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少女とファミリー

 偶然っていうものは必然と変りなく、ただ視点が違うだけ。そして共に過ごした時間は記憶と心に刻まれるかけがえのないものになるのだ。




「なんだあれ」

 アビスの過去と俺――シュバルツとの出会いの話をした日からしばらく経ったある日。

 俺はいつものように住んでいる屋敷からほど近くにある草原で、夏になったばかりの涼しい風を感じながら自主鍛錬に精を出していたとき、突然頭上に大きな影が差す。

 空を見上げ影の正体を目で追っているとそう遠くに行かず近くに降り立つ。

「ドラゴン?」

 自分や人間なんかよりも数倍も大きな体に、それを空に飛ばすための翼が生えたドラゴンが草原に降り立つ。

 客人だろうか? 珍しそうに俺は間近で見ようとドラゴンの元に駆け寄る。

「おーい」

「ん?」

 気づいてもらおうと声を出し手を振りながらドラゴンに近寄る。思ったよりも体が大きかったのかずいぶんと走った気がした。

 俺の声に気づいたのか首をこちらに向けてくる。

「見ない顔だな。アビスはどうした?」

「親父? 親父なら」

 初めて見る奴と思ったのか大きな体で俺を見下ろし何者か観察してくる。

 アビスの名前を言うところからこのドラゴンはどうやら親父の知り合いらしい。その親父がどこにいるか説明しようとしたその時。

「おー。運ぶ者か。久しぶりだな」

 俺の後ろからこのドラゴンの名称なのか『運ぶ者』と呼びながら親父は現れる。

「いつのまにここに来たんだよ」

「ん? ああ、お前の様子でも見ようかって時に懐かしい奴の雰囲気を感じたんでな。来てみればってやつだ」

 親父が近づいてくる気配なんて俺はしなかったぞ…… 声に出さずに驚きながらも親父はドラゴンのすぐ近くに寄る。

 新しく来た奴を見てドラゴンは誰なのか確認して、静かに喜ぶ。

「久しぶりだなアビス。まだ生きていたことを嬉しく思うぞ」

「ぬかせ。お前が勇者様を運んでくるまで俺は死なないっての」

「ははは、それもそうか」

 お互い顔見知りのようでしばらく談笑をする。

「勇者を運んでくる?」

 ぽつりとアビスが言った言葉をつぶやく。

 つまりはこのドラゴンはl四方を山に囲まれたここの外より魔王を倒すべく旅をする勇者を運んでくるものだと言うことか。

 なにかしら合図みたいなものがあったほうがいいと思ったのか、運んでくるものと知り合い担っていたのだろう。そうすれば突然の来襲にも対応ができる……

 そんなわけあるか、と考えていたことを否定する。

「なあ、親父」

 話しているところに割り込むように親父に気になったことを聞く。

「どうしたシュバルツ? さては、一人ぼっちされていることに寂しく感じていたことに耐えれなくて話しかけてきたな」

「んなわけあるか。知り合いっぽかったから無理に会話に参加しないように気を使っていたんだよ」

「そうか? 人に気を使わせるほどお前は出来たやつだっけな」

 相変わらず子供のように俺を扱う親父。そんなことよりもだ。

「さっき言ってたことが気になってな」

「ん? なにか言ったか俺」

「勇者を運んでくるって言ってただろう痴呆! それって結構まずいことじゃないのか!?」

 もしそうならば、だ。このドラゴンの体の大きさから言って身を隠すには容易だ。つまりはちょっとでも気を緩めた隙に親父に攻撃してくるかも知れない。もしかしたらそれで……

 なんてもしもの時のことを考えてジッとドラゴンのことを睨みつける。正確には視界全体にドラゴンを見てどこから隠れている勇者達が出てきても対処できるように身構える。

 しかしそんな心配もよそに親父は俺の言葉に笑ってくる。

「ガッハッハ! そんな緊張すんじゃねーよシュバルツ。今ここには勇者はいねー。まだそんな時期じゃないからな」

「はあ? そんな言葉信じられるかよ。もしかしたらうまく気配を消せる奴かもしれない。のん気にしているうちにすぐやられるぞ親父!」

「だったらこいつに聞いてみればいい。なんで来たのか、運んできたものはなんなのかをな」

 そうしてドラゴンに聞けと言うように親指で差す親父。警戒しないにもほどがあるだろ!

