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願いの意味と新しい日常

この物語は、普通の陰キャであるユナが、誰にも知られないまま“修正者”として世界の“バグ”と戦う姿を描いています。

彼女の願いがもたらした変化、そして支える相棒ミカとの不思議な絆。

その裏に隠された秘密や不安が、少しずつ顔を覗かせていく――。

日常と非日常が交錯する中で、ユナの物語は静かに、しかし確実に動き出します。

あの日、公園で“最強になりたい”と呟いてから数日が過ぎていた。


鏡ヶ原ユナはいつも通り、教室の隅にひっそりと座っていた。

陽の光が窓から差し込むけれど、彼女の心にはまだ小さな陰が残っている。


イヤホンの中から、明るくて元気な声が響く。


「ラピスちゃん!今日もバグ退治、最高に決まってたよ!さすがAランクの魔法少女!」


「ありがとう、ミカ……でも、まだまだ怖いし、どうしていいかわからないことも多い」


ユナの声は小さくて、どこか震えていた。


「そりゃそうだよ〜!だって、いきなり普通の高校生が最強の修正者になっちゃったんだもん!それで怖くないなんて逆に変だよ!」


ミカの軽快な声に、ユナは少しだけ肩の力を抜いた。


「ミカ、ちょっと聞きたいことがある」


「うん?なんでも言ってみて!」


「“願い”って、どういうものなの?」


ミカは少しだけ間をとったあと、ゆっくりと説明を始めた。


「魔法少女になるには“願い”が必要なんだ。みんなそれを胸に秘めて魔力を得るの。でも……多くの魔法少女は、自分の願いを覚えていられないって言われてる」


「覚えてないって、どういうこと?」


「願いを忘れちゃうから、普通の生活ができるんだよ。願いの重みを抱えたままだと、魔法少女の過酷な現実に耐えられなくなるから」


ユナは思い返した。あの公園で誰もいないベンチに座りながら、ただ呟いた言葉。


「どこかで最強になれたらいいな……」


「そうだよね、ユナの願いはあの呟きそのものだった」


「それで、今の私がいるんだ」


「その願いだけで十分。だって、ラピスはもう最強だよ!ミカはいつもそばで応援してるんだから!」


だが、その元気な声の裏には、どこかだけどこか鋭い緊張が隠れていた。


ミカは一瞬だけ声のトーンを落とし、ぽつりと言った。


「……ただ、気をつけてね。願いの重さって、時に呪いみたいに絡みつくこともあるから」


ユナにはまだ意味がわからなかった。


「ねぇ、ミカ……本当に私、ちゃんとできるのかな」


「できるに決まってるじゃん!ラピスは誰より強い修正者なんだから!」


ミカはそう言いながらも、どこか言い淀む様子があった。


ユナにはまだ気づけなかった。ミカもまた、自分の知らない未来に怯え、戦っていることを。


 


その日の放課後、ユナは自室の窓を開け、夜空を見上げた。


星は一つ、また一つと輝きを増し、静かな世界に包まれている。


「もっと、強くなりたい……変わりたい……」


心の中で繰り返す呟きは、小さな光の種となって、未来へと静かに蒔かれていった。


ユナの新しい日常は、まだ始まったばかりだった。

お読みいただき、ありがとうございます。


ユナとミカのやり取りは、明るく楽しい雰囲気を意識しつつも、ミカの言葉の中に少しだけ不穏な影を織り交ぜてみました。

これから二人の関係性やユナの抱える内面が徐々に深まっていきますので、どうぞご期待ください。


次回も精一杯書いてまいりますので、よろしくお願いいたします。


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