32.アドベンチャーゾーン
卓と海斗のラブラブ?デート!
32.アドベンチャーゾーン
卓と海斗がメルヘンゾーンから離れ、アドベンチャーゾーンへとやってきた。
ここはジャングルや洞窟といった未開の地を巡る冒険をテーマにしており、主に子供から男子学生をターゲットに構成されている。
「あれやってみたい!」
卓がアドベンチャーゾーンで選んだアトラクションは『マウンテン・ディスカバリー』という大型空中アスレチックだった。
冒険家はハーネスをつけ、命綱一本で高い山のふもとにある岩や木で作られたアスレチックを進みゴールを目指していくスリリングなアトラクションである。
「これ行くの?これは、俺ちょっと…」
と海斗は躊躇していると
「俺にお化け屋敷無理やり行かせたよね?」
と卓は、真顔で詰め寄る。
「それは…その…」
目が泳ぐ海斗に、卓はさらに詰め寄る。
「無理って言ったけど無理やり行かされたよね?」
「分かった!分かった!行くよ行く!行けばいいんでしょ!」
海斗は、もう一度自分がこれから耐えなければならないアトラクションを見た。
「おしっ!行くか!」
このアトラクションは年齢や身長に合わせて、ふもとから山頂までの間で低・中・高の3つのコースが用意されている。
「やっぱ高コースでしょ!」
卓は一番高い位置のアスレチックでかつ高難易度のコースを選択。
「俺は…て」
「一緒のコースで!」
卓は、素早く反応した。
やっぱそうだよなぁ…逃げられねぇよなぁ…
海斗は覚悟を決めた。
アトラクションの方に丁寧な説明を受け、ハーネスと命綱を身にまとい、アスレチックへと挑戦した。
最初の方は、岩を飛んだり、丸太を渡ったりと低難易度の場所が続いていく。
これなら行けるかも…所詮子供の遊具みたいなもんだろっ
海斗は余裕を見せ始めてきた。
「卓っ!先行っちゃうぞ!」
海斗は持ち前の運動神経でひょいひょいと進んでいく。
「海斗運動神経良いなぁ!くそっ!負けてられない!」
卓は必死に海斗の後を追いかけた。
海斗はアスレチックを攻略していくうちに気づいた。
これは徐々に山頂に向かって登っていつ、と・・・
気付と下にいる人間たちが大分小さくなっている。
「おへぇっ!高けぇぇ!」
急に高さに怯える海斗。そしてそれに応じて難易度は一気に難しさが跳ね上がる。
足場がグラグラと揺れる丸太を飛びながら行かないとけない道。
ロープが上下に張られその間をツタっていくような道。
普段なら余裕でいけそうなアスレチックでも高さの恐怖で足がふらつく。
「こえーっ!」
しがみつく海斗を横目に卓はようやく追いついた。
「怖いねぇ!やばい足すくむわ」
と卓は、笑いながら言うと
「いや、楽しんでるじゃんよぉ!」
「そりゃあねぇ!」
「くそぉっ…高所恐怖症じゃなければ…」
「下向いたら怖いんだよ。前だけ向いていけば大丈夫」
「前だけ…」
「そう前だけ。下には未来はないのよ」
「ぷふっ!なにそれっぽいこと言ってんの」
と海斗は噴き出して笑った。
前だけを向いて進むか…
海斗は、その言葉を聞いて目の前のゴールだけを見つめた。
「じゃあ先行ってるから!自分のペースでいきなよ」
卓はそう言うとアスレチックを進み始めた。
「えっ?なんか手つないだりとかして助けてくれないの?」
「むしろそっちの方が危ないよ!大丈夫。一歩一歩進めば必ずゴールつくから!」
そう言うとまるでサルの様にひょいひょいと進む卓。
「早いなぁ卓…よしっ前だけ向いて、前だけ向いて」
海斗は、足元は感覚だけで進み前をみながらゆっくりと着実に進んでいった。
「下には未来はない。前だけを…」
一歩一歩着実に海斗は足を動かしていく。
「一歩ずつ歩みを止めず恐怖に負けずに…」
着実に進む海斗はいつしか怖さが失っていく。
そしてついに…
「海斗お疲れ様」
2人は高コースの全てのアスレチックをクリアしてゴールへとたどり着いた。
「やった…」
と海斗は、足が震えながら言うと、海斗は卓に抱きついた。
「うわぁめっちゃ怖かったよぉ」
抱きつく海斗に卓は頭をなでながら
「よしっよしっ。良く頑張ったね…えらいえらい」
と卓は、海斗の頭をなでた。
「ちょっと待って…もとはと言えば卓がこれ乗りたいって言わなきゃこんな目に合わなかったんじゃん!何が良く頑張ったね…だ!」
と海斗は、言うと卓はささっと逃げた。
「あっ!ちょっと待てや!ゴラァっ!俺の恐怖返せー-!」
「お互い様だろーっ!」
と卓は逃げながら叫んだ。
次回、今度は卓が再び悲劇を…




