60.焼肉屋からの帰り道
60.焼肉屋からの帰り道
焼肉屋を後にした3人は車で遼の家へと向かった。
家に到着し、
「じゃあ、また今度なっ…」
遼は少し寂しそうな顔をしながら手を振った。
「おうじゃあ近々…今度は…」
と海斗が言おうとした瞬間
「3人で喫茶店行こう」
と海斗の言葉をかき消すように卓はそう言った。
「あぁそうだな…また連絡頂戴!」
「たまには遼からしてよ」
「あぁ…分かったよ。そのうちな…」
「遼のそのうちはあてにならないからなぁ」
と卓は笑って言いながら、
「また俺から連絡するよ」
と卓は付け加えるようにそう言った。
「おぅ…じゃあな…」
「またねっ」
3人はそう言葉を交わして、卓の車は動いた。
遼は卓の車が見えなくなるまで見送ると、今まで押し切っていた気持ちがぼそりと口の中から零れ落ちた。
あそこは、卓と俺の場所だったんだけどなぁ
ぼそっとつぶやいた遼の言葉を春風がさらっていった。
海斗は卓の車を運転しながら、帰路へついた。
「無事引越しが済んで良かったなぁ」
と海斗は、卓に言うと
「あぁ本当に…一息ついたら眠くなってきちゃった」
とあくびをしながら海斗に言った。
「少し寝ていいよ」
「いや助手席は起きてなきゃ…」
目がとろりとする卓に海斗は
「無理しなくて良いよ」
と海斗はつぶやいた。
卓は、車の揺れを感じながら、こくんこくんと頭が垂れていく。
だめだぁ…ねちゃだめだぁ
おれはねてないぞぉ…
めだってひらいてるんだから
いかにも、もう限界のような言葉を発する卓の姿をみて
海斗はこの寝顔がずっと見れる幸せを噛み締めていた。
海斗は左手で卓の背中をぽんぽんと叩くとすーっと寝息を立てる卓の音が聞こえた。
「あーかわいい…」
海斗は卓の寝落ちした姿をみて幸せに満ちていった。
ピーピーという車がバックする時の警告音
卓は、その音で目を覚ました。
「あれ…もしかして寝ちゃってた?ごめん」
卓は必死に謝ると、
「良いの良いの…とりあえず家んなか入って風呂入って寝よう」
「うん。そうしよう…明日も休みで良かったぁ」
卓は体をぐんと伸ばしながら、そう言うと
「確かになぁ引越しした次の日で仕事だったらちょっときついよな」
海斗はそう言いながらバックで車を駐車した。
「運転お疲れ様」
と卓は言いながら扉を開けると、海斗も一緒に降りた。
今日から始まるシェアハウス。
この家のドアを開けた瞬間から始まるのか。
海斗は嬉しい気持ちが高まり表情に溢れていた。
卓はというと欠伸をしながら車のドアを閉めてスタスタと玄関へと向かっていた。
「何してるの?海斗?早く部屋んなか入ろうぜ」
と卓は海斗を急かすと、海斗はおぅと返事して玄関へと向かった。
卓はドアを開け、中に入ると後から海斗がやってきた。
「おかえり」
と海斗は言うと、卓は「ただいま」と返した。
おかえりとただいまが言える家が
卓との間に出来た事に海斗は嬉しくて、胸の奥が痛くなった。
「ただいま…卓」
「あぁお帰り…」
卓は靴を脱ぎながら廊下へあがると、海斗は後ろで靴を脱ぎながら
「ねぇ、お風呂にする?ご飯にする?」
と卓に言った。
あぁこれこれ…このセリフが言いたかったんだよ!
と海斗は同居生活を楽しんでいた。
「まだ食うの?俺腹いっぱいんなんだけど」
と卓は、お腹をさすりながら言うと
「そっかじゃあお風呂にするから待っててね」
と海斗は、お風呂を沸かそうとした。
「いや、いいよ!これから風呂沸かすの大変だろ!シャワーで良いよ!」
と卓は言うと
「そぅ?まぁ良いなら良いか」
と海斗は、卓の指示に従ってお湯をはるのを止めた。
「そのまま先に入っちゃいなよ」
卓が荷物を片しながら言うと、
「先に卓が入ってよ。新居一番風呂を堪能してよ」
「じゃあ分かった」
と卓は服を脱ぎ始めた。
次回、シェアハウス初めての夜。
(本家に追いついてしまった為、こちらは暫くお休みします。)
追記2024.11.05
皆様大変長らくお待たせしました。
近日中に連載を再開します。ただいま鋭意執筆中です。
今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m