 確かに本人に聞くのが一番だろう。だが勇者と共犯しているかもしれない。正直にいう確証なんて無いのだから警戒するにこしたことはないだろう。

 細かいことを気にしないと言うか、すこしは自分の身を気を付けるべきだと思うんだけどな。

 親父に警戒心の無さに呆れつつも一応ドラゴンに聞いてみることにした。

「本当に勇者や親父、魔王を脅かす者を連れてきてはいないのだろうな」

「アビスが言っただろう。まだその時期ではないと。だから我はそのようなものを連れてきてはおらんよ」

「じゃあ、なんのために来たんだよ。ただ話をするため……っていうわけじゃないんだろ。自分の役割を放棄してまで話にくるなんてこと無いと思うからな」

 ならばなにかを運んできたのだろう。めったなことで客人など来ない。どうしてもここに来るには空を飛ぶか自力で山を超えてくる以外にないのだから。

 しかし、俺の問いに答えず警戒している態度にため息をつくドラゴン。

「なんともまあ、威勢のいいやつを飼っているようだなアビス」

「まだまだ若いからな。世界ってのがどんなのかわからないんだからそう責めるなよ運ぶ者よ」

「ふん。見たところによると魔族か。ということは次期候補ってやつか?」

「そうだろうな。ついでに言っておくが飼ってるんじゃねえ。俺の家族として暮らしているんだ」

 飼っていると言う言葉に反応してか、俺のことを家族としっかり伝わるように強調して言った。

 家族。あの日俺をこの世界で拾い育ててくれたアビスのことを尊敬と憧れを抱き、その背中に守られていることを知った時俺は人間達の言う父親のような感情が生まれた。そしてアビス自身も俺のことを息子と扱ってくれる。それがどこか恥ずかしくも誇らしいと感じたんだ。

「ほう、家族ね。魔族はそういう関係には疎いんじゃなかったのか。強いものほどグループで集まるらない、強者が弱者を育てるなんざ物好きしかやらないと聞いていたのだがな」

「確かにな。だが、伊達に長くこの世界で過ごしてたわけじゃない。どんなに生きてようとも時間が進む限り新しく美しいものは誕生する。情ってやつもそうだ。共にいる時間が経てば経つほどその美しさは増していき、時にはそれは負の感情に変化して美しくならない時だってある。しかし、そうなったからといってダメじゃなく、それからさらに美しく変化するという可能性が秘めている。それが正のエネルギー。俺たち魔族に弱点であり耐え難く破壊したいものであり、けれどそれゆえにあこがれ羨ましいく思い尊いものなのだ」

「尊いか。やはり面白い奴だなアビス。その人間臭さは好きだぞ」

 アビスの言葉に小さく笑いながらもその考えに好意を抱いているように見えた。

「ま、そんなことはどうだっていい。それで、今日はなにを運んできたんだ?」

 話がずれていたことに気づいていたようで、アビスは肝心の本題をドラゴンに聞く。

「ああ。とある男からの頼みでな」

 そう言いつつ背中からシッポにかけて運んできたものを地面に滑らすように降ろす。

 スッと滑り落ちてきたものは、物ではなく白い服を着た人間だった。

「人間!?」

「ほう。こりゃ珍しい」

 まさか運んできたものが人間とは思わず俺は驚く。なぜ人間をここに運んでこなければならないのか。

 アビスはというと、少々驚いてはいるものの動じることもなく人間のもとへと歩み寄る。

「親父! ちょっとが警戒しろよ! いくら勇者じゃないってわかっていても、もしかしたら人間たちの刺客かもしれないだろ!」

「刺客? は、勇者でもない普通の人間にこのオレ様が遅れを取るとでも思っているのか、ああ?」

「そうは思ってないけど……だが!」

 魔界にいたころに聞いた話だと、人間は正面から堂々と戦おうとはしない。小さく非力なため姑息な手を使って魔族や魔物を殺すのだと。

 もしかしたら魔物たちに自分の身内や村を襲われてその報復にこのドラゴンに頼み込んで魔王に一矢報いるために来たのかも知れない。今こうして動かないのも油断させて近寄らせ好機をうかがっているのかもしれない。そんな悪い方向に俺は考えていた。

「はあ……まったく、ちょっとは俺を信用しろシュバルツ。伊達に魔王なんて言われてないんだぜ? まあ、自分から名乗っているわけでもなったわけでもないが。だがお前は魔王を、オレ様を甘く見すぎだ」

 俺の心配を自分の力を認めていないと受け取り叱りつけるように言い放つ。

「まあ確かに、めったなことでここに人間も客人も来ないことだから警戒するなってほうが無理かもしれん。だがな、この場にオレ様がいる時くらいは俺の言葉を信用して俺を信頼くらいしろ」

「う……」

 確かに俺自身ちょっと警戒しすぎているってのは感じている。でもそれは自分のテリトリーを汚すものを排除したいがゆえ、この生活を終わらせたくないからという変化を恐れているからだ。

