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【推理〔文芸〕21位】霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
魔女裁判

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第7話 ドクター・ハロルドの罠

霧の谷。


シュトレゴイカバール。

教会の地下では、まだ魔女裁判が続いている。


アレクシスは静かに言った。


「正面から突入すれば」


「人質が死ぬ」


ミレイアが頷く。


「モルガン神父は」


「本気で魔女裁判をしてる」


「そして、処刑もする」


地下牢には数十人の怪人女性。


そして村の信徒。

武装している。


オズワルドが言う。


「じゃあどうするんです」


アレクシスはポケットから通信魔導石を取り出した。


「警察だ」


石が光る。


少しして声が響く。


「ガルムだ」


低く太い声。


アレクシスは言った。


「シュトレゴイカバール村を包囲してくれ」


「人身誘拐」


「法律外での魔女裁判での被告人を勝手に裁いて殺害実行。村が無法地帯の犯罪場所となってる。」


「白亜党のモルガン神父が首謀者だ。」


ガルムが短く答える。


「了解」


「警察の機動隊を動かす」


「現場到着まで三十分だ」


通信が切れる。


オズワルドが拳を握る。


「これで終わりだ」


しかし。


ミレイアが震えた。


「……来る」


アレクシスが見る。


「何が」


ミレイアは言った。


「嫌な感情」


「すごく近い」


その時。

教会の塔。

窓が開いた。


そこに立つ白衣の男。


ドクター・ハロルド。


彼は手を振った。


「やあ」


オズワルドが叫ぶ。


「またあんたか!」


ハロルドは楽しそうに笑う。


「もちろんだ」


「ここは私の実験場だからね」


アレクシスは言う。


「通報した。もうすぐ警察が来る」


ハロルドは肩をすくめた。


「来ないよ」


アレクシスの目が細くなる。


「何だと?」


ハロルドはポケットから小さな装置を取り出した。


魔導通信機。


「君は知らないだろうが」


「この村」


「通信が弱い」


軽く振る。


「だから」


「増幅器を設置しておいた」


オズワルドが言う。


「それがどうした!」


ハロルドは笑う。


「逆もできる」


指を押す。


遠くで火花が散る。


黒い石碑。


その表面の魔導文字が光った。


――ゴォォォン


鐘が鳴る。


しかし。


その音は違った。


重い。


不快。


ミレイアが頭を押さえる。


「……感情が」


「増幅されてる」


村の方から声が聞こえる。


怒号。


「魔女が出た!」

「魔女が出た!」

「魔女を焼け!」

「魔女を焼け!」

「魔女を殺せ!」

「魔女を殺せ!」


オズワルドが振り向く。


村人たちが武器を持って集まっている。


松明。

斧。

鎌。


ハロルドは満足そうに言った。


「この村に警察は来られない」


「この怒りが増長された村人たちが

村までの道を塞ぐ」


静かな声。


「これは、私の開発した群衆操り装置だ」


アレクシスは言う。


「煽ったな」


ハロルドは微笑む。


「私は」


「少し心の本音を調整しただけだ」


「燃えたのは」


「彼らの心だ」


オズワルドが怒る。


「どこまでも卑怯なやつだ。」


ハロルドは楽しそうに笑う。


「ありがとう」


「褒め言葉だ」


そしてアレクシスを見る。


「さて」


静かな声。


「探偵」


眼鏡の奥の瞳が光る。


「警察は来ない」


「村は暴徒」


「地下には怪人人質たち」


「モルガン神父は狂信者」


少し間を置く。


「さあ」


微笑む。


「どうする」


ミレイアが呟く。


「どうします……」


オズワルドも言う。


「詰みですよ」


沈黙。


ハロルドは窓から大声で叫ぶ


「さぁ名探偵!全ての人たち怪人たちを

無傷で無事に救ってみせろ!」


霧が流れる。


――ゴォォォン


鐘が鳴る。


魔女を殺せと村人の叫び。


地下では魔女裁判。


教会の前は群衆たち完全な混乱。


そして。村は武器を持った村人たちに

よって閉鎖された。


しかし。


アレクシスは静かだった。

そして言った。


「ハロルド」


ハロルドが笑う。


「何だい」


アレクシスは言った。


「お前」


「一つミスをしたな」


ハロルドの眉がわずかに動く。


「ほう?」


アレクシスは黒い石碑を見る。


そして言った。


「その装置増幅機だ」


ハロルドは頷く。


「そうだ」


アレクシスの口元がわずかに上がった。


「なら」


「逆もできる」


沈黙。


ハロルドの目が細くなる。


「……なるほど」


そして笑った。


「面白い実験してみせろ」


霧の谷。


シュトレゴイカバール。


今夜。


天才科学者 対 天才名探偵

本当の知能戦が始まる。

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