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少数派の恋愛事情~Minority Love~  作者: take
Chapter of Holidays in the second year.
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81.誕生日デート

11月に入り卓がもらった2枚の遊園地のチケット

それは遼と卓が子どもの頃遊んだ馴染みのある田舎の遊園地だった。


81.誕生日デート


はい誕生日プレゼント!

まだ11月に入って間もない、

卓の誕生日まで3週間近くあるというのに

両親からもらったのは、馴染みのある千葉の遊園地のチケットだった。


有効期限が今月末(11月末)までという

短いチケットをもらった。

卓は誰と行くかで迷っていた。

海斗はいま大阪に行っていていない。

となると遼と行こうか。

・・・海斗の事を考えるとあまり気が進まない。

やっぱり海斗に相談してから決めるか・・・。


卓は海斗に事の経緯を電話で説明した。

遼と行ってきなよ!

俺が帰ってから卓の誕生日は別で祝うからさ!


卓は海斗ならそう言うだろうと思った返事が返ってきた。

そして今、遼とこうしてとある喫茶店で話をしていた。

「チケットが2枚余ってるんだけど・・・一緒に行かない?」

卓は遼に聞くと

「懐かしいなぁ!子供の時以来じゃない?11月かぁ・・・俺の予定は・・・」


遼はあまり、というか人の誕生日を覚えていない。

むしろ自分の誕生日にも疎い。

もちろん俺の誕生日なんて覚えているはずもない。

卓はそう思っていた。


「そういえば、卓11月誕生日だったっけ?」

遼はふと思い出したように言った。

遼からこの言葉が出てくる事がめちゃくちゃ嬉しかったが

あえて平然を装いつつ

「まぁ・・・そうだけどー」

「じゃあ誕生日の祝いも一緒にやろうぜ。そこで俺が全部奢るよ」

プレゼントを考えるのが苦手な遼らしい提案だな。

と卓は思いつつ、その言葉を言ってもらえるだけで嬉しかった。


「おぉ!ありがとう!じゃあそうと決まったら日程だね。

別に俺の誕生日に合わせなくても良いよ!2人が合う日にしよう」

と卓と遼は誕生日デートの打ち合わせを進めていった。


そして、当日。

卓と遼は千葉にある遊園地に車で向かった。

前回、海斗と行った遊園地とは違い田舎の遊園地で

だだ広い広場があり遠くの方に観覧車と風車が見えていた。


「懐かしいなぁー!この広場で遊んだよなぁ!

卓ママにここ車で連れてきてもらってさぁ」

遼はそう言いながら草っぱらを歩いた。

「そうそう!グローブとバットとボール持ってきてさ!

野球のサクセスゲームみたいなことして遊んだよなぁ」

卓もそれにあわせて歩き始めた。


「そんで帰りの車中で二人して爆睡してさぁー」

「あぁ!そうそう!子供の時って体力無限にあるようで、ただ限界まで遊んでるだけなのな」

卓と遼は思い出話に花を咲かせながら広場を歩いた。


広場を抜けると観覧車がそびえているメインの場所へとやってきた。

洋風な街並みと風車がマッチしている。

卓と遼は街並みを散策していると、遼がジンギスカン食べ放題の店をみつけた。


「腹減ってきたなぁー」

「じゃあここでご飯にするか」

「いいね!飯は俺が奢るよ!なんたって今日は卓の誕生日だから」

遼はそう言うと肩をポンと叩いた。

ちょっとしたスキンシップでも

ドキッとしてしまう体になってしまった卓は

平然を保ちながら内心心臓がバクバクだった。


前はもっと普通でいれたのにな、

そう卓は思いながら、遼の後を追った。


ジンギスカンを飽きるまで食べつくした2人は、

そのまま別のエリアへと移動した。


次のエリアは小さなジェットコースターが1つと、

いくつかのアスレチックがあった。

卓と遼は折角だからと童心に返ったように遊んだ。


一通り遊び尽くすとベンチでソフトクリームを買って食べていた。

「昔、卓ママからもらったお小遣いでソフトクリーム食べたよな」

と遼はソフトクリームを片手にそう言うと

「そういえば、そうだったそうだった」

と卓はソフトクリームを舐めた。

「いつも卓は口の周りアイスでベトベトにしてたけど、さすがに今はしないか」

と遼は笑いながら言った。

「いつの話だよ!」

そう言った卓のほっぺについたソフトクリームを見てくすっと遼は笑った。


子どもの頃からずっと仲良くて

大人になった今でも童心に帰って楽しめる。

そんな人がこの世界に一人いる。


それだけで幸せなはずなのに

俺はその先を踏み込みたいと思ってしまう。


これは俺のエゴだ・・・。

誰1人この気持ちを打ち明けて

喜ぶ人間などいない。


けれど、心は無性に叫びたがっている

君の全てが欲しいと。


そんなドロドロした思いが

胸の中でグルグルとうごめいていく。


先を歩く君の後ろ姿が好きだ。

笑った時のくしゃってなる笑顔が好きだ。

俺を触れた時の柔らかい手が好きだ。

俺の名前を呼ぶときの声が好きだ。

隣に座った時の耳の形が好きだ。

ぶっきらぼうだけど優しい君が好きだ。

ふとした瞬間のぼーっとした顔が好きだ。

君の寝ている時の寝息が好きだ。


君の好きだという気持ちがこんなに胸の中にあふれているのに

たった一つも言葉に出来ない。


言葉にすればこの関係も終わってしまう。


だから

せめてこの瞬間、2人だけの世界は


俺と君だけのもの


この瞬間だけは誰にも渡したくないのだ


次回、秋の夜空に開く花

新シーズンスタート!

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