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少数派の恋愛事情~Minority Love~  作者: take
Chapter of Kaito and Taku's birthday.
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37.卓の誕生日会

37.卓の誕生日会

3人は卓の部屋で軽く飲みながら、この3ヵ月の近況報告をしていた。


「そういえば、友ちゃんと和君は?」

「誰、その2人?」

「あっそっか。海斗は知らんのか」

と遼はそう言うと、卓の方を見た。

お前が言えよの視線にすぐに卓が応える。

ともは俺の妹。かずは俺の弟。友はもう結婚してて、和は今一人暮らし。2人とも独立して実家には戻ってきてないよ」

「あっそっか。折角の家族の誕生日会なのに残念だね」

「もういい年だし、そんな大人なってまで誕生日会なんてしないでしょ。」

「まぁなー。でも2人はやったじゃん」

その言葉に卓はなぜか少し照れて言う。

「まぁ、ケーキ食べてロウソク消してってのはやったけどさぁ」

卓は、そう言いながらグラスを空けた。


辺りは暗くなり始め、下から卓母の声がしてきた。

「みんなーご飯できたよー下におりてきてー」

3人は下に降りると、"ザ誕生日会"というような料理がぎっしりと並べられていた。

「えっすごっ!お母さん!これ一人で作ったんですか?」

海斗はびっくりしながら食卓を眺めた。

「ってか、友ちゃんと和くんなんでいるの?」

卓は2人が先にテーブルの席についていることに驚いた。

「お兄ちゃんの誕生日に来ない訳ないでしょ」

と友は、卓を見ながら言うと

「母ちゃんが内緒にしようって言うから」

と和も続けて言った。

卓母がテーブルいっぱいの料理の隙間をあけてもう一品置きながら

「サプラーイズ!」

と卓母は嬉しそうに言う。

どうやら卓の家では毎年家族の誕生日は出来る時はかかさず行っているらしい。


「父さーん!ご飯!」

卓母の言葉に隣の部屋からのそっとやってきた卓父。

「初めまして、俺、山田海斗と言います。卓君にはいつもお世話になっていて仲良くさせていただいてます」

「海斗君。そんなに固くならなくて良いよ」

と卓父はそう言いながらいつもの定位置の席へと座る。

「海斗君って言いましたっけ?卓の妹の友です。よろしく」

「卓の弟の和です。よろしく」

2人も海斗に挨拶すると海斗は嬉しそうにお辞儀を返した。


うわぁー卓の両親と妹弟きょうだい。なんか感激だ!

海斗はなんとも言えない気持ちになりながら席に座った。


「俺ら2階で食べるつもりだったのに。海斗だって緊張しちゃうだろ」

「ううん!そんなことない!温かい家族だなぁって思って」

と海斗は嬉しそうに言うと、なぜか照れ始める卓家族をみて似たもの家族だなぁと感じた。

家族全員と卓の友達2人がそろったところでご飯を食べ始めた。


一家団欒いっかだんらんの中に一瞬で溶け込む海斗に、

遼はこいつやっぱスゲぇなーと思いながらご飯を食べていた。


「お母さんの料理めっちゃうまい!」

海斗はそう言いながら、唐揚げやグラタンを食べる。

「あらそう。海斗君やっぱり聞いてた通りいい子ねぇ」

と卓母はそう言いながら、おかずをつまんでいる。

「そうなんだよ。海斗は良いやつなんだよ」

と卓はそう言いながらご飯をつまみ始めた。


ご飯を食べながら仲睦なかむつまじいの姿をみた海斗は、

こういう所で生まれ育った卓だからこんなに純粋な人間が生まれたんだなぁ、と

しみじみと感じていた。ウチとは大違いだ…


「それじゃあそろそろケーキいっちゃう?海斗君が持ってきてくれたケーキです!」

そう言って机の上に出されたケーキにはシロブチ犬がどんと飾れたデコレーションケーキだった。

「うわぁシロブチ犬じゃん!」

卓は目を輝かせながら言った。

「卓ちゃんの好きなキャラクターじゃない?」

と和は指を指しながら言った。

「そうそう。ネットで調べたらこういうのやってる店があって買ってきたんだよ」

と海斗は普通に和とタメ語でしゃべっていた。


シロブチ犬のデコレーションケーキにロウソクを立て火を灯した。

「それじゃあ歌いましょうか!」

部屋の灯りを消すとロウソクの暖かな光が灯っている。


卓のための誕生日の歌が唄われている間、

卓は何歳になっても祝ってくれる家族がいる幸せをしみじみと実感していた。

唄が終わり、ロウソクの火を吹き消した。

部屋の灯りが付くと、家族と友達の顔をみて

俺の周りにはこんなにも大切な人がたくさんいて幸せだなぁと改めて感じた卓だった。

次回、誕生日会最終章!

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