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【推理〔文芸〕21位】霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
魔導鉄道レム=エクスプレス殺人

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第5話 設計者は誰?

黒い魔導列車レム=エクスプレス


密室毒殺。

神経ガス。


そして蒸気管。


アレクシスは静かに言う。


「犯人は」


「この列車の構造を理解している」


ガルム警部補


「つまり」


「設計者か」


ガルムは通信魔導機を取る。

鉄道本社へ連絡。


しばらくして。


顔色が変わる。


「……何?」


オズワルド


「どうしました」


ガルムは低く言う。


「設計者は」


「一か月前に死んでいる」


沈黙。


ミレイア


「え?」


ガルム


「事故死」


「研究室の爆発だ」


オズワルド


「じゃあ」


「設計者はもういない?」


アレクシスは静かに言う。


「いいえ」


「います」


アレクシスは


レンブラントの個室へ入る。


机。

書類。

設計図。

列車の構造図。


アレクシスはページをめくる。


ミレイア


「どうですか」


アレクシス


「奇妙です」


一枚の図面。


蒸気管の設計。


アレクシスは指でなぞる。


「ここ」


オズワルド


「何です?」


アレクシス


「筆跡が違う」


ミレイア


「別の人が書いた?」


アレクシス


「ええ」


さらに。

ページの端。

そこには


資金提供者の署名。


オズワルド


「資金?」


ミレイア


「誰?」


アレクシスは読む。


そこに書かれていた名前。


DARUGO


沈黙。


オズワルド


「え?」


ミレイア


「嫌な予感…」


その時。


食堂車の扉が開く。


入ってきたのは


ダルゴ・マーシャル。


太った男。

葉巻。

高級スーツ。


彼は笑う。


「探偵諸君」


「面白いものを見つけたようだ」


ガルム警部補


「ダルゴさん」


「これはどういうことだ」


ダルゴはワインを注ぐ。


ゆっくり飲む。


そして言う。


「秩序は」


一拍。


「金で作られる」


オズワルド


「何?」


ダルゴ


「この列車は国家プロジェクトだ」


「だが」


「金を出したのは私だ」


ミレイア


「あなたが設計を?」


ダルゴは首を振る。


「いや」


「私は専門家ではない」


煙を吐く。


「だから」


「別の設計者に」


「作り直させた」


沈黙。


アレクシス


「誰です」


ダルゴは笑う。


「名前は言えない」


ガルム


「言え」


ダルゴ


「資本主義の世界では」


「よくあることだ」


ミレイアが小さく言う。


「この人」


「感情がない」


オズワルド


「なんで?」


ミレイア


「罪悪感がない」

「本気で」

「正しいと思ってる」


その時。

窓際から声。


ドクター・ハロルド。


白衣。

静かな笑み。


「なるほど」


彼は言う。


「資本主義の美学だ」


ダルゴ


「君も理解するだろう」


ハロルド


「もちろん」


彼はアレクシスを見る。


「秩序には」


「設計が必要だ」


「社会も」


「機械も」


「人間も」


ミレイアが震える。


「この人…」

「危険」

「感情が」

「冷たい」


アレクシスは静かに言う。


「つまり」


「この列車には」


「二つの設計がある」


ガルム


「レンブラントの設計」


アレクシス


「そして」


「もう一つ」


沈黙。


アレクシスはハロルドを見る。


「別の設計者」


ハロルドは微笑む。


「誰だろうね」


アレクシス


「あなたでは?」


沈黙。


ハロルドは笑う。


「残念」


「私はただの乗客だ」


しかし。


ミレイアが小さく言う。


「嘘…」


列車は霧を裂き

走り続ける。


そして


アレクシスは

小さく呟く。


「この事件」


「ただの殺人ではない」


ミレイア


「え?」


アレクシス


「これは機関車の科学実験です」


ボォオオオオーーー


ボォオオオオーーーー


遠くで

機関車の蒸気が大きく鳴った。

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