第5話:最強の協力者と、2005年の「YouTube」
証券界の女狐
1,000万という大金を動かし、ライブドアショックを「空売り」で乗りこなした高校生。そんな化け物を、金融界が放っておくはずがなかった。
「佐藤蓮様……でいらっしゃいますね?」
翌日、放課後の校門前に一台の黒塗りの高級車が止まっていた。降りてきたのは、タイトなスーツに身を包んだ、大人の色気を漂わせる美女――冴子。 大手証券会社の若手エースでありながら、俺のあまりに異常な取引履歴を不審に思い、直接「正体」を確かめに来たのだ。
「高校生がポンド円で億を狙い、ライブドアの崩壊を予見する……。ただの『運』で済ませるには、少し無理がありますわね」
冴子は俺の耳元で囁き、挑発的に微笑んだ。 「その『答え』、私にだけ教えてくれませんこと? 代わりに、私にできる最高の便宜を図って差し上げますわ」
彼女は俺を操ろうとしている。だが、俺は知っている。彼女が数年後のリーマンショックで会社を追われ、路頭に迷う未来を。
「便宜? いらないよ。……それより冴子さん、あんたの会社、3年以内に潰れるよ。悪いことは言わない、俺の『個人エージェント』にならないか? 泥舟と一緒に沈むより、俺のプライベートバンクを管理する方が、刺激的な人生になる」
「……は?」
完璧な仮面が剥がれ、絶句する冴子。俺は彼女の腰を引き寄せ、2026年の知識を武器に、彼女の会社の「隠し負債」の数字をいくつか耳打ちした。 冴子の顔が、一瞬で真っ青になる。
「……あなたの勝ちよ。私のすべてを、あなたに預けるわ」
こうして俺は、金融界に「大人の手足」を手に入れた。
天才ハッカーの「檻」
冴子を仲間に引き入れた俺が次に向かったのは、古びた団地の一室。 そこには、サクラをプロモーションするための「武器」を作るために必要な、5人目のヒロインがいた。
「帰れ……。人間なんて、みんなバグだ……」
部屋の隅でモニターの光に照らされていたのは、不登校の天才少女、ちひろ。 彼女は、まだ世界に「YouTube」すら浸透していないこの時代に、独自の動画配信システムの基礎を構築していた。
「ちひろ。お前のコードは美しい。だが、このままじゃ世界には届かない」 「……何を知ってるの? 私はただ、誰にも邪魔されたくないだけ……」
俺は彼女の前に、最新のサーバー機材と、見たこともないような複雑な「次世代のアルゴリズム」の構成案を置いた。
「これを形にしろ。世界中の人間が、お前の作った場所で、サクラの歌を聴くことになる。……お前の居場所は、この暗い部屋じゃない。俺が作る『新しい世界』だ」
ちひろは、俺が提示した「未来の設計図」に目を奪われた。 「これ……この理論、あと10年は先を行ってる……。あなた、本当に人間なの?」
彼女が俺の服の裾をぎゅっと掴んだ。それは、依存と、初めて見つけた理解者への執着のサインだった。
支配者の休日
その夜、俺は借り上げたばかりの高級マンションの最上階にいた。 そこには、俺を待つヒロインたちの姿があった。
夕食を作る結衣、ワインを片手に相場を語る美月、高級な服に囲まれてはしゃぐリナ、そして、自由を手に入れ練習に励むサクラ。
「蓮! おかえりなさい!」
一斉に駆け寄ってくる彼女たち。 金、知識、そして圧倒的な先見性。それらが、かつては手が届かなかった花々を、俺という一本の幹に手繰り寄せている。
「さて……次はどの未来を買いに行こうか」
俺は夜景を見下ろしながら、横たわる冴子と、膝の上で微睡むちひろの頭を撫でた。 ハーレムの完成まで、あと2人。 2005年の夜は、まだ始まったばかりだ。