「このまま放置ってわけにもいかんだろ。ついでに話も聞かないとな」

「はあ……わかったよ」

 不本意だが、このまま放置しておくわけにはいかないと自分を無理やり納得させて話を終わらせる。

 俺はドラゴンが連れてきた者がどんな人間か気になりアビスの元に近寄る。

「ほう、ずいぶんと可愛い女の子だな」

「女?」

 背中に手をまわして抱き抱えるようにアビスは俺に人間を見せてくる。その腕のなかにはグッタリと意識を失った綺麗な人間がいた。

「へえ……」

 アビス自身俺の二回り以上大きな体をしているせいで、この人間が赤子のように見えてしまった。

 よく見てみると。綺麗に顔が整っており、長いまつげと閉じた瞳、薄く赤い閉じた唇。まるで寝ている表情をその少女は魔界で見てきた同じ女達よりも全然好みであり綺麗であった。

「お前、惚れただろ?」

「な!?」

 見とれているところに意地悪そうにアビスは俺に笑いかけてくる。熱くなった顔と恥ずかしさを隠すために視線を少女からそらす。

「ところで運ぶ者よ。誰に頼まれてこの子をここに連れてきた?」

 そうだ、この少女の素性もそうだが、誰に頼まれたのかも重要だった。

 アビスの抱えてる少女からそらした視線をドラゴンに移し話を聞く。

「とある屈強な傭兵から頼まれた、というよりは託されたのだ」

「傭兵だと? そいつはどうしたんだ。お前に頼んでまでここ来させようとするなんてそれほど重要な人物なのか、はたまた生贄にして魔物たちの活動を鎮めてくれことなのか」

「その人間の少女はなにも特別なものは持ってない。傭兵の子供か、はたまた連れ添っていた者か。傭兵自身は死亡した。『争いの無い平和なところに連れて行ってくれないか』と死ぬ直前に我に頼み込んでな」

 ドラゴンは空を見上げその傭兵の最後の姿を思い浮かべるように憂鬱な雰囲気をまとっていた。

「住んでいたところを魔物に襲われた……とか?」

 屈強とドラゴンがその傭兵を言っていたのが気になってやられた原因を聞いてみる。どんなに強いものでも自分より強いものに勝てるはずが無い。たとえ弱かろうとも数で押しかけてくればそれを倒しきれずに死亡してしまうことだってある。

「さあな。詳しいことはわからぬ。しかし、時々この者たちが住んでいた村の様子を見ていたところからして傭兵と少女はあまり好意的な印象はなかったようだ」

「受け入れられてないってことか? 人間たちは群になって過す。力がないゆえに数で支え合い生きていくものだと聞いたが」

「みんながみんな同じ考えじゃないってやつだシュバルツ」

 俺の疑問を答えるようにアビスは話に参加する。まだ腕の中の少女は寝ているようだ。

「ある意味人間たちの負の感情、エネルギーはオレ達魔界で生きているものよりも濃く、えげつないものだ」

「俺たちよりも濃いだと? ただの小さな弱い者が?」

「ああ。世界を廻ってる時に色々見てきたが、全てが全て美しいものじゃなかった。自分しか見て無く、弱っている者に追い打ちをかけるように暴力、略奪なんて当たり前な景色があった。策略、騙し、騙され、損得でしか関係を作れない者。人間にとって魔物だけが敵ってわけじゃないんだ。」


 魔物たちだけが敵ではない。


 この世界は正のエネルギーが満ちているが、しかしそれと同じくらい負のエネルギーが満ちている。

 地位や名誉に金、今生きていくためにも食べるものがなく死んでいく者がいたり、自分を守るために同じ人間を殺し殺され負のエネルギーが世界中に満ちているのだ。

 確かに魔物の被害の方が人間同志の争いに比べたら多いだろう。しかし0ではないのだ。自分とは違う考えを持っているがゆえに譲れないものがありそれがすれ違い争いが起きる。


 きっとこの少女も、ドラゴンに託した傭兵もそういった世界の不条理の被害者なんだと俺は複雑な気分になる。

「詳しい話はその少女が起きて話そうとしてから聞くがいい。無理に聞こうとしても少女にとって大切な人をなくしたことでトラウマになっているかもしれないからな」

 俺たちに忠告をしてもう話すことはいと思ったのか翼を広げ飛び立とうとする。

 しかし、アビスはまだ聞くことがあるのか飛ぼうとするドラゴンを呼び止めた。

「ここを選んだのはお前の考えか?」

「ああ、そうだ。もっとも争いからも人間たちの負の感情からも遠い楽園だからな」

「楽園……か」

 楽園という言葉に複雑な表情を浮かべるアビス。

 ここで生活するようになってから戦いというものと縁のない生活をしてきた。確かに人間たちが攻めてくるわけでも、自分たちに反感を持つ魔物たちや他の生き物がくるわけでもないここは楽園と言う言葉であっているだろう。魔王が住んでいるというのに皮肉なものだ。

