33.アクティブゾーン
卓と海斗のラブラブ?デート
今度はジェットコースターで卓がパニックに
33.アクティブゾーン
「これうまっ!!」
卓は、骨付き肉にかぶりつきながらテーブルで食事をしている。
その横でおいしそうに食べてるなぁとみている海斗。
2人は、アドベンチャーゾーンで早めのお昼にしていた。
そこはジャングルの中にあるテラスで冒険家気分を味わいながら食事を楽しめる。
卓が食べているのは『骨付き丸かじり肉』で骨を手に持ちながらがぶりとかじりついている。
まるで犬みたいだなぁ…
卓を見ながら海斗が食べているのは、『窯で作った本格カレーライス』である。
「なんだよ。さっきからじっと見つめて」
卓は海斗の目線に気づいて言うと海斗は微笑みながら、
「あぁゴメンゴメン。食べてる時の卓って可愛いなぁって思って」
「なんだよそれ…」
と卓は照れ隠しのように下を向いた。
「海斗ってさ、ごはん綺麗に食べるよね」
と今度は卓が海斗が食べてる姿を見ながらそう言うと、
ん?というな顔で卓の事を見た。
「いやほら、なんていうかお上品というか、もしかして生まれも良いのかなぁと思って」
「そんなことないと思うけどなぁ。でも俺の親父、海上保安官だからあんまり家にいなくてさ。お母さんが凄くしっかりしてて厳しかったかも」
海斗はそう言いながら、カレーを丁寧に食べていく。
「海上保安官かぁ。すげぇなぁー!」
海斗しっかりしてるもんなぁ。やっぱ住む世界が違うなぁ。。。
「そうでもないよ。親父は一度海に出ちゃうと家にはほとんど帰ってこないし。転勤族だったから友達ができて、どんだけ仲良くなってもそれきっりだしさ」
「そっか。意外と大変なんだぁ」
「ごめん。少し重い話になっちゃったね。そうだ、次はアクティブゾーンに行ってみようか」
「あそこ、絶叫系ばっかりだろ。俺乗れねぇよ」
「ん?高所恐怖症の俺にアレをさせといて…絶叫系乗らないのは無しでしょ?」
「それってお化け屋敷でチャラじゃないの?ってか高所恐怖症の癖に絶叫系は平気なのかよ」
「それはそれ。これはこれ」
「ずるいやつ…オレ、、絶対乗らないからな!」
と卓は、肉をかじりながら言った。
それで…なんで俺はここにいるんだ…?
卓と海斗はジェットコースターに並んでいる。
アクティブゾーン
絶叫系アトラクションが並ぶこのゾーンは若者達をターゲットに作られている。
そこら中から人の悲鳴が聞こえてきている。
「なんで!??乗らないっていったじゃん。しかもこれ、いっっちばん怖いやつじゃないの!」
卓と海斗が並んでいるのは、アクティブゾーンの絶叫系メインアトラクション『ジャングルキャッスル』
コースターが木製で出来ているため、ガタガタと、ものすごい音が鳴り響いており、恐怖がいっそう増し、さらに真っ逆さまに落ちていく。
並びながら卓はガタガタと震えている。
「卓…大丈夫?」
「大丈夫じゃないよ!なんで!??乗らない言うたじゃん」
「でもほら、やっぱりまいらぶランド来たらこれ乗らないと」
「殺す気!?もう無理戻ろう。今なら出れるから」
「でももうすぐ、順番来るよ。ほら覚悟決めて、大丈夫。死にはしないから」
「まぁ確かに…」
きゃあー----
ごおおおおおおおおおおお!
近くで悲鳴と音が聞こえてくる。
「うわぁやっぱ無理ぃ」
卓の地獄の時間がやってきた。
トロッコの形をした乗り物に乗せられた2人は、安全バーでしっかりと固定された。
木製のジェットコースターがついに動き始める。
「うわぁ怖いねぇ卓!卓?」
「どうしよう。めっちゃ怖い…怖い!怖い」
トロッコはガタガタと音を出しながらゆっくりと進む。徐々に坂道を上り始める。
「見て、卓!良い景色だよ」
海斗が指す方を卓は見たが、すぐに前を向き右手をあげた。
「すみませーん。ここで降りまーす!」
「いや、バス降りる感覚!?それはもう無理だって」
「降りる。絶対降りる」
安全バーを急に持ち上げようとする卓。
「ムリムリ。逆に危険だから!」
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」
「お経唱えるのやめて!お経が聞こえてくるジェットコースターなんて逆に恐怖でしかないから」
「もう無理。お願い海斗!俺を失神させて、意識がないうちに終わりにしたい」
「無理だよ。覚悟決めて、さっもうすぐ頂上だよ」
海斗がそういうと間もなくトロッコが頂上へと到達した。
「海斗…俺…どうなってもしらんぞ」
「えっ…?」
トロッコは重力に従いながら急降下していく。
海斗の悲鳴が聞こえる中、卓は無言で落下していく。
「卓…大丈夫?」
と海斗は卓の方を見た瞬間、卓は海斗の髪をひっぱった。
「むりーいやー-!」
「いてて!なんで髪を引っ張るのー!」
「いやぁー-!だから無理って言ったじゃん!もういやぁー-!」
「いてぇー-!髪の毛引っ張らないでぇー!」
卓は、海斗がこれに乗せた事への怒りを髪の毛を引っ張るという行為で表現していた。
「分かった。俺が悪かったら髪の毛引っ張らないで」
「無理!これくらい我慢して」
次の落下ポイントへとやってきて再び加速しながら落ちていく。
「いやあああああ!降ろしてー!死んじゃう!南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏いやああああ」
「お経こえー-よぉー--!ってか髪の毛いてぇー!」
そうこうしているうちにトロッコは1周し、スタート地点へと戻った。
「じ…地面…!」
卓は、海で漂流して何十年ぶりかに地面に足をつけた浮浪者のように地面の感触を確かめた。
「あぁ…懐かしい地面。ありがとう地面」
「ぷふっ!フハハハハハハ!」
海斗はトロッコから降りるなりいきなり爆笑した。
「ジェットコースター乗りながら隣の人の髪の毛引っ張る人初めて見た!フフフ!そんなに嫌だったの?」
「あったりまえだろ。心臓なくなるかと思った」
「だからって髪の毛引っ張る!?ハハハハハハ」
海斗は『ジャングルキャッスル』から離れても笑いが止まらずにいた。
卓は少しムッとしている。
「笑いごとじゃないんだからねっ。この恨みどうしても晴らしてやりたくて」
「後ろの人、俺らの事みて仰天してたよ!なんか髪の毛引っ張ってるんだけどって!フハハハハハハヒーヒーッ。。。それに、南無阿弥陀仏って!なんでお経!?」
「死ぬ前に天国行きたかったから」
「ジェットコースターじゃそう簡単に死なないからっ!ってか死ぬ前にお経唱えても意味ないし!本当卓って面白い!あとなんだっけ?落ちる前の降りまーすってなに?」
「いやもう怖くて…」
「降りまーす、であそこで降りれるわけないんじゃん。ヒーヒー!腹いてぇ!やべぇ面白れぇ!卓最高!」
「ったくもぅ。海斗のバカァッ!」
と卓は言いながら海斗の笑い声につられて笑い始めた。
「ねぇ…卓?」
「今度は何だよ!」
「もう一回乗らない?」
「ぜぇったい!いや!」
と卓は、断固拒否した。
次回、スペースゾーンでロマンティックなムードに…




