28.大阪の夜
2人っきりの大阪の夜...
28.大阪の夜
2人はホールケーキを半分以上食べた所で満腹になったので
残りは明日食べることにした。
「そういえば、大阪で俺んち泊まれなかったらどうするつもりだったの?
ホテルとかも取ってなかったでしょ?」
海斗はシャンパンを片手に飲みながら卓に聞くと
「あぁ、あんまり考えてなかったんだよね。行き当たりばったり!でも海斗なら泊めてくれると思ったんだよね」
「だと思った。よくここまで生きてこられたなと思う。不思議だよ」
と海斗は笑って言った。
卓はうーんと考えて
「まぁそれでも、大抵行き当たりばったりでなんとかなるんだよねぇ」
と卓もシャンパンを飲みながら言った。
確かに卓ならなんとかなりそうだなぁ、
と海斗は卓の変な自信にも納得してしまった。
「もうそろそろ寝るかぁ」
気がつけば24時を回っていた。
「そうだねぇ。明日もあるし…」
「卓は、ベッドで寝ていいよ。俺はソファーで寝るから…」
と海斗はそう言い、掛布団を持ってこようとしたときに、海斗の腕を掴んだ卓。
「いや、俺がソファーで寝るから、ベッドは海斗が寝てよ」
「いや、お客さんにソファーで寝かせるわけにはいかないよ」
「いや、今日の主役は海斗でしょ!海斗にソファーに寝かせられないよ」
2人の意見は平行線をたどった。
「じゃあこうしよう!」
どうしてこうなった…
海斗のベッドで卓と海斗2人で添い寝をしていた。
「このベッド広いし、2人でもいけるねっ」
まぁ俺、寝相悪いからセミダブルのベッドにしたけども…
でもそれにしても…
「卓は大丈夫なの?」
俺は男が好きなんだぞ。
「何が?」
こいつ…全然分かってない。
普通襲われるとか思わ…
、、、ないかっ…
卓だもんなぁ
「いや…何でもない…」
こんなん寝れんのか?
俺、鎌倉の時の卓みたいになってない?
そ、そうだなんか話そう…うん…
「卓…これからどうするの?」
「これからってどういうこと?」
「遼とのことだよ。告白するのか」
・・・海斗の答えに卓は少し考えながら
「しないって決めたんだ。あいつに好きになってもらう」
「それは遼から告白させるってこと?」
「そう…あいつから告白してもらえるように…気づいてもらえるようにアプローチすることにした」
「そっか…遼が気づく日は来るんかなぁ」
「たとえ気づいたとしてもきっと遼から告白してくれないんじゃないかなぁ」
「何でそう思うの?」
「あいつは普通のやつなんだよ」
遼のことなら一番俺が良く分かっている…
「遼は思ってるより普通じゃないと思うけど」
「あいつは普通じゃないかもしれないけど誰よりも普通の人生を望んでいる。もし仮に俺の事を好きになってくれたとしても…」
「逆に卓から好きって言っても無駄ってわけか」
「うん。きっとそう…だから俺の選択肢は一つなんだよ」
「遼が卓の事を普通の未来じゃなくても思えるほど…狂えるほど愛してもらうという未来しか希望がないってことか」
「そう…」
布団の中で二人はお互い背を向けながら話を続けた。
「でも卓…可能性はゼロじゃないと思う。遼はもしかしたら男もいけるタイプかもしれないだろ」
「海斗的にはどう見えるんだよ」
「まだ分からないけど、個人的には可能性はあるなっ」
「そうかぁ…」
「まぁ俺は遼じゃないから分からないよ。こればっかりは本人じゃないとな」
しばらくの間2人は色々な話をしていたが、
やがて卓の声が聞こえなくなった。
「卓…寝た?」
海斗は卓の方を振り返ると、すやすやと口を開けて寝る卓の姿だった。
「かわいい。口開けて寝てるよ…」
海斗は卓の吐息を聞きながら深く深呼吸をした。
「ダメだ…これ以上は…俺の気持ち、、抑えなきゃ…」
触りたい…卓をもっと感じたい…
深くもっと深く・・・遼に負けない位
卓を独り占めしたい…
あぁ俺が遼だったら…
卓が俺の事好きでいてくれたのに
遼じゃなくて俺が卓の幼馴染だったら
この距離だってもっと…ぎゅっと…
ぎゅっと、縮まっていたかもしれない。
遼だったら…遼だったら…
海斗は呪文のように唱えながら、眠りについた。
次回、大阪二日目!




