第9話:ビットコインの黎明と、七人の聖域
1000億のその先へ
リーマンショックという荒波を乗り越え、俺の資産はついに1000億円を突破した。 2009年。世界がまだ不況の傷跡に苦しみ、既存の金融システムに疑念を抱き始めた頃、俺は「次なる正解」へと動いていた。
「蓮、これ……何? ネット上の、ただの暗号データ?」
ちひろが怪訝そうにモニターを覗き込む。そこに映っているのは、発表されたばかりの「ビットコイン」のホワイトペーパーだ。 まだ価値すらついていない、1枚が1円にも満たない電子のゴミ。
「ああ。既存の銀行も国家も信じられなくなった奴らが、最後に縋り付く『デジタル・ゴールド』だ。ちひろ、これを今のうちに、掘れるだけ掘って、買えるだけ買い占めておけ」
「……わかった。蓮が言うなら、バグだらけのこのシステムを、私が世界最強の金庫に作り変えてあげる」
ちひろは不敵に微笑み、タイピングを開始した。 後に1枚数百万円になる資産を、俺は数円の価値すらないうちに数万枚、数十万枚と手に入れていく。
七人の聖域「ハス・アイランド」
莫大な資産の使い道として、俺は凛の家門が所有していた無人島を買い取り、そこを「ハス・アイランド」として開拓した。 そこは、7人のヒロインたちがそれぞれの夢を叶え、俺と愛を育むための**「地上の楽園」**だ。
サクラのための世界最高峰の音響を備えたライブステージ。
真理恵先生が院長を務める、世界中の難病を研究する最新鋭のクリニック。
美月と冴子が指揮を執る、世界経済を裏から操るプライベートバンクの本部。
凛が統括する、島全体のスマートシティ開発。
リナがプロデュースする、世界中のセレブが憧れる超高級リゾート。
そして、それらすべてを「蓮の帰る場所」として守る結衣の邸宅。
「蓮くん、見て! 私のクリニック、もうすぐ完成するわ。……私、あなたの隣にいてもいいって、やっと自信が持てた気がするの」
白衣を脱ぎ、水着の上に薄いシャツを羽織った真理恵先生が、テラスで俺の腕に抱きついてくる。 その柔らかな感触と、心からの笑顔。 金で施設を作り、愛で彼女の心を満たす。これ以上の贅沢があるだろうか。
王を巡る、甘き「修羅場」
しかし、女が7人も集まれば、静かな夜など訪れない。 その日の晩、島の最高級レストランを貸し切りにした夕食会では、早くも「火花」が散っていた。
「ねえ蓮、今夜は私の部屋に来てくれるよね? 新しいランジェリー、リナに選んでもらったんだから」 結衣が顔を赤らめながら、俺の手をテーブルの下で握る。
「ちょっと結衣さん、抜け駆けは禁止よ。今夜は私のポートフォリオの相談に乗ってもらう予定ですわ」 美月がワイングラスを傾けながら、鋭い視線を送る。
「アタシも! 蓮くんに新しいダンス見てほしいし!」とサクラ。 「ボク、新しいアルゴリズムの説明……朝までかかる」とちひろ。
7人のヒロイン全員が、俺という「太陽」の光を独占しようと、言葉と視線で絡みついてくる。
「……わかった。今夜は、全員同じ部屋で過ごそう。大きなベッドを発注しておいて良かったよ」
俺の言葉に、一瞬の静寂の後、彼女たちはそれぞれ異なる反応を見せた。 赤面する結衣、不敵に笑うリナ、諦めたようにため息をつく冴子。 だが、その瞳に宿っているのは、俺への絶対的な愛と信頼だった。
2026年への嘲笑
宴のあと、俺はバルコニーから島全体を眺めていた。 2026年の俺は、この島の一粒の砂すら買えなかった。 だが今、俺は1000億の資産と、ビットコインという「未来の鍵」、そして命を預けられる7人の美女を手に入れている。
「……佐藤蓮。あんた、本当に何者なの?」 最後に仲間入りした凛が、隣に並んで夜風を浴びる。
「ただの、人生をやり直しただけの男だよ。……次は、この金と力で、世界を俺の色に染め替えてやる」
俺の野望は、まだ止まらない。 2010年代のGAFAの台頭、そして2020年代のパンデミック……。 すべての悲劇を、俺と彼女たちの「喜劇」に変えるために。