「強大な力は抑止力になる。自殺願望を持っているもの以外こんな場所に来ないだろうと判断した」

 ドラゴンは間違っているか、と首をかしげアビスに聞く。それを首を横に振って肯定する。

「違わないさ。だが、一応魔王の住処だぜ? そんなところに女の子一人連れてくるなんて頭が狂っていると常人は考えるともうぜ」

「ふん。これからお前らがその少女とどう接するかによって、これ以降の歴史の魔王の評判を決める事になるからな。せいぜい知り合いとして恥ずかしくないようにしてくれよ」

 鼻でアビスの言葉を笑い、ドラゴンはそのまま大地を蹴り大空へと飛び立つ。

 そして草原には俺とアビス、それと一人の少女だけとなった。

「さて」

 少女を起こさないように気をつけながらアビスは屋敷へと向かい歩き始める。

「どうするんだよ親父」

 歩き出したアビスについていこうと隣に並んで歩く俺。このまま屋敷に連れて行ってどうするつもりだろうか。

「どうするって、決まってるだろ。屋敷に新しい住人が来たんだ。丁重におもてなししないとな」

「もしかしてここに住まわせるのか?」

 ただの人間が俺たち魔族のものといっしょに?

 まさかと思って聞いてみるが、

「ああ、そうだがなにか問題でも?」

 なにを言ってるんだと当然のようにアビスは言い放つ。

 おいおい……正気かこの魔王様は……

「こうやって出会ったのもなにかの縁。お前は全く知らない場所で一人で生きていけるか? 誰も頼りになる人がいない、失った者を放置していけるか?」

「………………」

 アビスのその言葉を肯定できるほど俺は強くなかった。

 思い返せば今この少女が置かれてる状況は俺と同じだ。一人見知らぬ大地に取り残されそしてアビスに新しい居場所を与えられる。

 アビスがあの場に居てくれたおかげて今こうして生きていける。この少女も俺とは状況が違うにしろ今は独りなのだ。

 そんな少女を俺は放っておけるだろうか? そんなのは無理だ。アビスと暮らしてから気づいたんだ独りでいることの恐怖を。

 どんなに強大な力を持っていようと、むしろ力を持てば持つほど一人になり独りでいることに恐怖する。だから力を振りかざし心をごまかす。全員が全員独りを恐れているわけじゃない。人によっては孤独がいいというやつだっている。一人でなんでもできると。

 この世界に来る前の俺なら群れることを、誰かと関わることをしなかっただろう。知っている場所だから、生まれ育った場所だからなんでもできると強がっていた。

「人間って強いな」

 俺はポツリとつぶやく。

「ん? 突然どうした」

 聞こえたのかアビスは歩みを止めて俺の方を見てくる。

「いや、弱いからこそ群れて強くあろうとするってのがさ、俺たち魔族にとっては群れることは弱いからだって笑っていたことを思い出して」

「ふむ。弱いからこそ群れる。一人でできないから二人でやる。二人でダメなら三人、四人と力をあ合わせる。誰かを思うからこそ強くなれて、見えない絆ってやつが力を与えてくれるんだよ」

「絆?」

「想いの繋がりってやつか。一人じゃ知ることの出来ない不鮮明で、不確で、不安定で、けれど誰かとつながっている確かなもの」

「そんな曖昧なものを人間たちは持っているのか」

 曖昧なものを信じているというのか。どうして信じられるのだろう。俺には理解できなかった。

「そう難しそうな顔をするな。こういうのは考えるものじゃない。感じるものだ。知らない間に気づいていつの間にか頼っていて、そして自覚するものだ」

「よくわからないな……」

 腕を組み再び歩き出しどういうものか考える。

 しかし、いくら考えても明確な『これ』という答えを見つけることは出来なかった。




 屋敷に着き人形の使い魔たちに開いてる部屋の掃除と住めるように環境を整理しろと命令する。

 完了するまでの間俺たちはアビスの部屋行き、寝ている少女をベッドに横たわらせる。

「しかしいくら滑らせて地面についたからと言って寝すぎだと思うのだが」

 最初見た時顔色が悪かったのだが、屋敷につく前にはそんな様子がなかったかのように健康な肌の色に変わっていた。

 きっと歩いている最中にアビスが魔力で癒していたのだろう。しかし魔力で体を癒すというのは人間にとって体に影響がないんだろうか。

「うーむ……」

 アビスは書庫に行っていて今部屋にいない。少女をベッドに寝かせてからすぐに向かったらしくなんのために行ったのかは聞いていない。

 というのも、屋敷に入ってすぐに「俺の部屋のベッドに寝かせておいてくれ」と抱えていた少女を俺に任せるように渡しいってしまったからだ。最後まで連れていけばいいのに……

