彼女
「あゆみ、あの人奥さんいるんだって」
友達の喜美からそう言われて、私は信じれなかった。
だって、指輪はつけてなかったし、デートの時はいつも一緒に過ごしていた。
けれどもそう言われて、彼のことを観察したらわかってくることがった。
まず指、左指の薬指は少しだけ色が違う。よく見ればわかったのに、私は気がつかないフリをしたのだろう。
デートの夜はいつもホテル。彼の家に泊まったことはない。ロマンチックだと思っていたけど、これは家には奥さんがいるから無理ということだったかもしれない。
疑い出せばきりがなくて、私はある日、問いただした。
そうしたら案の定、彼は既婚だった。それでも関係をつづけたいといったから、速攻別れた。
私はそういう関係が大嫌いだった。
それから、何人かに興味を持たれたが、ほとんどが既婚者。
友達に相談したら、私は軽そうだから遊びにはちょうどいいと思われるらしい。
糞食らえ、だ。
頭にきたので、転職して、髪色を変えて、眼鏡をかけた。
でも変な誘いは変わらなかった。
友達に相談したら、私の体つきが遊んでいるように見えるらしい。
本当に馬鹿らしい。
人に会うのが嫌になって、在宅の仕事に変えた。
それでも誘われるのはいつも既婚の男から。
友達は、私の声が色っぽいとか。
さすがに頭にきて、友達を殴ろうとしたら、手を掴まれた。
壁ドンされて、気がつかないのといわれて、キスされた。
「俺は独身。ずっと独身。君のことをずっと見てきた。俺はだめなの?」
彼は私のずっと側にいた友達だった。私のことを一番理解している友達。
「わからないよ。だって、あなたは私の友達だったから」
「だったら今日から友達やめる。俺のこと意識してみて」
そんなこと突然言われてわからなかった。
返事しないままわかれて、彼とは音信不通。
電話番号も変えて音信不通。
私は友達を失った。
あのとき、すぐに返事をすればよかったのか。好きだって。でも嘘はつきたくない。
あれから三ヶ月。
私は彼が私のもとに忘れていった彼のメ