84.海斗の帰宅と本音
11月も終わり季節は12月。
海斗は1か月ぶりにシェアハウスに帰ってきた。
ハイテンションの海斗だったが・・・
84.海斗の帰宅と本音
「卓ー!久しぶりぃー!会いたかったー!」
帰ってきてそうそうに海斗は卓にむぎゅっと抱きしめた。
駅のホームで人が行き交う中、海斗は周りを気にも留めず卓の事を抱きしめた。
12月になり、海斗と卓は1か月ぶりに再会したのだった。
「おかえり海斗・・・やめろって恥ずかしいよ」
「だって久しぶりだったし!もぅずっと会いたかったんだから!」
海斗は卓を抱きしめながらそう言うと、
卓は少し照れくさそうに笑った。
「もぅ海斗は・・・」
と卓は言った。
車で迎えに来た卓は海斗を乗せた家へ向かった。
「ひっさしぶりの我が家だー!」
喜ぶ海斗に卓は改めておかえりというと、
笑顔でただいまと返した。
時間は昼過ぎでおなかを空かせたままソファーに倒れこむ海斗。
「やっぱ我が家が一番だー!」
海斗はそう言いながらくんくんと匂いを嗅いだ。
「なんかいい匂いがする」
「あぁ昼飯作ってたんだ。焼きそば食べる?」
と卓は言うと、餌を出された子犬の様に飛び起き
「たべるー!」
という海斗。
「なんでこんなにハイテンションなんだよ海斗は・・・」
と卓は言いながら、焼きそばを電子レンジにいれた。
久しぶりの卓との再会に嬉しくてたまらない海斗は
終始ハイテンションでまるで狂ったように喜んでいる。
卓はなぜかそれが恥ずかしくもあり嬉しくもあった。
「卓に話したいこといっぱいあったんだ!」
と焼きそばを頬張りながらしゃべる海斗。
「毎晩電話してただろ」
と卓も一緒に焼きそばを食べながら言うと
「電話じゃなくてこうやって会って話したかったの!」
と海斗は言いながら一緒に焼きそばを食べていく。
「そう言えば!卓のおみやげと誕生日プレゼント!」
海斗は食べ終わり荷物の整理をしていると、
思い出したかのようにご当地シロブチ犬のぬいぐるみとシロブチ犬柄のリュックサックを出した。
「うわぁ!かわいぃ!これで推し活ばっちしだよ!ありがとう!!」
卓はそう言いながらお土産を受け取った。
「喜んでくれて良かった!凄く悩んで買ったから」
と海斗は嬉しそうに微笑んだ。
荷物の整理をあらかた終えてひと段落すると
辺りは夕暮れ時になり西日が窓から差して室内を明るく照らしていた。
「遼とどうだったの?」
海斗はずっと気になってきたことを卓に話をした。
「別にどうってことないよ。いつも通りに遊んだだけ」
と卓はいうと、海斗は少し寂しそうな表情を浮かべた。
「あの時、本当は卓と遼が一緒に遊ぶの凄く怖かった。
そのまま2人が付き合ったらとかいろいろ考えた。
俺のいないところで、卓がその場から離れっていてしまうって寂しかったんだ」
海斗は自分の素直な気持ちを打ち明けた。
「でも、俺が行かないでって言うのは
卓と遼の仲を引き裂いているようでそれも嫌だった」
続けて海斗は言うと卓はゆっくりと応えた。
「海斗なら行ってきなよって言うと思ってた。
本当は嫌だろうけどきっと海斗ならそういう気持ちを全部抑えて俺の背中を後押しするの知ってた。
俺はそれに甘えてたかもしれない。ごめんなさい」
卓自身、楽しかったあの日、だけどどうしても海斗に対しての後ろめたさはあった。
「俺は海斗の気持ちより自分自身の気持ちを優先した。
遼と久しぶりに2人きりで出かけれると思ったら嬉しくて」
続けて卓は言うと、海斗はうんと頷くと続けて
「俺は卓の幸せを一番に願ってる。
例えそれが俺と一緒の未来じゃなかったとしても。
だから卓はそのままでいて欲しい」
海斗の言葉に卓はううんと首を振った。
「俺の幸せは海斗と遼と3人、仲良くずっとこの絆が続くこと。
俺の幸せには海斗も必要なんだ。だからいなくなるとか言うなよ」
卓の言葉に海斗は少し寂しそうに笑うと小さく一言、
ずるいよそんなの
と海斗は呟いた。卓は聞き取れず
ん?と聞き返すと
「じゃあ。俺からお願いがある・・・
今度のクリスマスは2人で過ごしたい。
遼抜きの2人だけのクリスマスが良い」
海斗は先の言葉を消すようにそう言った。
「いいよ。今度のクリスマスは2人だけで過ごそう」
と卓は言った。
「まぁでも俺年末は忙しいから仕事休めないし、平日だと夜からになっちゃうかもだけど」
と海斗は言うと
「いいじゃん!なんてたって俺らシェアハウスしてるんだから。夜はずっと一緒だよ」
と卓は笑って言った。
「そうだな!じゃあクリスマスイブは卓、クリスマスは俺がデートを企画するってことで」
「いいよ!最高のクリスマスにしてやるよ!」
と卓は自信満々に言った。
次回、卓と海斗のクリスマス・イヴ