「やわらかかったな……」

 さっきまで少女を抱き抱えていた感触を思い出すように両手を見る。

 初めて触れた人間の少女。細く少しでも力を入れたら折れてしまうじゃないかと思うくらい繊細で、しかし確かに温かいぬくもりと柔らかさがあった。

 それに心が落ち着くような優しいニオイもしてなぜか恥ずかしく感じた。どうしてそんなことを感じたのか未だにわからない……

「ん……」

 規則正しく呼吸をして寝ていた少女が動く。

「起きたか?」

 少女を覗き込むが起きた様子はなく、寝返りをうっただけだった。なんて平和なやつなんだ。

 じっと少女の様子を見ていてもしかたない。しかし、いつ起きるか分からないゆえにこの部屋を離れるわけには行かない。いわゆる手持ち無沙汰ってやつだ。

「……本でも読むか」

 たまにアビスの部屋の本棚から何冊か自分の部屋に持っていき読書することがある。いくら読んでも読みきれないほどの数を持っていて、どれもこれも俺にとって新鮮で面白いものばかりだった。

 とりあえず今まで手につけてない本棚にある本を手にとってみた。

「人間が書いた本か」

 タイトルと表紙を見て人間のものと判断する。自分とは違う者たちの書いた本。一体なにが書かれているのだろうと興味がわく。

 ベッドの側に椅子を持っていき変化があればすぐ確認出来る位置に陣取る。そしてそのまま本を読むことにした。




 それは人間が描く悲愛の物語だった。

 戦争、兵士と貴族、幼馴染同志であった男と女、身分違いの恋、国同士の正義という名のエゴのぶつかり合い、戦場へと赴く男、約束、病、倒れる女、傷つきながらも約束を果たすために戦い続ける男。

 終わらぬ戦争、戦場を照らす一筋の光、戦争を終わらせる禁忌の兵器、終決、瀕死のままどうにか女の待つ街に帰る男、しかし女は病で亡くなっていた、絶望する男、男に向けられた書き置き、そこには最後まで愛していた書き記されていた。




「…………………」

 いつのまにか最後のページを捲り物語は終りを迎えた。

 どうしてこの貴族の女は男が帰ってくると信じ続けられたのだろう。どうして男は確証のない約束をしてしまったのだろう。

 なにも力のない男。一人追加したからと言って自国が有利になるわけでもない、なぜ戦ったのだろうか。なにか変われると信じていたのだろうか。

 物語に登場する人物たちもそうだ。正義なんて言葉で人を物のように操る国、戦いに疑問を持ちながらもそれでも戦う新兵、死ぬのは自分たちで十分だと我が身を犠牲にする老兵。愛する人を置いてきてまで戦いに挑む者たち。

「愛……」

 それはなんなのか。感情? 想い? 繋がり?

 ふと少女を見る。どうしてかこの少女を見ていると心がちくりと痛くなる。なにかの能力でも持っているのではないかと疑うがそういう類のものではないと気づく。

「心か」

 男は信じて待っていてくれる女が死んでいるのを見てどう思ったのだろう。今まで自分のやってきたことを後悔したのだろうか。正しいと思って戦場に向かった過去の自分に、そんなくだらないことをしないで少しでも長い時間女と一緒にいるようにと後悔しただろうか。

 完全には男の気持ちを読み取ることが出来ない。誰かを思うってことをしたことがないからだろうか。

「……どう……しました?」

「!!」

 突然聞いたことの無い声が聞こえてくる。

「お、起きたのか?」

 声のする方を見てみると、今確かに見ていた少女が目を開きこちらを見ていた。

「……?」

 しかし、なんのことかわからないのか少女は首をかしげる。なんだこれは?

「いや、えっと……」

 こうした場合はどうすればいいんだ? 話しかける? なにを聞くんだ? 名前? 体調? ここの説明?

