第5話 霧都の光
霧都ヴァル・ロンドリア。
夜。
霧の街に警報が鳴る。
また怪人が消えた。
残ったのは怪人の影。
ガルム警部補が現場を調査している。
そこへアレクシスが来る。
フローリングの床を見る。
影の跡。
影の外側だけ
フローリング床が変色している。
ミレイアが言う。
「やっぱり光…?」
アレクシス
「ええ」
彼は静かに言う。
「強烈な光です」
「失踪ではありません」
「怪人は光に焼かれている」
オズワルド
「どこから?」
アレクシスは空を見上げる。
霧の空。
「上からです」
ガルム
「上?」
アレクシス
「この光は」
「直線の光です」
彼は地面に指で線を引く。
「つまり」
「照射兵器」
「軍事技術に近い」
ガルムが眉をひそめる。
「そんな装置を誰が…」
アレクシスは壁の影を見る。
長く伸びる影。
彼は静かに言う。
「問題はそこではありません」
ミレイア
「え?」
アレクシスは言う。
「なぜ」
「この怪人たちが狙われているのか」
沈黙。
彼はポケットから紙を出す。
怪人被害者リスト。
名前。種族。住所。職業。年齢
オズワルドが言う。
「被害者リスト?」
アレクシス
「怪人失踪事件」
「七件は」
彼は紙を並べる。
「ですが」
「被害者は無作為ではない」
ガルム
「どういうことだ」
アレクシスは言う。
「全員」
一拍。
「怪人登録台帳の人物たちです」
沈黙。
ガルム警部補
「……」
ミレイア
「つまり」
アレクシス
「誰かが」
「意図的に怪人を狙っている。」
彼はさらに言う。
「そして」
「その名簿の人物を」
「順番に消している」
ガルム警部補
「そんな。ものがあるのか」
アレクシス
「あります」
彼は言う。
「白亜党です」
沈黙。
ガルム警部補が顔を上げる。
「政治活動家か」
アレクシスは続ける。
「白亜党は最近」
「怪人統計調査を行った」
「名目は社会調査」
「ですが」
「実態は」
一拍。
「怪人名簿の作成です」
ミレイアが震える。
「じゃあ…」
アレクシス
「その政治家が標的を決め」
「怪人名簿の人を処刑している」
ガルム警部補
「処刑…」
アレクシス
「ええ」
静かに言う。
「これは連続殺人ではない」
一拍。
「政策です」
ガルム警部補
「……」
アレクシスはさらに続ける。
「そして」
「この装置は普通の科学者では作れない」
彼は一枚の新聞を出す。
そこに載る人物。
白衣の男。
ドクター・ハロルド
ミレイアが言う。
「禁断技術の…」
アレクシス
「ええ」
「霧都 天才科学者」
「そして」
「最も危険な男」
オズワルド
「つまり」
アレクシスは言う。
「政治」「科学」
「怪人名簿」
三つの線が繋がる。
「白亜党幹部 エリザ・クレイドとドクター・ハロルド」
「怪人名簿この三つが繋がっている」
ガルム警部補が低く言う。
「証拠は」
アレクシス
「まだありません」
一拍。
「ですが」
彼は地図を広げる。
霧都の地図。殺害現場。
線。
交差点。
一つの方向。
「発射点は」
「この範囲」
円が描かれる。
そこにある高所。
4つ。
・電波塔
・議会塔
・港灯台
・中央時計台
アレクシスが言う。
「犯人は、このどこかにいる」
そして小さく呟く。
「そして」
「その人物はおそらく」
一拍。
「白亜党のクイーン エリザ・クレイド」
その頃。
霧都の別の場所。
屋根の上。
白衣の男が立つ。
長身。
細身。
鋭い目。
ドクター・ハロルド。
彼は霧の街を見る。
遠く。
警察の灯り。
探偵の姿。
彼は小さく笑う。
「やはり」
一拍。
「気づきましたか」
ハロルドは空を見る。
時計台。
電波塔。
議会塔。
灯台。
そして静かに呟く。
「さて、どこに探偵が来ますね」
霧の中で科学者は
静かに次の光を機械の準備していた。




