64.遼の誕生日会
64.遼の誕生日会
3人は、喫茶店を後にして海斗と卓の家へと向かった。
「そういえば!誕生日ケーキまだ買ってなかったから寄りたい!」
と卓は、前を歩く2人に声をかけ、3人は近所のケーキ屋さんに向かった
「遼はパイのケーキが確か好きだよね?どれにする?」
ケーキ屋さんで何を選ぶか卓に尋ねられ、
遼は照れくさそうにケーキを選び始めた。
「誕生日プレートつけてもらっていいですか?」
遼が選んだパイのケーキを海斗がオーダーしつつ店員さんに尋ねた。
ハートがついたプレートと星がついたプレートの2種類を見せられて
どちらが良いか選べるようだった。
「じゃあ、こ…」
卓がハートの方を指さそうとした瞬間
「こっちの星ので」
と遼はすかさず言った。
ちぇっ…ハートが良かったのになぁ
と卓は思いながら星のプレートを選んだ。
それをみていた海斗は、
2人ともなんか微笑ましいなぁ
俺も卓からハートのプレート頼んでもらいたいなぁ…
いいなぁ遼は…
と心の中でぼやいていた。
3人は無事にケーキを購入しケーキ屋さんを後にした。
家へと向かう途中、海斗は遼に話を振った。
「そう言えば、彼女とはどうなの?」
海斗の言葉に卓はびくっと耳が過剰に反応した。
「鎌倉旅行以来、俺忙しくてあんま会ってないんだよね」
「彼女さん大事にしなきゃダメだよ」
卓は心にもない言葉をぽろりと言った。
「分かってる。今度はちゃんと大切にするよ」
遼はそう言いながら、スマホをいじり始めた。
「今度はって?」
と海斗は遼に聞いた。
尋ねられたのは遼だったが、すかさず卓は遼の顔をちらりとみた。
卓は遼と目があった。
「大丈夫だよ。高校の時の彼女の話だろ。もうさすがに辛くないって」
遼のその言葉に、遼に代わって卓が語りだした。
「遼が高校の付き合ってた彼女、
3か月位したら友達としか見られないって言われて遼は振られたんだよ。
その原因が俺と仲良くしすぎだったらしくて、
彼女の中では彼女自身が自分のことをただの友達の延長線上に思っちゃたんだって。」
「それで今度は大事にしろよって訳ね。
でもさすがにもう大人なんだし、
友達同士で遊んでて嫉妬とかないんじゃないの?」
「まぁそれはないかもしれないけど、
遼そっけないから、彼女に対してもこんなだから」
と卓は言うと、遼はすぐに否定した。
「そんなことないよ。ちゃんとすぐ連絡も返すし」
「俺のもちゃんとすぐ返せ!」
と卓はぎろっと遼を睨んだ
「おっ…そう来たか」
「あったり前だろ!返事遅いんだよ。
二日も三日も待ってる身にもなってみろって!
あまりに返事遅いから、遼と時間軸がずれてるのかと思ったわ」
と卓は、少しムッとした様子でしゃべった。
「その表現面白いなぁ」
と海斗は言うと
「卓はたまに可愛い表現するよなぁ」
と遼は言った。
その遼の言葉に
卓は恥ずかしくなり目を反らした。
かわいい・・・かわいい・・・かわいい・・・
遼の言葉が脳内で反響していた
遼の何気ない可愛いという言葉。
海斗はもじもじしてる卓の方を見つめた。
あぁ・・・嬉しいんだろうなぁ
海斗は普段自分に見せない卓の顔を見て
心に靄がかかったように感じた。
それをあえて上書きするように海斗は
「卓って可愛いよなぁ!」
と賛同するように言った。
「えっ・・・そんなに可愛い?」
卓は気分が良くなったのか。ニヤニヤとしていた。
「だめだよ。これ以上言うと卓はすぐ調子に乗るから!」
遼は海斗に笑いながらそう言うと。
「なんだよ!それ!ちょっとくらい図に乗っていいだろーー!」
と卓はほっぺをぷくっと膨らませた。
「それ絶対可愛いと思ってやってるよね?」
と海斗は卓に言うと
「バレちった!」
と卓は頭を掻きながら言った。
「ほらまたすぐ調子に乗る!」
遼はそう言いながら少しあきれていた。
3人は家に到着してリビングへと行くと
大皿に豪勢な料理が並べられメモがあった。
「俺のお母さんからだ」
卓はそう言いながらメモを見た。
「遼!誕生日おめでとうだって。
俺の母さんから。きっと合鍵で入ってきたんだなぁ」
「卓の母さんの料理うまいんだよなぁ!ありがとう」
遼は嬉しそうに綺麗に並んでいる料理を見ながらお礼を言った。
「お母さんが来るなら部屋片付けしたのに」
海斗はそう言いながら部屋を見渡した。
「サブラーイズが好きだからねぇうちの親は」
と卓は笑って言うと
「卓に本当そういうところ似てるよなぁ」
と遼はそう言いながらソファーに座った。
卓と海斗はコップや飲み物の準備を行い席に着いた。
「それじゃあ!遼!誕生日おめでとーーー!」
遼の誕生日会が始まった。
次回、卓が送る遼の誕生日プレゼントとは・・・