 突然起きた少女にどう対応すればいいかわからずうろたえる。しかしそんな様子を気にすること無く少女は話しかけてくる。

「あ……おはようございます」

「へ? あ、ああ。おはよう」

 なぜ俺は朝の挨拶を交わしているのだろう。

「ってちがうだろう」

「……違うのですか?」

 寝ていた体を起こし体をこちらにに向けて聞いてくる。

「いや、寝ている状態から起きたのならおはようで正解だが」

「なら、おはようございます」

「………………」

 掴みどころが無いとはこういうやつのことを言うのだろうか。少し頭が痛くなってきた。

 人の苦悩を知らないのか、少女は上半身だけ起こした体で辺りをキョロキョロ見渡す。

「ところで……」

「なんだ」

「……ここはどこですか?」




「私はフレイヤと言います」

 あの後少女が起きたことをアビスに伝え部屋に戻らせた。なぜか女物の服をアビスは用意しておりそれに着替させ三人向かい合うようにテーブルを囲うように椅子に座る。

 とりあえず現状説明をするためまずは名前を言い合うことにした。

「フレイヤか。いい名前だな嬢ちゃん」

「ありがとうございます。えっと……」

「オレ様はアビス。この屋敷の主にして魔王であり、ここからそう遠くない草原で寝ていた嬢ちゃんをここに運んだおじさまだ」

 親指を自分にさして威厳たっぷりに言うアビス。おじさまって……

「アビス様ですね。魔王ってことは……悪いお方なのでしょうか?」

 なにも恐れることもなく悪い人なのかとアビスに聞いてくるフレイヤ。それを聞いてアビスは豪快に笑う。

「ガッハッハ! 嬢ちゃんは魔王を知らないのか?」

「いえ、人たちを悲しませる悪い人って聞いたことはあるのですが、アビス様を見ていると噂とは全然違う普通のおじさまのように感じまして」

「だってよ親父。魔王の威厳よりもただのおじさんだって言われてるぞ」

 今まで実際に見たものの感想を聞いたことがないだけに、ただのおじさんと言われたアビスに俺は腹がいたくなるくらい笑った。魔王でもなんでもないただのデカイ男ってことだ。

 しかしアビスは笑う俺にもフレイヤの言葉も気にすることはなかった。

「まあいいさ。ここで暮らしていくうえで普通の人間みたいに怖く恐ろしい魔王なんて感じてもらっちゃ過ごしづらいからな」

「暮らす……ですか?」

 そうだ、と少女の言葉に頷き今までの経緯とこの屋敷、その周りのことを説明する。

「ここはな一応世界が恐れる魔王様の住処で、今旅をしている勇者様が到着する最終地点なのだ」

「勇者……世界を魔王から救う選ばれた人ですね」

「そうだ。いつか来るその時までオレ様はここで平穏に暮らしているというわけ。それが世界のシステムてやつさ」

「では実際世界を恐怖包んでいるのは魔物たちだけで、アビス様はなにも関係ないと?」

 今の説明だとそういうことになるな、と俺は心に思う。自ら手を下す事なく魔物たちだけが人間達を襲う。実際の魔王の実態を見たとき誰もがそう思うだろ。

「んー、一応オレ様も関係してるといえばしてるんだがな」

「そうなのですか?」

「自分の魔力をここから世界中の魔物たちに与えて力を強くしているんだ。つまりは魔物たちを介して世界を恐怖に包んでいるわけ」

 俺はアビスの説明に補足するように会話に参加する。

「そういえば名前を聞いていませんでしたね」

「俺はシュバルツ。居候で魔界からこっちの世界に来た魔族だ」

「魔界? 魔族?」

 聞いたことのない単語なのようで聞き返してきた。確かに魔界に関する書物はこの屋敷に少なかったから人間たちにとって知らないのもうなずける。

「まあ別世界と考えてくれればいいさ。ちなみに親父……アビスも同じ魔界出身だ」

「そういうことだ。魔王ってのは魔界の住人がなるものって決まってるからな」

「そうなのですか」

 それほど驚く様子も悲観することもなく話を聞くフレイヤ。普通ならもっと驚くと思うがな。

 とは言うが、普通とはどんなものかわからない俺にとって無駄な考えかと思う。

「オレ様達のことはまあこれくらいにして、嬢ちゃんのことを聞きたいんだがいいか?」

「……はい。なにをお聞きになりますか?」

 自分のことを話すのがつらいのか少し顔が暗くなった気がした。

「とりあえず、だ。乗ってきたドラゴンを覚えているか?」

「ドラゴン……はい。あのとても大きな体と翼を持ったトカゲさんですね」

「トカゲって……」

 間違ってはいないが、こうのんびりというか抜けた声で言われるとドラゴンすらチンプな生き物のように感じる。

「そうだ。どうしてここに来たのかはわかるか?」

「それは……」

 思い出したくないのか口をつぐむフレイヤ。

「いや、無理に思い出そうとしなくてもいい。あのドラゴンからここにくる前につらいことがあったって聞いていてな、だからもしかしたらそのせいで記憶喪失とか今までの生活を忘れようと見ないフリしようとしているんじゃないかって心配になってよ」

 本気で心配するようにフレイヤを気遣うアビス。どうしてそんな気遣いができるのだろう。もっと突っ込んで聞けばいいのいと思うが、なにか考えがあるのだろうと思い言わないでいた。

