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少数派の恋愛事情~Minority Love~  作者: take
Chapter of Shared House.
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68.ショッピングモールデート

卓と海斗の楽しいショッピングモールでのひととき

だが海斗のモヤモヤは心の奥底で渦を巻いていた。

68.ショッピングモールデート

2人は木更津のショッピングモールに到着した。

広い敷地にそれに見合った巨大なショッピングモールだった。

休日だったため大変(にぎ)わっており、車を駐車場に停めるのにも一苦労だった。

しばらくしてようやく車を停めることができ、2人はショッピングモールに入った。


3階建てのショッピングモールには、かなりの数のテナントが出店されていた。

卓は辺りをキョロキョロ見回している中、

海斗は入口に置いてあったフロアマップを手に取り目的の場所を調べていた。

「あー多分2階のこの辺だな!よし行ってみよう」

海斗の言葉に卓は後をついて歩いた。


海斗の後をついて歩く卓に、海斗はくすっと笑った。

なんかこの感じ・・・初めて会った時みたいだなぁ。

あの時も俺の後ろをついて歩いてたっけ。

かわいかったなぁー。

海斗は卓を見ながら微笑んだ。

「ん?何かあった?」

と卓の問いに

「ううん。可愛いなぁと思って」

「なんだよそれ・・・」

と卓は海斗の顔を見て恥ずかしそうに笑った。

「手でもつなぐ?」

海斗は卓にぼそっと言うと

「いや。恥ずかしいし、俺ら恋人じゃないから」

と返した。

海斗はちぇっと残念そうにし、意地悪く少し速足で歩いた。


「ちょっと海斗早いって!追いつかないよ」

背の高い海斗に歩幅が合わず、

必死に後を追いかける卓の手を、海斗の長い手がひょいと現れて

「手繋がないと迷子になっちゃうよ」

と卓の手を握った。

ドキッとした卓は、その手をぱっと払いのけようとした。

「俺と手を繋ぐのは嫌?」

海斗はまずいと思ったがポロリと出た言葉に驚いた。

「嫌じゃないけど・・・

東京で初めて会った時は知らない土地だったから良いけど、

ここは地元だから知り合いが多くて、、、恥ずかしいというか・・・」

「そっかぁ。そうだよな!わりぃわりぃ!」

海斗は卓の手をそっと放した。

相手が遼だったら、きっと恥ずかしくても手を繋ぐんだろうなぁ。

海斗の心にはモヤモヤが立ち込めては、ずっと晴れずにいた。


目的の雑貨屋さんのテナントに着くと2人はグッズを物色した。

「ソクミミコーナーあるよ海斗!これめっちゃ可愛くない?」

「うん!良いねぇ!また飾る場所、宜しくね!」

「おぅまかせとけ!あっこれも迷うなぁ!マグカップだって!」

と卓は手にカップを取った。

「このマグカップ、シロブチ犬とソクミミでペアになるんだって!お揃いで一緒に使おうよ」

卓の提案に海斗は嬉しそうに頷く。

「良いね!お揃いにしよう!」

「じゃあこれも購入っと!あっこれ見てよ!」

卓が持ってきたのは

シロブチ犬の総柄Tシャツと

ソクミミの総柄Tシャツのお揃いのシャツだった。

「すげぇ!違う種類のキャラクターなのに総柄でお揃い出来るよ!これも買っちゃう?」

「えっ?お揃いのTシャツ良いの?」

「ん?なんで!良いじゃんお揃いのTシャツ!それとも嫌?」

「嫌じゃない!お揃いにしたい!それ着て街を練り歩きたい」

「練り歩くって・・・まぁいいや!じゃあこれも購入っと」

卓はかごの中に入れた。


手を繋ぐのはダメでお揃いは良いのか・・・

その基準が良く分からないけど

俺とお揃いのものは着てくれるのか!

これは嬉しい!お揃いのマグカップにお揃いの服まるで・・・そう恋人!

こういうことがしたかったんだよ!俺は!

と海斗は心の中で叫んでいた。


海斗は買い物を終えて手荷物いっぱいの卓をみて、

「俺が持つよ」

と言い買ったグッズたちを代わりに持ってあげることにした。

「ありがとう。なんか小腹が空いてきたから軽いものを食べてこう」

「あぁ、そうだね!んっとこの辺だと…」

「あっ!パンケーキ屋さん!ここのパンケーキ美味いんだよ!あれ食べに行こう!」

「うん!良いよっ!行こう!」

2人はパンケーキ屋さんに向かった。

店内はシックな佇まいの内装で、机の上部にはゆらゆらとランタンが揺れている。

2人はそれぞれ違うパンケーキを注文して、

目の前にはそれぞれが注文した美味しそうなパンケーキが届いた。

「うわっ!おいしそう!」

「一口食べる?」

と海斗は一口サイズに切り分けると、フォークで卓の口元に近づけた。

卓はぱくっとそのパンケーキを食べるとにっこりと笑った。

「うまーい!甘くてとろけるぅ!」

卓はそう言いながら自分のも一口サイズに切ると

同じように海斗の口元に近づけ、海斗もぱくりと食べた。

「うん!うまい!」

と海斗も同じように喜んで食べた。

「なんかさぁこういうのってあれだよねー」

と海斗が言うと

「餌付けみたいだよね」

「動物園じゃねぇ!」

そこは、カップルみたいだよねって言って欲しかったんだけど・・・まぁいいや!


「あっ!口の横にホイップついてる!」

海斗は卓に教えてあげるために、自分の顔でその場所を指で示した。

「こっち?」

「ちがう逆!あぁ!」

海斗は卓のホイップを自分の指で拭うと、そのまま自分の指を舐めた。

「サンキュー!」

卓はそう言いながらパクパクと食べていた。

「本当!卓って可愛いよなぁ!大好きだよ」

「なんだよ!急に!ほら早く食べないと伸びちゃうよ!」

「伸びねぇよ!ラーメンじゃないんだから!」

海斗はそう言いながら食べ始めた。


大好きだよ

この言葉の意味をきっと卓は理解していない

鈍感だから

分からなくていい

知らなくていい

その言葉の意味を




次回、梅雨の喫茶店

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