
そして
突撃。
都市防衛戦
暴徒がぶつかる。
盾の壁。
衝撃。
銃声。
石。
火炎瓶。
魔法。
混乱。
しかし機動隊は崩れない。
ガルム警部補が吠える。
「押し返せ!!」
https://kakuyomu.jp/users/mushimatsu/news/2912051595413287252
人狼警官が突撃。
ゴーレム警備兵が盾を押す。
警察五百人が
一万人を
食い止める。
炎の中で霧都の未来を守るため。
それは
まさに
都市防衛戦。
だがその時。
遠くの議員会館地下で
黒い石碑がゆっくり光る。
ドクター・ハロルドの
最終実験が始まろうとしていた。