「すいません……」

「謝ることはないぜ。いつか、話したくなったら話せばいい。無理にきこうとするんじゃねーぞシュバルツ」

「わかってるよ」

「本当か? もっと深く聞けばいいのになんて思ってなかったか?」

「それは……」

 アビスにとって俺の考えなどお見通しのようだ。伊達に長く一緒に生活してないせいか。

「今は確かにつらい気持ちかもしれん。忘れられないことかもしれない。しかし、少しずつでいい。少しずつでいいから一緒に暮らしてその心を癒してくれたらオレ様としてはうれしいかな」

 いつもとは違う優しい声でフレイヤを安心させるようにアビスは言葉をかける。

「おらお前もなにか言えよ」

 アビスの優しなに戸惑ってか言葉がでないフレイヤを見て俺になにか言えと催促してくる。

 なにを言えばいいのか考える。一緒に暮らすと言っても見知らぬやつとの生活に俺も彼女もきっと戸惑うだろう。ギクシャクしたまま屋敷の空気を悪くしてしまうかも知れない。そんな不安が過ぎる。

 しかし、すこしばかり彼女の立場を考えてみる。まったく知らないのは彼女の方じゃないか。アビスや屋敷のことを知っている俺よりもなにも知らない彼女の方こそが不安でしょうがないはず。そう考えてみると彼女に向けて自然と言葉が出てきた。

「まあ……俺も同じような境遇だったからな。なにも知らない土地に一人飛ばされ、なにをすべきか、なんでこうなったのか、どうすればいいのかって頭の中ゴチャゴチャに悩んで迷って。でもアビスが俺を救ってくれた。なにもない俺を向かい入れてくれた。それがどんなに幸せだったことかと今思うよ」

 誰かが独りの自分に手を差し伸べてくれて助けてくれる。自分のことを思ってくれる。そんなことがうれしくて感謝しきれなくて。

「急には無理だけどさ、アビスも言った通りすこしずつ俺たちのことを知っていって、俺たちも君のことを知っていって。この先どうなるかはわからないけど……つまりは……その……」

 いざ話し始めてみるとなにが言いたいのか自分でもわからないでいた。自然と言葉は出たのになにを伝えたいのか考えた途端言葉につまる。

 そんな状況の俺の次の言葉をしっかり聞こうとフレイヤは真剣な表情で俺を見つめてくる。

「………………」

「つまりは……君は独りじゃない! 俺がいる! だから不安にならないでくれ!!」

 本当に伝えたかったこと。独りじゃないってこと。大切なものを失ったかも知れないけど、でも君を見てくれる人がここにいる。その気持ちが伝わって欲しいようについ叫んでしまう。

「私は……独りじゃ……ない?」

「そうだ。なにがあったかはわからない。あのドラゴンは君にとって大切な人をなくしたと言っていたが、でも今は俺がいる。親父もいる。だから悲しまないでくれ」

「……独りじゃない。シュバルツさんがいる……」

 じっと見ていられなくなり俺は視線を外す。これでよかったんだろうか。俺の言葉は正解なのだろうか。

「私はここにいてもいいのですか? あなた方にとって見知らぬ人間。その……魔族じゃないただの一般人ですよ?」

 不安な言葉で自分の居場所を聞くフレイヤ。しかし、その不安を払うように俺はテーブルに身を乗り出して答えた。

「魔族も人間も関係ない! 俺がここに居れるように、君もここにいていいんだ!」

「………………」

 ポカンと俺の言葉に驚き言葉をなくすフレイヤ。

 そして俺とフレイヤのやりとりを聞いていたアビスは静かに言った。

「家主の俺が言うんだ。気にすることはない」

「アビスさん……」

「こいつも慣れないことやって必死なんだ。どうかそれをわかってくれないかな。それに君はここに住むのを反対したとしてどこか行く宛はあるのかな?」

「それは……」

「ならば決定だ。これから俺たちは家族だ」

 文句はないなと俺とフレイヤを見るアビス。家族だと?

 突然の家族宣言に驚きと戸惑いを隠せないフレイヤ。いや俺もそうだけが。

「え? か、家族ですか?」

「そうだ。一つの家で衣食住を共にし暮らす。そして築いていく関係、気づかぬ間に信じ合い絆になる。そして最終的に家族になるんだな」

「いや……突然過ぎて言葉がでないんだが。つか脈絡がなさすぎるぞ親父……」

 そうか? と俺の言葉に首を傾げるアビス。突然過ぎてついて行けない俺にアビスは聞いてくる。

「シュバルツ。お前にとって俺は何だ?」

「それは……恩人であり、親父だ」

「だろ? じゃあお前と嬢ちゃんの境遇に共通するものは?」

「それは……」

「私とシュバルツさんに共通するもの?」

 さっき考えてたことだ。つまりは一緒。同じアビスに拾われた者。

 フレイヤは俺の境遇を知らないからアビスの言葉がわからずにいた。

「ああ、うん。そうか。そうか」

「なにか一人で納得しているようですが」

「気にするな。こいつも君と同じくオレ様に拾われた者なんだ。だから境遇が同じ。そして君がここに来るまでに色々あって今は家族をしている。オレ様が父親でこいつが息子ってな」

