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少数派の恋愛事情~Minority Love~  作者: take
Chapter of Happy Holidays.
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42.観覧車乗り場

卓と遼のクリスマスデートもお昼過ぎになり

2人は遅めのランチへ・・・

42.観覧車乗り場

卓は遼からプレゼントしてもらったペンタ君を両腕に抱えながら嬉しそうに歩いていた。

「そんなに嬉しいの?そのぬいぐるみ?」

「ん?ま…まぁね」

本当は、遼からもらったモノだから嬉しいとは口が裂けても言えない。


「そういえばお腹空いたね」

卓の言葉に遼は時計を見た。

「本当だ。もう15時だな。どっかでご飯食べるか」

「うん。そうしようっ。遅いランチだけど賛成!少し時間ずらした方が空いてるだろうし」

卓はそう言い、2人は遊園地の中のレストラン街へと向かうことにした。


この遊園地のレストラン街は世界各国の様々な料理を味わうことができ、卓と遼はどこで食べるかを悩んでいた。

「和食に中華にイタリアン…迷うなぁ」

「ねっ…俺はぁ~、んー何でもいいや」

卓の言葉に遼は悩みながら

「俺も特にこだわりないなぁ。あっ!あっちのハンバーガーショップはどう?」

「ハンバーガーって気分じゃないなぁ」

「今何でも良いって言わなかったか?」

「何でも良いけど、ハンバーガーって気分ではない」

「なんだよ。それっ」

くすっと笑う遼が可愛くて卓はドキッとした。

「やっぱ和食かな」

と卓は、レストランの地図を見ながら言うと

「あっ…俺、和食パス」

「いやお前もかい!?」

「和食って気分ではない」

結局2人はイタリアンのお店へと入りピザとパスタを頼んだ。


「そう言えば、ピザ1枚を2人で分けようと思うんだけど、遼って神経質だから他人が食べた物って大丈夫なの?」

と卓は聞くと

「ピザは違くない?パスタは一口もやらないけど」

「何でよー。いいじゃんちょっとくらい。一口ちょーだいがやりたいじゃん!」

「嫌だよ。人が食べた物って口にしたくないじゃん」

「ほら。やっぱ神経質じゃん」

「違うよっ!じゃあ俺が食べかけのパスタ食えるのか?」

「えぇ?喜んで頂きますが!?」


むしろ食べたいですっ!


「あっそう…」

「ほら俺んち家族多いからさ、そういうのあんま気にしないんだよね」

引かれた思いとっさに思いついた言い訳だった。

「まぁ俺も、1人暮らしする前はそうだったかも」

「そうだよ。今じゃ家にすら上げてくれないし」

「他の人に入られるのってどうも嫌なんだよなぁ」

「他の人って…俺ら結構仲良しのつもりでいたんだけど」

「まぁ仲いいけどそれとこれとは別。人には見られたくない部分がある!」

「それは俺にも見られたくないのかぁ…?」

「まぁなー」

「じゃあ彼女とかにも?」

「うーん。彼女にもあんまり見せたくないかな。」


その言葉に少しホッとした。

もし仮に遼に彼女が出来たとして

家にあげたなんて話を聞いた日には

嫉妬で頭おかしくなってしまうと思う卓であった。


そうこうしているうちに2人の前に料理が運ばれてきた。

「いただきまーす」と卓が言ったあと

遼がら「いただきます」と手を合わせながら言った。



遼って食べてる時の顔めっちゃ可愛いよなぁ

卓は遼がパスタを食べている姿を見ているだけで幸せになれた。


なんだろ。

本当に美味しそうに食べるんだよなぁ。


「これうまいなっ。遊園地の中とは思えないくらい美味いよっ」

「ねっ。本当美味しいね、これ!」

と卓は、くるくるとフォークを回しながら口の中に入れた。

「うん!うまい!」



2人は食事をすませた頃には16時を回っていた。

「ねぇ遼…あれ乗らない?」

卓は観覧車を指しながら言った。

「観覧車!?まぁ良いけど、俺あんまり高い所好きじゃないんだよなぁ。それにカップル多くない?」

日も暮れ始めてきており、時期的にも観覧車はカップルであふれかえっていた。

男2人で観覧車に乗ろうとしている人達は他にいないようだ。

「そっか。そうだよね。俺とは乗りたくないってことだよねー」

「そう言う事言ってないでしょ。分かった…分かったよ!乗ろう」

遼の言葉に卓はうんと頷いた。

「ぷっ…本当…そういう所変わってないよなぁ。卓は」

「どういう意味だよ!それ?」

「えっ?そのままの卓でいて欲しいなぁって」

遼の言葉に照れてしまい言葉にならない卓。

下を向いたまま恥ずかしそうな顔をしている卓を見て遼はニヤニヤがとまらなくなっていた。

「もういいよぉ。分かったよぉ。早くいこっ」


2人は観覧車に並び始めた。

周囲はやはりカップルが多いため男同士で並ぶといささか浮いている様子であることは間違いなく、遼はキョロキョロと辺りを見ていた。

「やっぱり男同士って目立つなぁ」

遼は卓に話しかけると卓はウキウキした顔が前面に出ていていた。


遼と一緒に観覧車…観覧車!

やばいよ…幸せ過ぎる。

どうしよう。

今日もしかして、俺、死ぬんかなぁ。

こんな幸せなことあって良いのかぁ????


「おーい。卓ー」

「うわぁっ!何?」

卓は現実に一気に引き戻されたようにビクッとした。

「いや。なんでもない。卓が幸せそうなら良いやっ」

「えっ。それってどういう意味?」

「なんでもないよっ。なんか周りの目を気にしてた俺が馬鹿だったなと思って。そりゃあそうだよなぁ…卓は高いもの大好きだから、誰と乗ろうが関係ないもんね」

「いや、そんなことはないけど…俺は…遼と一緒に…乗りたい…」

ぎゅっとペンタのぬいぐるみを両手で抑えながら恥ずかしそうに小さな声で言った。

「俺と!?また恥じらいなくそんな言葉を吐き出すなんてさぁ。ちょっと海斗に似てきたんじゃない?」


確かにそうだ。

俺は多分海斗に出会って、自分の気持ちに正直になれた。

そして今もこうしてクリスマスに大切な人と一緒にいられるのだ。


「確かに一緒に居たせいか、似てきたかも」

「ほんと…まぁアイツなら感化されるのも分かるけどな」

遼は微笑みながらそう言った。

観覧車に乗るまであと少し・・・

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