51.シロブチ犬クッキー
今日からシェアハウス編始まります!!
51.シロブチ犬クッキー
2月14日
バレンタインデー。卓と遼はとある喫茶店でいつものコーヒーを飲んでいた。
外はからっと晴れていて、冬の澄んだ景色がガラス越しに喫茶店の外に見えている。
コートを着こんだ女性がポーチを肩に担ぎながら寒そうに縮こまりながら足早に歩いて行くのをみていた。
ポーチから少しはみ出た手作りチョコが見える。
「外は寒そうだなぁ」
遼は外を眺めながらそうつぶやいている。
「そうだね…」
そわそわとしながら卓は、遼をみつめている。
「なんだよ。さっきから様子変だぞ」
遼は卓の明らかに様子がおかしいのに気づき卓に言った。
「ほら、今日バレンタインデーじゃん。チョコとかもらった?」
「もらってねぇよ。そんな女性はいないって」
と遼は、相変わらずそっけない態度をとる。
「そっか。実は、さぁ手作りクッキー作ってきたんだ。バレンタインデーのクッキー」
「えっ!まじで!?作ったの?すごっ!」
卓は、ポーチから、包んだクッキーを取り出した。
「お前すげぇなー」
と遼は言いながら、クッキーを受け取った。
「あっ、マスターにも作ってきたんで」
卓はそう言いながら、マスターの元に行き手渡した。
「ありがとうございます。卓様」
深々とお辞儀するマスター。
「味気になるから一口食べてください。遼も…」
「いえっ。私は勤務中ですのであとでじっくり、いただきますねっ。お二方はどうぞお召し上がり下さい」
遼は袋からクッキーを取り出すと、それはシロブチ犬の形をしたクッキーだった。
「卓が好きなシロブチ犬じゃん。良くこんなの作れたなっ!」
「調べて作ったんだよねっ。美味しかったら良いんだけど…」
「まじか、じゃあいただきまーす」
遼はそう言うと、ぱくりと食べた。
「うん。サクサクで旨い!でもなんで?俺のために?」
「うん…まぁ友チョコってやつかな」
と照れくさそうに笑う卓。
「今はやりの友チョコねっ。ありがとう!」
遼はそう言いながら、残りをカバンの中にしまった。
ほぉ良かった…
気持ち悪がられたらどうしよかと思った・・・
「ところで話って何だよ」
と遼は、卓に聞いた。
「あぁ、そのことなんだけどさぁ…」
と卓は、どこから話そうか考え始めた。
「結論から聞きたい?それとも順を追ってが良い?」
「じゃあ、結論からで」
「海斗とシェアハウスする」
卓の言葉に遼は一瞬目が点になった。
「えっ?どういうこと?ちょっと言ってる意味が分からない。海斗が引っ越してくるってこと?それとも卓が向こうに行くの?」
「海斗がこっちにくる」
と卓はコーヒーを飲みながら言った。
話は、2月1日に遡る。
その日、卓と海斗は東京の八王子に朝8時に待ち合わせていた。
「久しぶり!卓!」
「海斗!」
海斗はアメリカの挨拶の様にぎゅっと卓を抱きしめる。
大きな体で卓を包みこみながら抱きしめた。
「んぐっ・・・おいっ」
海斗はすぐに体をどかした。
「やめろってぇ…アメリカじゃないんだよここは・・・」
と卓は照れくさそうに言うと
「だってほらぁ。久しぶりに会ったからさぁ…嬉しくて」
「分かったから、でも恥ずかしいから、皆見てるだろ?」
「皆そんな気にしてないって。それより今日は、ついに会えるんだよシロブチ犬!」
「そうだよ。10時と13時からの2回だっけ?めっちゃ楽しみだね」
「うん。あのモフモフに触れるの楽しみだなぁ。まだ8時だからどっかでご飯でも食べて時間潰さない?」
「そうだね。ファミレスとかありそうだもんな」
と卓は言い2人は駅の近くを散策し始めた。
次回、シロブチ犬グリーティング!




