65.卓が贈る誕生日プレゼント
65.卓が贈る誕生日プレゼント
遼の誕生日会は夕方から始まり、辺りはすっかり暗くなり始めていた。
お酒を飲み酔い始めた3人の話題は、好みのタイプの話になった
「それで結局、卓の好きな人ってどんな人なの?
どんな子がタイプなんだよぉ!俺聞いたことねぇぞ!
そういうのぉー」
遼は卓の肩に手を乗っけながら聞いた。
ドキッとする卓は、ごくと唾を飲んだ。
緊張で胸が早くなり酔いが一気に回っていく。
「俺の好きな人は・・・」
卓は遼を見つめた。
んっ?という顔をする遼をみて卓は下を向いた。
心臓の音が今にもはりさけそな位なり響く。
「どうしたー?急に下向いて!」
「・・・笑顔がカワイイ」
卓は下を向きながら話をした。
「ほうほう笑顔がカワイイねぇ」
「・・・あと脚が・・・こう・・・」
「脚フェチなのねぇ卓は!初めて知った」
「遼はどうなのよ!」
海斗は遼に話を振ると
「そうだねぇ!体が小さくて髪の毛が長くて!胸が大きい方が良いかなぁー」
「胸ってでも大きくなくても良いじゃん?」
と海斗は遼の言葉を遮るように言った。
「何をいう!胸は大きければ大きいほどいい!」
「やっぱ男は胸しか興味が無いのか!」
「お前も男だろう!」
と遼は海斗の言葉に食い気味に言った。
それを卓は黙って聞いていた。
普通の男ならやっぱり胸が大きい方が良いと答える人が多いと思う。
今まで出会った人たちはそういう話で盛り上がる。
遼もやっぱりノンケなのだと卓は、再確認をした。
遼の事は誰よりも一番知りたいし知っていたい。
だけど、そんなことは知りたくない。
聞きたくなかった言葉をかき消すように卓は誕生日ケーキを用意した。
「そろそろケーキ食べようぜ!」
卓はそう言いながらケーキを机に置いた。
「やっぱロウソクで火を消さないとねぇ!28本用意する?」
「いらないし、やらなくていいよ!恥ずかしい」
と遼は全力で拒否をしている横でロウソクに火をつけ始める卓。
「いや、やらなくて良いって」
「まぁまぁ」
「まぁまぁ」
「まぁまぁじゃなくて!」
卓と海斗はそのままロウソクに火をつけると
部屋の電気を消した。
ロウソクに灯された遼の顔を見て
卓はうっとりとその姿を眺めていた。
大声で歌う海斗。
それにつられて歌う卓。
恥ずかしそうに笑う遼。
3人のそれぞれの心を消すようにロウソクの火は消された。
「お誕生日おめでとうーー!遼!」
「ハッピーバースデー!」
卓と海斗の大きな声とクラッカーが部屋中に鳴り響いた。
「さぁ!お待ちかねの誕生日プレゼントです!」
卓はそう言いながら、A4サイズ程のプレゼントを手に渡した。
「別に待ってはないけど、ありがとうな!」
「またそういうこと言う!中身みてみてよ」
卓はドキドキしながらそう言うと、遼はプレゼントの袋を開けた。
中には写真立てと
クリスマスの時に撮った写真がランダムに並べてあるコラージュ写真が入っていた。
一番真ん中にはハートマークを作ったあの時の写真が配置されていた。
卓はドキドキしていた。
酔った勢いとはいえギリギリまでこれを渡そうかどうか悩んでいた。
「おぉ!良い感じじゃん!
もっとネタで来るかと思ったらマジのやつじゃん!
ありがとう!」
遼の言葉に卓はホッとしたが、
「でもこの写真のセンスはやばいねぇ!
恥ずかしくて飾れないかもなぁ」
と遼は苦笑いをしていた。
「やっぱ遊び心もないとさぁ・・・てかお前、人を自分の家に呼ばないんだから良いだろ!」
「まぁそれもそうか!ありがとう!飾っとくよ」
「じゃあ俺からもプレゼント!」
海斗はそう言うと、高級そうな小箱を取り出した。
その中にはこれまた高級そうなペンが仕舞われていた。
「これはすげぇなぁ!おしゃれ!ありがとう!」
「俺なりに書きやすい奴を選んだから、多分使いやすいと思うよ」
「2人ともありがとうなっ!」
遼は2人にお礼を言うと、
もらったばかりのプレゼントを大切に鞄にしまった。
次回、卓と遼の二人っきりで・・・