「父と子ですか」

「ああ、それだけ長い時間一緒に暮らして互いを信じてきたってわけだ」

 だからな、と言葉を切り大きな手でフレイヤの頭を撫でる。

「君も今日から俺たちと家族……になる予定ってことでよろしくなフレイヤ」

「あ……」

 強引にもほどがある。なんて思ったところで俺自身同じ感じに家族にされたことを思い出す。

 名前を呼ばれ一瞬戸惑うも本当に自分を受け入れてくれるんだと感じたのか変化が少なかった表情に笑みがこぼれた。

「わかりました。なにかここまで熱烈に歓迎されるとは思ってはいなかったのですが、どうかこれからよろしくお願いします。アビス様、シュバルツさん」

 フレイヤは立ち上がり俺たち二人に向けてよろしくお願いしますと頭を下げる。

「礼儀正しい嬢ちゃんじゃないか。よし、これからはアビス様じゃなくておじさまって呼んでくれ」

「なぜですか?」

「堅苦しいのはなしってやつだ。いきなりお父様とか父上とか言うのも難しいだろうから、まずはおじさまから始めようぜ」

「……はい。わかりましたおじさま」

 首を傾け微笑みながらアビスをおじさまと呼ぶ。

「ではシュバルツさ……」

「俺もシュバルツでいいぞ。さん付けは馴れてないからむずがゆい」

 たまに来る知人も皆自分より年上で呼び捨てにするから、改めてさん付けされると馴れてなくてきついものがあった。

 しかし……と失礼に価するのではないかと考えているのか戸惑った表情を浮かべるが、俺の目を見て観念して呼び捨てにすることにしたらしい。

「わかりました。これからよろしくお願いしますねシュバルツ」

「ああ、よろしくだフレイヤ」

 互いに名前を呼び笑いあう。

「よし。家族になったことだし」

「ことだし?」

 なにをするのかと思っていたら

 ぐう……

「………………」

「お腹の音?」

 どこからか腹の音が聞こえた。その方を見てみると恥ずかしそうに頭を掻くアビスが苦笑いしていた。

「腹ごしらえだ!」

「はあ……」

「はい!」

 呆れる俺、なぜか元気よく返事をするフレイヤ。

「嬢ちゃんは料理はできるかい?」

「あの人と一緒にいたときはなかなか料理をさせてもらえませんでしたが、人並みにできます」

「あの人?」

「えっと……傭兵さんです。私を育ててくれた、無口でなかなか表情を変えない人でしたけど、優しくていつも私を気にかけてくれた大切な人です」

 目を閉じ両手を胸に当てその傭兵を思い出すフレイヤ。

「そうか。まら料理以外はできるのか?」

 暗くなりそうな空気を無理やりそうしないようになにができるか俺はフレイヤに聞く。

 思い出に浸りそうになったところを慌ててやめ、なにが出来たか思い出すように頬に手を当てる。

「そうですね。掃除洗濯、身の回りの世話とかですかね。よく散らかしたりして放置する人だったで自然と料理はあの人、その他の家の仕事は私って関係になってました」

「ほうほう。んじゃ、可能ならうちの使い魔と一緒に掃除とかしてくれないかな。働かざるもの食うべからず。でもあくまでも小さな範囲でいいからな」

「あんたがそれをいうか……」

「お前はなにもしてないだろ? 自分の魔力をうまく扱えないから鍛えてるだけで基本屋敷のことは関わってないくせによ」

「う、うるせえ。仕方ないじゃねーか。まだまだ未熟なんだから」

「未熟を理由にするな。ガッと気合で速攻なれろ」

「ガッってなんだよ、ガッて」

「フフフ……」

 しょうもないやりとりを俺とアビスをして若干ぎこちないがフレイヤが笑う。なぜだろう。ずいぶんと前からそうしていたかのような錯覚を覚える。

 でも悪くない。一人増えたからってなにも変わらない。きっと愛称がいいんだろう俺たち三人は。

 できたてホヤホヤの関係だけど、今日が終わるまで俺たち三人の間に笑いが絶えなかった。

 ちなみにこの後フレイヤが料理を作ったが、傭兵がなぜ料理をさせなかったか俺とアビスは思い知ることになった。あれはない……




 そうして二人だった家族は新しい光を迎え三人になる。

 闇を照らす光。あまりにもまぶしくて、尊くて、かけがえのない存在で。いつの間にか俺はこの光を手放したくないと思うようになり、当然の存在だと思っていた。

 そう、新しい家族がいつまでも続くものだとあの時は信じていたんだ。

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