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少数派の恋愛事情~Minority Love~  作者: take
Chapter of Holidays in the second year.
93/108

87.クリスマスデート

クリスマス当日。

卓と海斗は仕事を済ませ、

夜東京のイルミネーションを見に行くことに・・・

87.クリスマスデート

今日はクリスマス。

とはいっても普通の平日である。

卓は仕事に出かけ、海斗は在宅でパソコンをカタカタと打ち込んでいる。

机の上には昨晩卓がプレゼントした日めくりカレンダーが置かれ、

25の数字と卓と海斗の2ショットの写真が印刷されていた。


今晩は海斗の計画したクリスマスのデートが行われる予定だ。

海斗は、猛スピードで仕事を片付け夕方には出掛けられるように準備していた。

一方卓はいつもの業務を淡々とこなして定時には退社できる予定になっていた。


卓が定時であがり家に帰ると、

海斗はセーターを着て出掛ける準備が整っていた。

「仕事なんとか終わらせたよ!

今日は東京の夜景スポット巡りに行くよ!

時間ないからぱっぱと着替えていくよ!」

すでにハリキリモードの海斗に

卓は”はいはい”と言いながら家の中に入って着替え始めた。

「はい!俺からのクリスマスプレゼント!」

海斗はそう言い、卓に手渡したのは

海斗が着ているのと同じセーターだった。

「おそろいだ!」

と卓は言うと

「いやだった?今日のデートで一緒で着たくて」

「ううん。嫌じゃないよ!ありがとう」

卓はそう言うと早速そのセーターに袖を通した。

少し大きめのセーターで萌え袖のようになっていた。

「ちょっと大きくない?」

「いや!その大きさ丁度いい!かわぃぃ!最高」

海斗はそう言いながら卓を写真で撮り始めた。

「だから撮るなって!恥ずかしいだろ」

「良いじゃん良いじゃん!ほら行こう!」

海斗はそう言うと手を繋いで外へと出た。

「ちょっと待って!このまま手を繋いだまま行くのか!」

「そうだよ!だってデートだもん」

「嫌だよ。恥ずかしぃ・・・人の目が気になるじゃん」

「俺と手を繋ぐの恥ずかしいの」

「そういう意味じゃなくて」

「冗談冗談。手、つながないから、ほら行こう!」

と海斗は言いながら扉を開けた。


本当は手を繋いでカップルっぽいことしたかったのになぁ。

と海斗は内心思いながら渋々家から出た。


千葉から東京まで電車に揺られながら、

海斗と卓は何げない会話のやりとりを楽しんでいた。

「そう言えば、卓と最初に会ったのも東京だよな」

「そうだね。渋谷のハチ公前だったけ」

「あの時の卓可愛かったかなぁ」

「お前はそれしかないのか」

「だってカワイイんだもん」

「俺の第一印象は出来る人だったな」

「出来る人って…上司じゃないんだから」

「だってそう思ったもんだもん」

卓と海斗はそんなやりとりをして弾んでいた。


渋谷駅へと着いた2人は最初の目的地にたどり着いた。

ビルの屋上庭園がライトアップされており、カップル達がちらほら見受けられた。

ほのかな明るさで照らされた場所にハートマークのオブジェもあった。

「カップルばっかりだね」

卓は見渡しながら言うと

「今思ったけど、お揃いのセーター着てここにいたら俺らもカップルに見えるのかな」

「見えんだろ。男同士だし」

と言いながら卓はスマホで写真を撮り始めた。

「そうかぁ・・・」

海斗はそんなもんかなと思ったが、周りを気にせず楽しもうと卓にべったりとくっついた。

「どうしたの?急に」

「カップルっぽく見えるかなと思って」

「やめぇい!」

と卓は言うと海斗は”けちぃ”と言いながら、

ハートマークの所に行って卓ここで写真を撮ろう!

と言い、近くのカップルにお願いした。

「こいつの行動力は時々恐ろしいよなぁ」

と卓は言いながら、海斗の場所へと歩いた。

卓と海斗は2人で並ぶと海斗は半分のハートマークを作った。

「俺はこれGoodポーズすればいいの?」

と卓は言うと

「ちゃうわ!はよ!ハート作らんかい!」

と海斗は突っ込むと卓は、やれやれと言った表情で半分のハートを作った。

2人で作ったハートは慣れないのか、いびつで不格好(ぶかっこう)だった

「ありがとうございます!代わりに写真撮りますよ」

海斗はそう言うと、撮ってくれたカップルの写真を撮った。


2人は渋谷を後にし、次の目的地の原宿まで歩くことにした。

東京の都心部にもかかわらず車通りは多くても歩いている人は意外と少なかった。

さらに2人は大通りから一本入った路地裏を歩いていたため、人気(ひとけ)もなく辺りは暗かった。


海斗は、卓の隣にそっと近づいて手を繋いだ。

「ここなら良いでしょ」

「まぁ人もいないしな」

と卓は言いながら、その手を繋いだままにした。


卓とお揃いコーデで手を繋いでる。

これってもうデートだよね!

デートって言って良いよね!あぁ幸せ!


「東京でもこんなに星が綺麗に見えるんだな」

卓は空を見上げながら海斗にいうと、はっと我に返って空を見上げてみた。

高いビルの隙間に見える星々が(またた)いている

「これも自然が生み出すイルミネーションの一つだよなぁ」

と卓は言うと

「上手いこと言うなぁ!さすが小説家」

「小説家じゃない。書いてるだけでそれで食べていけるわけじゃないし」

と卓は言うと、前の方からキャッキャという笑い声が聞こえて卓はすぐに手を離した。

男性3人と女性が2人大声で話しながら歩いてくる。

卓と海斗は少し距離を開けながら歩いた。


歩き始めて15分位の所に次の目的地があった。

そこはクリスマスツリーが輝いていた。

一定時間毎にツリーがクリスマスソングと共に色鮮やかにライトアップされていた。

「すげぇー綺麗!」

2人は次々と変わるツリーを楽しみながら海斗は卓の手を見た。

ポケットに手を入れながら見ている卓に、

さり気なく自分の手をその卓のポケットの中に入れると

卓はびくっとなったが”海斗か”と思い、すぐにツリーに没頭した。


遼がこんなことをしてきたら、

卓はきっともっとドキドキするだろう。

これは俺に恋愛としての興味がないからで、、、

でも、

それでも卓が俺の恋愛ごっこに付き合ってくれるだけで、、、

俺は満足だ。


海斗は自分にそう言い聞かせるように、

ポケットの中の卓の手をぎゅっと握った。


この手を絶対に離さない・・・離したくない。


海斗はそう思いながら

このクリスマスのイルミネーションを見ていた。



次回、3人でお正月の初詣へ

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