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【推理〔文芸〕21位】霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
魔女裁判

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第8話 村の伝説をチェス盤にて推理

村の滞在先のホテルの部屋へ

机の上には古い文献。


そして。


チェス盤。


オズワルドが言った。


「師匠」


「これがシュトレゴイカバールの過去の記録です」


古びた羊皮紙。


そこには黒い石柱の絵が描かれている。


高さ五メートル。

八角形の黒い石柱。

その名は


黒の碑。


ミレイアが静かに読む。


「表面には」


「誰も解読できない文字」


「まるで人類の言語ではない何か」


オズワルドが続ける。


「中世に、ここで“魔女の集会”が行われていた」


夜。

篝火。

祈祷。


そして。

生贄。


ミレイアが震えた。


「だから」


「魔女の村」


アレクシスは静かに言う。


「続きは」


オズワルドがページをめくる。


「トルコ軍が村を襲撃」


「邪教徒を皆殺し」


しかし。


そのあと。


「黒の碑の洞窟から」


「巨大な影」


オズワルドが言った。


「蟇蛙のような怪物」


ミレイアが小さく呟く。


「兵士が」


「何百人も死んだ」


最後に。


祝福された鋼鉄の剣で怪物は倒された。


沈黙。


暖炉の火が揺れる。


オズワルドが言う。


「これただの伝説ですよね」


アレクシスは答えない。


そして。


チェス盤を引き寄せた。


「この魔女裁判の事件は」


駒を置く。


♚「キング」


ミレイアが言う。


「モルガン神父」


狂信者。


魔女裁判の裁判官。


アレクシスは次の駒を置いた。


□ □ □ □「ポーン」


「白亜党の党員たち」


オズワルドが言う。


「信者」


「暴徒」


アレクシスは頷く。


次の駒。


♖「ルーク」


オズワルドが聞く。


「何です」


アレクシスは言う。


「教会の鐘」


「そして」


「音波装置」


黒い石碑と共鳴している。


ミレイアが言う。


「村全体が」


「増幅機」


アレクシスは頷く。


「そう、彼が全ての原因だ」


そして。


ゆっくり


黒い駒を置いた。


♞オズワルドが言う。


「ナイト」


アレクシスは言った。


「ドクター・ハロルド」


沈黙。


ミレイアが言う。


「天才科学者」


アレクシスは頷く。


「盤面を動かす頭脳」


しかし。


彼は次に


チェス盤の中央に


別の駒を置いた。


■黒い石。


それは普通の駒ではない。


「これは」


オズワルドが言う。


「何です」


アレクシスは静かに言った。


■「黒い石碑」


ミレイアが息を呑む。


アレクシスは続ける。


「この石碑」


「ただの遺跡じゃない」


文献を指す。


「八角形」


「未知の文字」


「音を増幅」


煙を吐く。


「古代の音波増幅装置だ」


オズワルドが言う。


「じゃあ」


「ハロルドは」


アレクシスが言う。


「利用した」


「だけだ」


沈黙。


ミレイアが小さく言う。


「でも」


「怪物の伝説」


アレクシスは頷く。


「重要だ」


チェス盤を見る。


「昔ここでは」


「魔女の集会があった」


生贄。

祈祷。

篝火。


そして


「怪物」


オズワルドが言う。


「でもそれは倒された」


アレクシスは言った。


「違う」


二人が見る。


アレクシスは言う。


「怪物は装置そのものだ」


沈黙。


オズワルドが驚く。


「え?」


アレクシスは言う。


「黒の碑は」


「地下洞窟と繋がっている」


「巨大な共鳴空洞」


ミレイアが理解する。


「音が」


アレクシスが頷く。


「増幅される」


「低周波」


「人間には怪物の唸りに聞こえる」


オズワルドが叫ぶ。


「だから兵士が死んだ!」


アレクシスは言う。


「恐慌」

「錯乱」

「同士討ち」


ミレイアが言う。


「昔も今も同じ原理だ。」


アレクシスは静かに言った。


「そして同じ実験をした。」


沈黙。


オズワルドが呟く。


♞「ナイトのドクター・ハロルド」


アレクシスは言う。


「実験は再現の繰り返しだ」


ミレイアが言う。


「ハロルドの言葉ですね。」


アレクシスは頷いた。


そして。


チェス盤を見る。


♞「ナイト」


ドクター・ハロルド。


彼は盤面を動かしている。


しかし。


アレクシスは最後の駒を動かした。


✚「ビショップ」


オズワルドが言う。


「それ」


アレクシスは言う。


「我々だ」


「斜めから」


「盤面を壊す」


ミレイアが聞く。


「どうやって」


アレクシスは黒の碑を指した。


「逆利用だ」


沈黙。


オズワルドが言う。


「増幅装置」


アレクシスは言った。


「恐怖を増幅するなら」


煙草を消す。


「鎮静も増幅できる」


ミレイアの目が開く。


「感情を」


「落ち着かせる」


オズワルドが笑う。


「村人止められる!」


アレクシスは立ち上がった。


コートを着る。


そして言う。


「魔女狩りで狂った。この村を元に戻す。」




■■■



その頃。


教会の塔。


ドクター・ハロルドがアレクシスの宿泊先

の天井に盗撮用に仕掛けた。


魔導鏡を見ていた。


チェス盤。

アレクシスの推理。

すべて見ている。


彼はゆっくり笑った。


「なるほど」


眼鏡を押し上げる。


「黒の碑の秘密」


小さく呟く。


「そこまで読んだか」


静かな声。


「さすがだ」


そして。


楽しそうに言った。


「私と同じ結論に行き着くとは、

さすが我が宿敵の天才名探偵」


霧の谷。

シュトレゴイカバール。

最終局面が始まる。

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