第6話:聖域の真理恵先生と、加速する野望
支配者の休息
1,000万から始まった資金は、冴子の裏工作とちひろのシステム構築、そして俺の「未来予知」によって、ついに3億円の大台を突破していた。 だが、連日の相場分析とヒロインたちの世話――もとい管理は、17歳の肉体には少々刺激が強すぎたらしい。
「佐藤君? 顔色が悪いわよ。少し横になったら?」
放課後、俺が逃げ込んだのは校舎の最果てにある保健室。 そこにいたのは、6人目のヒロイン、真理恵先生だ。 おっとりとした性格と、白衣の上からでもわかる豊かな包容力。彼女は、この戦場のような二度目の人生において唯一の「聖域」だった。
「……少し、疲れました。先生、少しだけここで寝かせてください」 「ふふ、無理しちゃダメよ。はい、これでも飲んで」
差し出された甘いココア。彼女の指先が俺の額に触れる。 その瞬間、前世の記憶が蘇る。2026年の世界で、彼女は過労で倒れた生徒を救おうとして無理を重ね、心身を壊して学校を去ったはずだ。
「先生……あんた、将来自分のクリニックを持ちたいって言ってたよな」 「えっ? なんでそれを……。夢のまた夢よ、そんなお金ないもの」
俺はベッドに横たわったまま、彼女の細い手首を掴んだ。 「俺が建てるよ。世界で一番、誰も傷つかないクリニックを。だから……先生は俺だけの場所で、ずっと笑っててくれ」
「……っ。佐藤君、何を……」 真理恵先生の頬が赤く染まる。教え子の冗談だと思おうとしているが、俺の瞳にある「本物の財力」の色に、彼女の理性が揺らぎ始めていた。
夏の日のプライベートビーチ
数日後。俺は「体調回復のため」という名目で、一週間学校を休んだ。 向かったのは、冴子の名義で極秘に買い取った、離島のプライベートビーチだ。
そこには、5人のヒロインが集結していた。
清楚な白いビキニで恥ずかしそうにする結衣。
高級ブランドのパレオを纏い、余裕を見せる美月。
派手なメタリックビキニで俺を誘惑するリナ。
砂浜でちひろに歌を聴かせる、少し大胆な水着のサクラ。
そして、重い腰を上げて「監視役」として付いてきた真理恵先生。
「蓮! こっち来て一緒に泳ごうよ!」 「蓮様、日焼け止めを塗って差し上げますわ」
青い海、白い砂、そして俺を奪い合う美少女たち。 2026年、一人寂しくモニターを見ていた俺には想像もできなかった光景だ。 俺はシャンパングラスを掲げ、彼女たちの喧騒を満足げに眺める。
「(さて……残るピースはあと一人)」
2006年の「正解」:YouTubeの誕生
浜辺でちひろが操作するノートPCには、開発中の動画サイト『S-Tube』の管理画面が映っていた。 2005年、本家YouTubeが産声を上げたばかりのこの時期に、俺たちは「高画質配信」と「投げ銭システム」を実装した日本発のプラットフォームを完成させつつあった。
「蓮……これ、β版だけど。サクラの歌をアップしたら、一晩で100万アクセス超えた。……世界が、変わっちゃう」
ちひろが震える指で画面を見せる。 サクラの圧倒的な歌声が、ネットを通じて世界中の人間を虜にし始めている。
「ああ。ここからが本番だ。……既存のメディアも、芸能界も、俺たちの前には無力だ」
俺はサクラの肩を抱き寄せ、海の向こうを見据える。 莫大な金、狂おしいほどの愛、そして世界を動かす情報網。 すべてを手に入れた時、俺の「リスタート」は真の完成を迎える。
その時、ビーチの入り口に一台のバギーが現れた。 乗っていたのは、この島を管理する地元の有力者の娘。 まだ幼さの残る、だが鋭い眼差しをした少女――。
「あなたが、この島を買った『若き王』?」
7人目のヒロイン。彼女の登場で、ついに「ハーレム」の最後のピースが揃おうとしていた。




