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少数派の恋愛事情~Minority Love~  作者: take
Chapter of Shared House.
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54.シロブチ犬グリーティング午後の部

54.シロブチ犬グリーティング午後の部

午前中のシロブチ犬グリーティングを楽しんだ2人は近くの公園を散策をしていた。

その公園には巨大な池があり、冬の寒空が池の水に反射して映されている。

池には橋が架けられており、卓と海斗は会話をしながら橋の真ん中を歩いていた。

冷たい北風が吹きつけて、水の冷たさも相まって一層周りの温度を下げた。


「うー寒いなぁ」

卓は体を震わせながら体を縮こませていた。

「ねぇ、卓…」

海斗は卓の寒そうに震える姿を見ながら言った。

「うん?何?」

卓は、振り返ると、海斗は立ち止まって卓を見つめていた。


「一緒に住まない?」


海斗のまっすぐな言葉に卓は、一瞬頭が真っ白になった。

「えっ?それってどういうこと?」

「俺さぁ4月から転勤でさ、職場が東京なんだけど、卓と一緒に住めたら楽しいと思うんだよね」

冷たい風が海斗の心をさらっていく。


卓は一体どんな反応をするのか…胸が張り裂けるように鼓動する。


「良いよ。楽しそうだし!」


卓は、ふんわりとした表情を浮かべながら海斗がシェアハウスをしたいとまるで知っていたかのようにあっさりと応えた。


卓の心の中には、

このままずっと親元を離れないで良いのだろうか

自立した大人になれないんじゃないか

そんな思いをずっと秘めていた。


1人暮らしをしたい。

けれどきっかけがずっとないまま、今までずっと来ていた。


「海斗と一緒だったら俺も親元離れられる気がする」

卓のその言葉に海斗はドキッとした。


それって告白?

いやいや・・・

遼がいるじゃん。卓には…

じゃあ今のセリフは?

いったい何!?


海斗の中でぐるぐると回っていた。


「それって告白?」

海斗は冗談交じり聞くことにした。

「え?告白じゃなくてさ。俺ずっと親元離れたいと思ってたんだけどきっかけが無くって。でも海斗と一緒なら良いきっかけになるかなぁと」

卓はそう言うと、海斗はあっそういう事という納得した表情をした。

「じゃあさ、卓の両親にも了解得ないとな」

「あ・・・うん。分かった。ちょっと待ってて」

と卓は、言うと携帯で電話をかけ始めた。


行動力が早すぎる…

海斗の目の前で卓は母親に電話をかけて何やら話をしている。

「今日うちに来て話しよう」

卓は電話が終わると海斗にそう告げた。

「急に大丈夫だったのかな?」

海斗は、卓に言うと

「今日大事な話があるからって伝えてシェアハウスのことはまだ伝えてない」

「え?そうなの?」

「うん。ビックリさせようと思って」


いや、その考えの方がビックリなんだけど

と海斗は、思いながら


「まぁいいか…直接伝えた方が誤解もなさそうだしね」

卓の両親に会う決心を固めた。


11時30分

2人は場所を移してランチにしていた。

12時過ぎには食べ終わり先ほどの場所へ戻りたいと考えていた。

パパっとランチを済ませてグリーティング会場へと足を運んだ。


12時30分

すでに2人は会場に着き待機をしていた。

午前中とは違い、大人やカップルがちらほら増えてきていた。


「午前中の部より人が多いねっ」

「確かになぁ・・・まぁ朝早かったからなぁ。次は2人で撮ろうか」

「うん。そうする!」


卓は首を縦に振りながら返事する。

その姿に海斗はかわいいなぁと思いながら見つめていた。


13時

再び、出てきたシロブチ犬。

卓の心は終始穏やかではない。

海斗はその卓の喜んでいる表情を見れるだけですごく幸せな気持ちになれた。


卓と2人暮らし・・・

急に現実味を帯びてきて海斗の心も終始穏やかではなかった。


卓と海斗は、順番が来るまでにシロブチ犬と何を話そうかの話をしていた。

そして、ついに卓と海斗の順番が回ってきた。

「カメラお預かりしますね」

海斗のスマホを預けるとシロブチ犬が目の前で体を揺らしながら近づいてきた。

「シロブチ君ー!来たよー!」

卓は、そう言いながらシロブチ君とハグをすると

続けて海斗ともハグをした。

「シロブチくんに会いたくてまた来ちゃったよ」

と海斗はそう言うと、シロブチ犬はうんうんと頷いた。

「そうそう、彼シロブチ君の大ファンでね。ぬいぐるみとかグッズとかいっぱい持ってるんだよ」

海斗は卓の事を紹介すると、シロブチ犬はそれを嬉しそうに聞いている。


「あ・・・シロブチ君と一緒に撮ろうと思って忘れてた」

卓は、リュックの中からシロブチ犬のぬいぐるみを取り出した。

シロブチ犬はビックリしたような様子でぬいぐるみを見ると、しゃっとぬいぐるみを奪い取りぎゅっと抱きしめた。

「うわっ!シロブチ君にギュッとされてる…めっちゃ可愛い…」

「4人で写真で撮ってくれる?」

海斗の声にシロブチ犬はうんと頷いた。

卓と海斗の間にシロブチ犬が入り、シロブチ犬のぬいぐるみをシロブチ犬が持った形で写真を撮った。

シロブチ犬は最後まで自分のぬいぐるみをギュッと抱きしめていたが、

卓にぬいぐるみを返すと"よしよし"とぬいぐるみの頭を撫でた。

「ありがとうシロブチ君!」

卓の言葉に嬉しそうに歩き回るシロブチ犬。

「じゃあまた会おうね」

と海斗は言うと、シロブチ犬は海斗とハイタッチを交わした。

「じゃあバイバイ」

と卓は言うと、卓ともハイタッチを交わした。


「ぬいぐるみ持ってきてたんならさっき出せば良かったのに…」

「いや…緊張しすぎて忘れててさ」

「まぁオシに会えたらそうなるよなぁ」

と海斗は言いながら駅の方へと歩いて行った。

「じゃあ行こうか。俺んちに」

「そうだね…認めてくれると良いけど」

2人はそう言いながら駅の改札口へと向かった。

次回、卓の両親と面談!?

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