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少数派の恋愛事情~Minority Love~  作者: take
Chapter of Happy Holidays.
53/108

49.初詣の願掛け

お正月に出かけた卓と遼

卓が初詣で願った事とは

次回50話

49.初詣の願掛け

卓と遼の目の前にそびえる長くて高い階段。

その上には鳥居がありまた階段が続いている。

「この先に本殿があるの?」

高い所が大好きな卓は階段を登っていくことも楽しいと思ってしまう性格で嬉しそうに進んでいた。

「普通、階段見るとうんざりするのに、本当卓って変わってるよな」

遼は卓と一緒に登りながら言うと

「こうやってさ、一段、一段あがった先に見えてくる景色が良いんじゃん!」

卓はそう言いながら階段を一段一段進んでいく。

遼はそんな卓の姿を見ながら

「卓は子供の頃から変わらないよなぁ。ずっとそんな無邪気なままでいてほしいよ」

「何言ってんの?遼だって子供の頃から変わんないよ」

「俺は、変わったよ。もう純粋な気持ちで色んなこと見られないからさ」

遼はそう言いながら少し息を切らしながら言った。

「俺だって…悩みとかあるわっ」


遼とか、遼とか、遼とか…


「そりゃあ悩みがない人間なんていねぇし、そういう意味じゃ無いんだよ…あっ卓!見えてきたよ、うえ、うえ!!」

木々が周りに生えていたが陰になったその隙間から大きなお寺が見えた。

「うわぁでかい!」

卓はすげぇっと目を丸くしながら見ていた。

「さぁこっちで手を清めようよ」

遼の言葉に卓は遼の後へとついていった。


卓と遼は、手水舎ちょうずやへと向かった。

遼は、慣れた手つきで手水ちょうずを行っていく。

卓はそれを見て真似をしながら、同じように手水を行う。

「じゃあ参拝するかぁ」

遼の後をついて歩く卓は、まるでひよこの様について歩いていく。

人が大勢いる中、離れないように歩いていく2人。

目の前に広がっている大本堂に、大勢の人が吸い込まれるように入っていた。


「ここ、参拝に来る人、結構いるらしいよ」

「そうなんだぁ!結構大きなお寺だもんね。どおりで人が多いわけだ。あっそう言えば!何お願い事するか決まった?ってかお願い事ってして良いんだっけ?」

「色んな説があるよね。挨拶だけとか、お祈りは一つだけとか、目標なら良いとか、俺も良くわかんねぇ」

遼の苦笑いのような笑顔にどきっとする卓。

「じゃ…じゃあ別に願い事してもいいよな。何を願おうかな」

「やっぱ"恋人欲しい"かなぁ」

「こ、こいびと!?」

「うん。だってもう俺ら28だぜ。みんな結婚とかしてるのに焦るじゃん。この間も母親に結婚しろとか孫の顔が見たいとか散々言われてうるさくてさぁ」

「そっか…遼にも結婚願望があったのかぁ」

「まぁまだ諦めてないだけだけど、でもなんか無理な気もするよなぁ」


あぁ…結婚をすると遼が取られる…

そんな気持ちがもやもやと卓を襲う。


「卓は結婚願望とかあるの?そういえば片思い中の人はどうなったの?」

「あっ…今も継続中。この間2人で遊園地行った」

遼の言葉に卓はそっと応える。

「えっ…脈ありじゃん。好きでもない人と2人で遊園地なんて行かないよ!」

「そ…そうかなっ!」

遼の言葉に卓は嬉しそうに答えた。


脈ありってお前のことなんだけどっ!

好きでもない人と2人で遊園地と行かないってそれ本当に言ってる?

卓は耳を疑う様な言葉を何度も噛み締めた。


「そうだよ!そっかぁ・・・卓に彼女かぁー」

「う…うん」


本当は彼女じゃなくて彼氏なんだけどなぁ


「じゃあ卓はその人と付き合えるようにお願いするんだねっ」

「ま・・・まぁ…そんなところ。遼はどうなんだよ」

「俺?俺かぁー。まぁ確かに今年こそ恋愛をとは思うけどねっ」

遼は少し言葉を濁しながら卓に伝えた。


遼には幸せになってほしい。

結婚して、子供が出来て、家庭がある普通の幸せが遼の幸せなのだとしたら…

俺と一緒になるということは、そういう幸せをすべて捨てることになってしまう。

それは遼にとっての幸せなのか。

俺はやっぱり身を引くべきなのだ。

でも…諦めきれない。大切な人だから。

俺も遼も幸せになれる未来。

俺はそれをみつけたい。

それが俺の今の願い事…

卓と遼は、それぞれの願い事を胸に手を叩いてお参りをした。


参拝をして本堂の階段を下りると、その先で売店があった。

2人はそこに立ち寄った。

「あっ…お守り!買ってかない?縁結びのお守り。ここ縁結びの神様でも有名だからさ」

遼はそう言いながら、そこで販売されていたお守りを手にした。


これは…もしかして…初のお揃い来たんじゃないの?

「いいねっ!俺も買おう!」

卓は同じお守りを手に取った。


卓と遼は同じお守りを買うことにし、レジで会計を済ますと卓は大切に財布の中にお守りをしまった。

「お守りは持ち歩いた方が良いみたいだからさ、絶対無くすなよ」

と卓はくぎを刺すように言った。

「部屋に置いとくのもダメだからね。ちゃんと持ち歩いてね」

そうすれば遼と俺はずっと繋がっていられる。

そんな思いが頭によぎった。

「分かってるって。大切に持っとかないとな」

遼はそう言いながら卓と同じように財布の中に閉まった。


「まだ少し時間があるから回ってみるか」

遼はそう言うと、卓は頷いた。

次回、うな重がそろそろ呼んでいる? 

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